2010年9月23日木曜日

口腔インプラント学会に行ってきた

18~19日にかけて、口腔インプラント学会参加のため札幌に行ってきました。年に二度も札幌とはちょっと珍しい。


大規模な学会ですので同時に5会場くらいで講演や発表が行われます。聴きたい発表が重なります。もったいない…

さて今回は審美関係の発表がグッと少なくなったようで、その代りと言ってはなんですが、安全面の話題が多かったようです。やはりあまりに安易にインプラントを行い、トラブルになったケースが報道されたせいなのでしょうか?

だいたいどこに行っても同じなのですが「本当はここに来ていない先生にこそお話しをしたいのだが…」という前置きが着きます。難しいものです。

一方の審美関係ですが、確かに話題が出尽くした感があります。インプラント周りの歯肉をどう天然に近づけるかは一時ホットな話題でしたが、それが無理な症例には歯肉の色をした人工物(ピンクポーセレン)で疑似的に歯肉に見せるという症例が散見されるようになってきました。ちょっとしかたがないですね。

安全面ではもういかなる症例でもCTは必須、またそのデーターを口の中で再現するためのガイドもしっかりしていなくてはなりません。CTはもうインプラントだけでなく、歯周病根管治療にもどうしても必要という時代になるのは間違いないでしょう。後はコストとの戦いです。

さて土曜日の朝一で札幌入りし、日曜日は3時まで学会、次の日は祭日なので旭山動物園にでも行けたらなと思ったのですが、実は日曜夜に大学の同級会が東京であるのでトンボ帰りしてきました。二次会から参加で旧友達と朝まで呑んで、目まぐるしい連休でした。。。

2010年9月17日金曜日

Brain Gym に行ってみた

12日の日曜日の事ですが、コーチングにどっぷりはまっている先輩に誘われていて行ってきたのがコレ。


ブレイン・ジム…なんだか頭が筋肉痛になりそうな名前ですね。しかし行って見るとこれはビックリ、なんと東洋医学とコーチングが融合しています。驚きです。

体は脳に反応し、脳は体に反応します。都合両者は分けて考える事が多いものです。しかーしBrain Gymは違います。頭脳活動をしやすいように体を動かし脳に働きかける、そんな感じでしょうか。やっぱり椅子に座っているだけじゃダメですよね。

Brain Gymでは、体を動かす前にまず「水」を飲みます。またその水はできるだけ良質なものをゆっくり口に含んでから飲むようにします。実はこれは漢方薬の飲み方と全く同じです。

なんでそんな飲み方をするのかと、一部の東洋医学の考え方では水は情報を転写すると言います!?そして咽喉上部に情報を読みこむセンサーに相当する部分(B-spot) があり、その情報を体が読んでいると解いています。

まったく非科学的な話しですが、たしかに漢方薬はオブラートにくるんで飲んでも効かず、口に含んでゆっくり飲まなくては効果がありません。

理由ははっきりは訊いていませんが、おそらくBrain Gymでは水を飲んだ直後に体を動かす事で意思情報を脳にフィードバックするという意図があるのではないかと思います。

まぁ東洋医学の世界は魑魅魍魎の玉石混在で言った者勝ち、話半分に聴いておかないとたいへんな事になるのですが、私は経験的にある程度信用している部分があります。それがO-ringであり波動という概念で、Brain Gymはこれらの考え方を部分的に踏襲しています。(私は波動という言葉は好きではないのですが…)

さて私も自称コーチやコンサルを生業としている人とたくさん話しをしてきましたが、あまりに受け売りがすぎる人・さも自分がオリジナルであるかのような事を言う人・一見下手に出ているようで実は高みの見物をしている人…頭でっかちの付け焼き刃的な人がなんでこんなに多いのかと悩んだ事がありました(悩んでどうする?)。

そして自分は絶対にこんな人の世話にならないと誓ったものでした。ではこのBrain Gymはというと私が知っていたコーチングとはだいぶ違い、体と頭を一体で考えるコンセプトにはたいへん共感を覚えます。私達はトップアスリートのように頭と体を同時に動かして結果を出す仕事ですからそう思えるのかもしれません。

今回は「聴く」という脳活動をするのに効果的な運動の講習もあり、それ以外のも合わせると26種類あるのだそうです。さすがに全部というわけには行かないので、教わった部分を徐々に活かして行ければと思っています。

実はたまたままたBioAromaを再開したこともあり、水の力にはちょっと期待しています。まずはすぐに眠くなる最近の体質が改善されないかなと思っているのですが。。。



2010年9月16日木曜日

次回のオープンセミナーは…

すみません、次回のオープンセミナーの日程がまだたっておりません。

なかなか平日開催が厳しいのですが、10月下旬にできないか考えています。決まりしだいお伝えいたしますので、しばらくお待ちください m(_ _)m


2010年9月6日月曜日

from銀座-2 みかわや復活!

