2010年12月18日土曜日

さらば、2つのレントゲン (1) ヨシダREX-601

既にお知らせしているように、レントゲン設備が更新されます。「デンタル」と呼ばれる歯科用の小さなレントゲンの照射機と、「パノラマ」と呼ばれる大きな機械の2つ、本当はまだまだぜんぜん使える機械なのですが、残念ながら本日までのお役となりました。思い出がいっぱい詰まっています。



レントゲンなんて一度買えば一生そのまま使えるもの、ほとんどの歯科医師がそう思っているのではないでしょうか。私もその一人でした。

1997年3月、日本橋で開業する私に当時の勤務先の院長先生が開業祝いにと贈ってくださったのがこの機械、ヨシダ製作所のREX-601という普及機です。96年製と刻印されており、14年間まったく普通に動いてきました。もちろん今も。

ではなぜ手放すか、それは5年前に行ったレントゲンのデジタル化に対応できなくなってしまったからです。

それまでのレントゲンはいわゆる銀塩というアナログ、あの透かして視るものでした。しかしアナログは自分で視るのはともかく、患者さんにお見せするにはあまりに小さく不便なものでした。

自動現像機を使っていたものの、やはり現像や定着ムラがあり、保存性や検索性も悪いものでした。膨大なアナログデーターはもはや管理が不可能、そこでそろそろ標準化されてきたデジタルに一気に変更をしたのでした。

自動現像機がなくなり、代わりにレントゲン用のコンピューターが入りました。これで確かに管理はラクチンになりました。しかし肝心な写りはというと、ちょっと細部の再現性が???な時があり、特に根管治療の時に判断に窮する事にもなりました。

原因は簡単で、アナログ用の照射機をそのままデジタルに流用したからです。やはり仕様が違うのです。具体的には「波形」と「管電圧」というのが違います。

ご存知の方も多いとは思いますが、今私たちの所では「再根管治療」の依頼がとても多く、高度な診断が求められます。普通の治療を普通にやっていくだけではうまく行かないという事は顕微鏡が教えてくれました。ではどうする?

アナログに戻す事も考えたのですが、他の診療設備との兼ね合いでそれはできません。という事で、デジタルに適応した照射器に変更、贈り物のレントゲンは残念ですが売却となってしまったのでした。