2011年6月28日火曜日

日本歯内療法学会に期待する・2

こちらからの続きです。学会誌にはこう書いてあります。

  • (我が国では)根管治療に対する診療報酬が比較的安価に設定され、根管治療に十分な時間を割けない状況下からもその成功率は低く、再根管治療の頻度がかなり高い。
  • 術中感染についてはわが国に特化した問題を含んでいる。すなわち根管治療の原理原則である無菌的処置の達成度が低く、その原因の一部が個々の歯科医師のモラルや保険診療と絡み合っている。*1
ここで言う根管治療とは歯内療法とまったく同じと思ってください。さらにバックナンバーにはこのような記述もあります。
  • 無菌的処置原則を守らない根管拡大・形成は、単に感染経路を拡大しているにすぎない。
  • ラバーダムを必ず使用するのは一般歯科医師の5.4%、日本歯内療法学会会員でさえ25.4%にすぎない。
  • (日本の)歯科医師が歯内療法を行う環境は困難を極めている。保健診療における歯内療法の低評価は誰もが認める事実であり(中略)、米国は我国の社会保険診療報酬の7倍以上であり、(我が国が)それに近づけるのは不可能に近い。*2
・・・とまぁ日本の惨憺たる実情を、しかもとっても偉い先生方がよくぞここまで文章にしていただけたものと、涙が出てきます。とは言えあまりに遅すぎた。


あまり知られている事ではありませんが、これが日本の歯内治療の実情です。そしてそれ以外の治療(小さな虫歯治療から入歯まで)においても大差はありません。


日本人はなぜこうも低品質の歯科治療を強要されているのでしょう?そしてなぜこんな重大な事にみんな関心を持たずにすんできたのでしょうか?


〜つづく


*1 野扖由一郎 他 根管治療を再考する その成功と失敗の鍵 日歯内療誌 32(2):87~96 2011
*2 須田英明 わが国における歯内療法の現状と課題 日歯内療誌 32(1):1~10 2011