午後は銀座に戻ってきました。先日ご紹介した三越銀座店の横を通ると、新装開店に向けて慌ただしく準備が進められています。

で、もしやと思い本館と新館の間に入ってみると、お〜!あります、あります!以前と全く同じ場所にみかわや復活です、パチパチパチ!



まぁ建物の構造上、この大黒柱はいたしかたがないか…

中に入るとこちらも準備で大忙し。去年の自分の移転を思い出します。たまたま店主の渡仲さんがおれれたのでちょっとご挨拶。だいぶお痩せになりましたね。本人曰く「苦労したからね〜」

近隣にあった支店は閉め、ここ一軒に絞って改めて営業を開始するのだそうです。その方がいいですよね、リソースは集中したほうがいいです。

嬉しい事にあのギシギシ軋む階段を始め、内装設備はかなり元通りにできたようです。



12年ぶりに銀座に戻ってきて、知っている店がほとんど残っていなくて寂しかったのですが、ちょとほっとしています。まぁここは高級店なのでちょくちょく来る事はできませんが、馴染みの方がおられるのは嬉しい事です。

メニューも変らずとの事で、古くからのお客さんもまた安心してお越しいただけますね。移り変わりの激しい中でこれは重要です。ヨーロッパのように旧い街並みを保存するような配慮こそ銀座に必要です。


外観もご覧の通り、戸建ての雰囲気を再現しています。スバラシィ!

けどお値段、どうなんでしょうね、やっぱり??? あ、そんな事気にしちゃいけないです。

新生みかわやの開店はもちろん三越と同時で今週の土曜日(私達は診療中で行けません)。たいへんな混雑は間違いなし。私は少し落ち着いた頃に来ようと思います。
皆様も隠れた銀座の名店へ、歯をちゃんと治療し終えたら行ってみてはいかがでしょう?

ちなみに私の名前を出しても安くはなりません。当然ですが。。。

from世田谷-2 瀧

本日は今週の土曜診療の代休をいただいております。ちょいと自宅近くのカフェで原稿を、と思い店に入ると満席!

暑いかな〜と思いテラスに出ると結構爽快ではありませんか。満席に感謝!少しは涼しくなってきたようです。

ここのテラスには瀧があり、たまに水しぶきが飛んできますが、今日は大丈夫。安心して資料やコンピュータを広げられます。


例によってiPhone4で撮影しています。

ところで瀧と言えば前回のfrom世田谷でもご紹介した等々力渓谷、ここにもとっても小さな瀧があります。その名も不動の瀧!ホント、チョボチョボですが。昔はもっと勢いが良かったのでしょうか?


たまにここで瀧に打たれている人を見かけます。あんまりたいした修業にならないと思うんですが…

涼を呼ぶ瀧、いいもんですね。午前中は気持ちよく仕事をさせていただきました。あ、歯の治療の方じゃないですよ。吉田は診療時間外はこんな事をしているのです。

第3回 歯科用レーザー安全講習会開催のご案内


ちょっと先になりますが、11月14日から開催される日本レーザー歯学会学術大会では安全講習会を開催いたします。

日本では歯科医師向のためのレーザー教育がほとんど行われていないため、このような機会は貴重です。すべてのレーザーデンティストだけでなく、歯科衛生士やスタッフにもお勧めです。

なお受講者には日本レーザー歯学会より終了証が授与されます。詳しくは下記のリンクをご参照ください。


なお今回は日本レーザー医学会総会との併催で、かなりの規模になりそうです。私は両者の会員なので、ちょっとたいへんかも…

歯科医療の未来

先週はお客さんが相次ぎまして、診療後もバタバタするも楽しく有意義な時間を過ごさせてもらいました。いただきものをしてしまいましたので、まずはそのご紹介。

まずはいつも無理なお願いしている歯科技工所の社長さんとナンバー2の方がお見えになりました。ごちそうさまです!


京利休 みつ豆と栗かのこ

一方、10年来の患者さんが知り合いの方の紹介で、これから開業を目指す7年目のドクター(若いな〜)をお連れして見学に来られました。こちらもごちそうさまです!


