2009年8月2日日曜日

今週の映画 Allways 続・三丁目の夕日


しばらくお伝えしていなかった今週の映画です。今週は、というより先週からですが「Always 続・三丁目の夕日」を流しています。原作の漫画はもう20年くらい前からですから、ご存知の方も多いことでしょう。

「昭和」うーん、いい響きです。私も古い人間です。ご存知のように、この映画には古いモノがたくさん出てきます。オート三輪や手回し脱水機 、都電に特急こだま号と、私より少し上の世代の方にはまさに泪モノ。CGくささはありますが、充分すばらしいです。

さてなんで今この映画を流しているのかと言うと、日本橋が出てくるからです。

薬師丸ひろ子演じるお母さんが日本橋の上で昔好きだった人と偶然出逢うシーンや、最後の夕日を3人で見るシーンなど、日本橋はこの映画の時代背景の象徴として使われています。歩いてきた方向を考えると、デパートとは高島屋の事でしょうか?

日本橋を去るに当たって、私は最後の1週間はこの映画を流そうと決めていました。そしてついにその週がやってきたということです。


この映画を観ていて面白いと思うのは、戦後の日本の価値観です。モノが人の幸せを造るという日本復興の原点を垣間見る事ができます。

と同時に健康観がどうだったかも解ります。堤真一演じるお父さんたちがタバコをプカプカふかすシーンなどは、おそらく今の時代を描いた映画ではあまり見ない事でしょう。

昔のハードボイルド映画などは、キャラクターに迫をつけるために意図的に主人公がタバコを吸うシーンを多用したそうですが、これは一般人です。何の疑問も持たずにタバコを吸っていた時代を思うと隔世の感があります。

しかしそれでも喫煙者が減らないのは(特に女性に)、やはり文化として根付いてしまったものの改善は難しいなとしか言いようがありません。

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さてその日本橋は、ご存知のように東京オリンピックを機に整備された首都高速道路のおかげで、その架橋の下に河川ごと隠れてしまいました。

上の写真は上流の河岸橋からの撮影です。ちょうど一枚目の写真の黄色い服の女の子の頭の上に見える橋からです。つまりこの写真の奥に見えるアーチ状の橋が「日本橋」です。情けないです、かわいそうです。

日本文化の良い所を無視し、ただ車を走らせれば良いと言う愚策の象徴に成り下がってしまったのがこの日本橋なのです。

こんな状況を見るに見かね、首都高速を地下化して日本橋に青空を取り戻そうという動きがあります。時の小泉総理大臣の掛け声もあり私は期待しているのですが、ただ川があるだけでなく隣を地下鉄半蔵門線が並走しており、それらの安全を確保しながらの工事はとんでもなく難しいでしょう。

しかし川と半蔵門線の間には既にけっこう更地があり、ここがそのための用地である事は間違いありません。

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患者さんの中には日本橋在勤40年の方がおられ、映画を観ながら昔の日本橋付近の話しをしてくださいます。ココにはアレがあったんだと、懐かしそうに話してくださるのはこちらも嬉しい事です。

今週6日(木)で日本橋の診療室は閉院です(その後は11日までは対処可能な急患のみお受けいたします)。くしくも移転先の銀座は「三丁目」。夕日はビルに隠れて見える事はありませんが、私はいつまでもあの美しい日本橋に思いを馳せ、ずっと見守って行こうと思うのです。まぁ、たった地下鉄で5分ですしね。