2010年5月16日日曜日

新しい顕微鏡を試す・1 [Leica M320F 12-D]

先の顕微鏡歯科学会のときにお伝えしましたように、Leica から待望の新型顕微鏡 M320F 12-D が発売されました。

で、この顕微鏡、新しいだけあっていろいろな特徴があります。ありがたい事にこの度モリタさんのお計らいでお借りする事ができました。承諾を得ましたので、ここで一気にご紹介いたします。歯界良好始まって以来のマニアックな記事です。

謝辞:この顕微鏡は次の方のご協力でお借りいたしました。心より感謝申し上げます。

<<<<<以下の写真はクリックすると拡大します>>>>>

【鏡筒部】


一目見て「う〜ン、これはカッコいいな〜」と思ったのは私だけではないでしょう。高額機器たるもの、見た目も重要です。せっかく高いのですから、置いてあるだけで希望が湧いてくるような出立ちでなくてはなりませんが、満点です。やっとCarlZeissの対抗馬が現れたというのが正直な所です。

【検査済】
ま、どうでもいい写真ですが、ご参考まで。

【支柱】
あ、これもどうでもいいですかね。。。支柱の型番なんでしょうか?

【脚】
しかし、これはどうでもいい事はありません。脚の形や寸法は置場所に影響します。写真では広い所に設置してありますが、実際にはこうはなりません。ユニットの下に脚が入り込んだりしてぶつかってしまいます。私も相当苦労しました。

本機はX字型で61cm四方、CarlZeiss と同寸ですが高さがあります。ちなみにCarlZeissはH字型、Moeller Denta300 はZ字型です。

【鏡筒部 裏】
この顕微鏡の最大の特徴は、LED光源を用いたシンプルな構造にあると思います。LEDやカメラがすべて鏡筒部に入った、いわゆる All In One ですね。ですからケーブルがいっさいありません。しかしLEDと言えども発熱はあるようで、裏面にはファンがついています。


【鏡筒部 上面】

上のフタを開けるとSDカードが入ります。Transcend 社の16GB SDHC カードを入れてみましたが、問題なく動作しました。


さらにEye-Fiカードを入れてみました。嬉しい事に直ちに転送が始まり、問題なく使える事が解りました。これについてはまた後で。

また上面には静止画と録画のボタンがあります。これは非常用という事らしく、普段はリモコンで操作します。

【リモコン】

で、これがリモコンです。しかし使い方はまだよく解っていません。。。

【電源スイッチとビデオ出力】

そうそう、先にこれを押さないと動きません。電源スイッチはアームに底面にあります。押すと「ピー」と鳴って、LEDが一瞬閃光し、スイッチがきれいな緑に輝きます。写真はカバーを外した所です。

で、カバー中にはビデオ端子があります。HDMIとBNCです。

【鏡筒部 左側】

操作系は鏡筒部左側にあります。写真左のつまみがLEDの調光で、左に回すと明るくなって行きます。
ハロゲン球ではないので、微弱にはなりませんがこれは問題ないでしょう。つまみを回すとこのへんで点灯します。

写真真中のつまみは、通常・オレンジフィルター・光源絞りの切替えです。

操作系は右にある方が良いという意見を聴きますが、一度設定してしまえばいじるものでもないのでぜんぜん問題ないと思います。むしろアシスタントが操作しやすいので、これで良いのではないでしょうか。

なお左右のグリップはじゃまなので外して、フタをしてあります。これがあるとエアタービンのホースがひっかかたりしてたいへんなんです。

【変倍ダイヤル】

倍率切替えはもちろん左右でできます。ただし右側はちょっとアーム取付け部と近く、側方グリップがついているとさらに狭くなります。外すのが正解だと思います。


つまみはもちろん外してオートクレーブ対応です。

【グリップ】

ライカ顕微鏡の美点の一つは、正面に着けられたグリップです。これ一本で自由に鏡筒が動かせます。しかもジャマにならない、すばらしいです。左右の側方グリップは存在理由がわかりません。