別におねだりしているわけではないのですが、ありがたい話しです。


さてたまたま同じようなタイミングで来られた二組のお客さん、何の話しかなと思えば、やはり昨今の日本の歯科事情について。それぞれ異口同音に窮状を訴えます。しかし私に訊かれてもね〜

歯科技工所さんの立場とは非常に弱く、たとえば製作物の適合が悪いと全部技工所のせいにされてしまいます。一方で出来が良いとそれは技工所ではなくすべて先生の手柄にされてしまいます。これでは現場の覇気は上がりません。

この技工所の社長さんは海外での経験が長く、日本とのギャップの激しさ、率直に言えばレベルの低さに悩み続けています。

例えば型取りをするとき、私達は自由診療であれば例外なく
歯肉圧排をしてからシリコン製の型取り材を使います。これは精度をあげるために絶対に譲れない部分で国際的に常識です。

しかし日本の多くの歯科医院では自由診療といえども保険診療と同じ材料を、すなわち寒天とアルジネートと呼ばれる海藻を主原料とした材料が用いられているそうです。これは決して悪い材料ではないのですが、歯肉の中の深い情報が取れないなど精度を追求するうえで決定的な弱点があります。

そしてもう一つ、副模型を造る事ができないという問題があります。これはどういう事なのかというと、シリコンは同じ型から石膏模型を複数ヶ造る事ができます。もちろん2個目は1個目より精度がわずかに落ちるのですが、この2個目を用いて制作工程で生じる誤差を、具体的には隣の歯との間隔を極限まで合わせる事ができます。

その結果、この技工所さんが今造ってくる冠や詰め物は、ほぼ無調整で患者さんの口の中に適合します。これはとても難しい事なのですが、それをこちらが要求せずともやってくる彼らの仕事を私は高く評価しています。

通常は出来てきた冠などを患者さんの口の中に入れては取り出し、削っては入れての繰り返し、つまり型取りした情報を完全に再現したものができ上がってくるわけではなく、かなりの誤差を持って納品されます。

シリコンの型取り材はコストが高く、扱いも難しく時間もかかるために保険中心の日本の歯科医療ではあまり普及していません。自由診療といえども患者さんの目に見えない部分はコストや品質を落してもかまわないという経営判断があるのでしょう。これは私達が考える医療とは根本的に違います。ご参考までに…

【吉田歯科診療室 自由診療とは何でしょう?】

この技工所さんはそこそこの規模なのですが、シリコン型取り材による受注率をお聴きしたところ、何%だったと思いますか?あまりの低さにここでは言えない程です。だから私なんかの所に意見を訊きにおいでになったという訳です。空いた口が塞がらなかったのはひさしブリブリです。歯科医療の窮状を新しい視点で感じました。

**

一方のこれから開業を目指す先生。先生には私が一番信頼しているコンサルさんを紹介しておいたのですが、先日お会いしたそうで良い話しが出来たとご報告をいただきました。だけど内心は心配がいっぱいでしょう。実は最近こんな記事がでておりまして…


【PRESIDENT】

歯科の悲惨な現状を面白おかしく綴った心無い記事ではありますが(これについてはまた後で)、残念ながら的を射ています。

歯科医療は国策として優先順位は低く、重要性はまったく認められていません。国は歯科医療とはこの程度で十分と考えており、諸外国並の治療水準にあげるのは到底不可能です。その悪条件の中で皆一生懸命患者さんの事を考えて治療しているのですが、予算が1/8では限界です。

私は歯科医師は多すぎるとはぜんぜん思っていない事を彼に言いました。なぜなら病人があまりに多いからです。医療が奏功し病人がいなくなった時に始めて歯科医師過剰と言われるはずですが、そうではありません。正しい情報が世の中に伝わっていないのです。


さて2件のお話から改めていろいろ考えてみました。

多くの医療機関は財政難と人材不足で、医学的に正しい医療が思うようにできません。できるのは自由診療の場合のみですが、これも混合診療という日本独自の解釈に行く手を阻まれます。もちろん患者さんの支払能力の違いは深刻です。

だからといって私は1985年までのタダのような金額で医療が受けられる制度が良いとは思っていません。むしろ悪い事だと思っています。日本人は健康の価値観を凋落させた健康保険制度の悪影響からいまだに抜け出せていないからです。医療費負担を軽くすれば通院者が増え、病人が減るだろうという理屈にもまったく賛成できません。

必要なのは本当の意味での「保険」を目指す事につきると思います。日本人は結果の平等性を求める傾向にあります。いわゆる護送船団方式で、一番レベルの低い部分にすべて並ばせようとします。しかしこれでは救われる者も救われません。

必要なのは「機会の平等」です。誰もが医療機関に受診できるよう敷居を下げる、その上で医師の助言を守らない者は保険適用から外す、たとえば喫煙者の肺癌の治療はできない、生活習慣が改善されなけでば糖尿病の治療はできない、そして歯を磨く努力をしなければ歯周病の治療はできない、、、当然だと思います。

なるべくしてなった自己責任のある病気にまで保険を使ってしまう(歯科は特にこれが顕著)、あるいは不完全な医療制度であるがゆえの再治療や再々治療にまた財源を使う(これも歯科の特徴)、財政がおかしくなって当然です。

保険なのですから本当に運のない不幸な人にだけ手厚く受給されるような仕組みにすればいい、難病患者が薬が高くて治療できないなんてバカな制度は保険ではありません。それがなぜできないのか理解できません。

しかしこのような制度に変る事はありえません。ではどうするか?これは自己防衛をしていただくより他はありません。

「悪くなったら医者が治してくれる」という幻想を捨てる、そして自分を知り病気を知る、そのような健康教育こそ重要だと思うのです。理解こそ妙薬、それを患者さんにも自分にも徹底する、そのような事を日常実践する事が幸せを呼び込むものだと思います。そして微力ながら私はやってきて、今ここにいます。

こんな私を頼りにしていらっしゃってくださった方の参考になったかどうかはわかりませんが、私達の所で実践している事が何かの役にたってくれればと願うものです。

2010年9月4日土曜日

from銀座(救急の日)

銀座で花を見つけるのはちょっと難しいかもしれません(夜の花はいっぱいいるが)。しかし今日は松屋通りでこんな催しもがありましたので撮ってみました。


来る9月9日は救急の日。それにちなんだ催しが開かれていました。


京橋消防署に配属されている本物の救急車が乗り放題!オィオィ、救急要請があったらどうするんだ!?


その救急車の内部。オレンジのストレッチャーが緊迫感を高めます。私の周りにも何人かがこれに乗ったことがありますが、私はゴメンです。お世話になりたくないものです。


しかしこちらは一度は乗ってみたい地震体験車!けど1人では恥ずかしくて乗れませんナ。ちなみにこれでも私は新潟地震の被災者ですが、幼少だったので揺れた記憶がありません。避難生活はピクニック気分で楽しい思い出しかありません(←不謹慎な子供)。


すべての人にやって欲しい、救急蘇生の実演と体験コーナー。こういう教育や広報はもっと大々的にやってもらいたいものです。

それから救急車を呼ぶべきかどうか、これはもう普段から命の教育をし、皆が慣れていなくてはうまく行かないのではないでしょうか?たとえばこれは難しい判断だったようです。

【朝日新聞】

防災は1人1人の心掛けからしか成り立ちません。いくら消防署の皆さんが一生懸命やっても限界があります。医療と同様に、命の教育が学校だけでなく社会に広まらなくてならないですね。

from世田谷

健康管理と気分転換はランニングとお風呂(+できたら昼寝)、これに限ります!

from新潟シリーズでそこそこまともな写真が撮れましたので、朝ランニングの時にiPhone4で撮った写真をご紹介しましょう。クリックすると拡大します。



















注意してみると意外にこういう写真て撮れるもんですね。しかし銀座でこういう写真が撮れるのか、これはちょいと難しそうです…


三越伊勢丹どこへ行く


ご存知、銀座四丁目交差点から三越銀座店を見ています。で、この写真右側は今こんな感じです。


増床され大幅なリニューアルを図る、三越伊勢丹ホールディングスの最終兵器が誕生するのは9月11日(土)。既に外装は完成し、ガラス越しに中の様子が伺えます。


実は新館が誕生するこの場所、吉田が1985年から12年間に渡って常勤・非常勤で勤務していた歯科医院があった跡地です。

一階にはPRONTO、左隣にマクドナルド・酒屋の藤木さん、そして角に紳士服の英国屋がありました。

そこを右に曲がると、すなわち三越の裏手には三越の家具売り場、そして知る人ぞ知る洋食のみかわや[*1]がありました。古い一軒家の洋館で、二階に上がる階段がギシギシ音がするのが好きでした。当時の院長らとハンバーグを何度も食べに行った事を懐かしく思い出します。

またその歯科医院の右手には古い喫茶店(その後はTULLY'S)や、長崎の親和銀行東京支店[*2]、角を曲って三越のオンボロ立体駐車場と続いていました。もちろん今ではこれらは跡形もありません。ホント時の流れを感じます。