M300にはCarlZeiss同様のナマズのようなグリップも着いていましたが、あれは不便でどうしようもないものでした。なんでこんな事をしたんだろうと・・・

伝統的なTグリップからLグリップになった理由はこれ、外してオートクレーブにかけられるようにするためでしょう。けど変色が心配です。


【フリクションロック】

外観のシンプルさにこだわる本機にアームのフリクション調整のダイヤルはありません。調整はこのナスのようなグリップを挿して行います。


動きは新品という事なのか多少動きが渋い感じで、スムーズというわけではありませんが概ねOKです。ただし支柱回転軸だけは動きが悪く、中でワイヤーが捩じれているような感触があり、滑らかに動いてくれません。顕微鏡の出し入れに重要な部分なので要改善です。

【アームブレーキ】
唯一ダイヤルが露出しているのがココ、まぁ気にする事ではありませんが。

【接眼レンズ】
視界はもちろんライカの事、抜かりはありません。おそらく光学系に大きな変更はないと思いますが、後で聴いてみようと思います。
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(5/17に水野様からご連絡をいただき、アポクロマートになったのだそうです。あ、今まで違ったんですね。ありがとうございました。)

【対物レンズ】
対物レンズ外観はM715時代から変更はないようですね。リングを回してフォーカスの微調整をするタイプです。良くも悪くもこれがライカ。自信を持っているのでしょう。

なお焦点距離は20cmです。ちなみにpicoは25cm、これは好みなのですが、私は離して使える方が便利だと思います。選択の余地はあるのでしょうか?
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(こちらも5/17に水野様からご連絡をいただき、選択できるのだそうです。)

【M715】
ここで一休み。私が使っている最古の(?)顕微鏡、Leica M715 です。このTグリップの操作性は抜群です。ごらんのように対物レンズはまったく変っていませんね。

【CarlZeiss Opmi pico mora との比較】
写真背景がゴチャゴチャですみません。2台を並べてみました。M320Fのシンプルさが際立ちます。

【オレンジフィルターと絞り】
成島さんの名刺を使って三者比較です。根管治療の時は照射野を絞った方が良いですね。絞った時の写真(一番下)はカメラの露出が違うので写真では明るく写っているだけです。

【LED光源×2】
本機にはLEDが2つ使われており、無影灯のような働きをすると説明されています。フォーカスから外すと2つの光輪が現れます。

対物レンズを見ると、なるほど、こういう事ですね。

ちなみにこちらはpicoです。ご参考まで。

LEDはひじょうに明るく、眩しいくらいです。最も照度を必要とする根尖部の観察には充分です。また最大輝度にしても視野を絞れば、アシスタントも眩しくなく快適な診療が可能です。これはいいですね!

【使用感】
さて、実際の使用感なのですが、実はまだあまり使っていません。左にpico、右にM320と使い分けて比較しようと思ったのですが、慣れない右への設置場所がなかなか決まらず、またM320の支柱回転部が今二つ滑らかでなく、あくまで診療優先なのでちょっとまだという感じです。

それから私が普段使っているHP の w2408というモニターとの相性が悪く、HDMI経由で映せないのです。しかたがないのでBNCからアナログ出力を行う予定で月曜日から本格的に稼動させる予定です。

実際の画像のアップは明日以後に行います。オタノシミに!で、その前にもう一つ。

【HDカメラ・静止画】
本機の特徴の一つにHDカメラ内蔵というものがあります。これには大きな期待をしています。まだモニターに繋がっていないのでほとんど撮影はしていませんが、ちょっとだけ試してみました。

形成中の支台歯を、リモコンを押してもらって撮影です。将来的にはフットスイッチが欲しい所ですね。発色はまずまずです。

サイズは2048×1036、圧縮率1:12のJPEG、容量はカード上では1.5MBでした。

EXIF情報です。ご参考まで。

【HDカメラ 動画】
これはかなり期待をしていたのですが、かなり残念です。フルハイビジョンとは言いませんが、HDと称するにはこれはちょっと・・・

容量は8秒間で2.9MB(3017212バイト)、約3.1Mbpsでした。

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では月曜と火曜にはたくさん使い、ご報告できればと思います。うーん、凄い長くなってしまいました。。。