既に撤去されていますが、現存店舗の外壁はごらんのようにいろいろ単語が並んだパネルで覆われていました。


粋・流儀・感性・文化の街・こだわり・楽しい街・・・新しい三越が狙うキーワードなのでしょうか、会社としての意気込みや目指すものを現しているのでしょう。しかしデパートの先行きは確かに難しそうです。デパートはその業態を大きく変える時期に来ている事は誰の目にも明らかです。


もうずいぶん前から各地でデパートの閉店が報道されてきました。最近では私の地元である新潟市の大和デパートが6月25日に閉店【新潟日報】、東京といえども有楽町西武が年末閉店を発表し大きな話題になりました。そんな中での三越銀座店の増床はどういう意味があるのでしょう。

大規模小売店に限らず、多くの流通販売はネット通販の普及でガラリと変わってしまったと言われています。最近ではその影響で渋谷のHMVがなくなり、跡地にはForever 21の出店が明らかになりました。

出版業界ではiPadの出現により電子出版が台頭する事が確実、本屋さんだけではなく出版社や卸し業も飛ばされ、作家から読者へダイレクトに電子書籍を販売するいわゆる「中抜き」が懸念されています。

私自身も確かに小売店よりAmazonなどで買うものが多く、日本橋時代も銀座に戻ってきてからも三越に足を運ぶ事は食品売り場以外はそんなに多くはありませんでした。自分自身も含め、今の消費形態とは何なのかを考えてみました。


最近よく思うのですが、新しく来られる患者さんの中に非常に具体的な治療方針を持って来られる方が増えています。これもネットの影響だと思うのですが、たいへん失礼ながら中途半端な知識でけっこう理不尽な要求をされます。

良くも悪くも自分自身で勝手に治療内容を決めてくる、そしてその希望に沿わなければ転院する、要するに自分に都合の良い事だけを言ってくれる歯科医師を求めている層が確実に増えているのです。これは実はネットショッピングとよく似ています。

ネットでモノを買う時はだいたい自分で目的意識を持ち、最初からコレと思う商品を見定めて買う事が多いと思います。価格以外はたいした比較はしません。そしてお買い物ですからお金を払えばだれでも所有する事ができます。そこに自分に合う・合わないは関係ありません、買えれば満足なのです。

しかし歯の治療はネットではできません。合う・合わないというより、できる・できないがあります。

またネットに出ていた治療がそのまま自分に当てはまる訳ではありません。それは自分自身を診断する事ができないのですから当然です。しかしそのような感覚が希薄で専門家の助言を聴こうとしない、実物を知らないのに欲しがる、ネット社会はそんな人を増やしているように感じます。話しが回りくどくなりましたがデパートが目指すもの、存在意義とはそんな人の原点回帰を促すものであってほしいと思うのです。

慶応義塾大学の岸博幸さんはネットでのコンテンツ流通について、人間の興味や関心の幅の拡大という面についてはまだ代替するまでには至っていない【日経トレンディネット】と述べています。まさにその通りで、たまたま目に付いた品を瞬時に目利きする力をネットは落してしまったように思うのです。

リアル店舗とネット上のバーチャル店舗、この違いを流通コストの差と言う専門家が多いと思います。しかしそれは、同じものなら安けりゃ良いという表面的な事しか見れない人の意見ではないでしょうか。

消費行動とはそうではなく、あれこれ自分の目で見定め自分に合った一品を見つけ出すリアルな感覚が重要で、その楽しみを提供する最高峰がデパートです。それに対し払う対価はネットに比べて高くて当然、デパートはただ高級とか信頼を売るだけでなく、この映画のように実現可能なリアルな夢を提供する場であって欲しいのです。


粋・流儀・感性・文化の街・こだわり・楽しい街・・・どれ一つとってもネットではありえない事です。安けりゃ何でも良いというモノと、三越伊勢丹でなくてはならないモノの違いは何か?それは選ぶ楽しみや偶然がもたらす意外な自分の発見、そういう情報が発信できる所であれば、デパートだけでなくすべての小売業は変れるのではないかと思います。銀座三越がその先鞭をつけてもらいたいものと願わずにはいられません。

追伸

*1:みかわやは三越新館での営業再開に向けて鋭意準備中です。「旧館の銀座らしい風情をできるだけ再現したい」と書いてあります。けどあの階段どうするのでしょう?そのまま移設だったら嬉しいです。



*2:親和銀行さんからは患者さんもいっぱいいらしてました。みんなどうしてるかな〜?