ご存知、銀座四丁目交差点から三越銀座店を見ています。で、この写真右側は今こんな感じです。
増床され大幅なリニューアルを図る、三越伊勢丹ホールディングスの最終兵器が誕生するのは9月11日(土)。既に外装は完成し、ガラス越しに中の様子が伺えます。
実は新館が誕生するこの場所、吉田が1985年から12年間に渡って常勤・非常勤で勤務していた歯科医院があった跡地です。
一階にはPRONTO、左隣にマクドナルド・酒屋の藤木さん、そして角に紳士服の英国屋がありました。
そこを右に曲がると、すなわち三越の裏手には三越の家具売り場、そして知る人ぞ知る洋食のみかわや[*1]がありました。古い一軒家の洋館で、二階に上がる階段がギシギシ音がするのが好きでした。当時の院長らとハンバーグを何度も食べに行った事を懐かしく思い出します。
またその歯科医院の右手には古い喫茶店(その後はTULLY'S)や、長崎の親和銀行東京支店[*2]、角を曲って三越のオンボロ立体駐車場と続いていました。もちろん今ではこれらは跡形もありません。ホント時の流れを感じます。
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既に撤去されていますが、現存店舗の外壁はごらんのようにいろいろ単語が並んだパネルで覆われていました。
粋・流儀・感性・文化の街・こだわり・楽しい街・・・新しい三越が狙うキーワードなのでしょうか、会社としての意気込みや目指すものを現しているのでしょう。しかしデパートの先行きは確かに難しそうです。デパートはその業態を大きく変える時期に来ている事は誰の目にも明らかです。
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もうずいぶん前から各地でデパートの閉店が報道されてきました。最近では私の地元である新潟市の大和デパートが6月25日に閉店【新潟日報】、東京といえども有楽町西武が年末閉店を発表し大きな話題になりました。そんな中での三越銀座店の増床はどういう意味があるのでしょう。
大規模小売店に限らず、多くの流通販売はネット通販の普及でガラリと変わってしまったと言われています。最近ではその影響で渋谷のHMVがなくなり、跡地にはForever 21の出店が明らかになりました。
出版業界ではiPadの出現により電子出版が台頭する事が確実、本屋さんだけではなく出版社や卸し業も飛ばされ、作家から読者へダイレクトに電子書籍を販売するいわゆる「中抜き」が懸念されています。
私自身も確かに小売店よりAmazonなどで買うものが多く、日本橋時代も銀座に戻ってきてからも三越に足を運ぶ事は食品売り場以外はそんなに多くはありませんでした。自分自身も含め、今の消費形態とは何なのかを考えてみました。
出版業界ではiPadの出現により電子出版が台頭する事が確実、本屋さんだけではなく出版社や卸し業も飛ばされ、作家から読者へダイレクトに電子書籍を販売するいわゆる「中抜き」が懸念されています。
私自身も確かに小売店よりAmazonなどで買うものが多く、日本橋時代も銀座に戻ってきてからも三越に足を運ぶ事は食品売り場以外はそんなに多くはありませんでした。自分自身も含め、今の消費形態とは何なのかを考えてみました。
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最近よく思うのですが、新しく来られる患者さんの中に非常に具体的な治療方針を持って来られる方が増えています。これもネットの影響だと思うのですが、たいへん失礼ながら中途半端な知識でけっこう理不尽な要求をされます。
良くも悪くも自分自身で勝手に治療内容を決めてくる、そしてその希望に沿わなければ転院する、要するに自分に都合の良い事だけを言ってくれる歯科医師を求めている層が確実に増えているのです。これは実はネットショッピングとよく似ています。
ネットでモノを買う時はだいたい自分で目的意識を持ち、最初からコレと思う商品を見定めて買う事が多いと思います。価格以外はたいした比較はしません。そしてお買い物ですからお金を払えばだれでも所有する事ができます。そこに自分に合う・合わないは関係ありません、買えれば満足なのです。
しかし歯の治療はネットではできません。合う・合わないというより、できる・できないがあります。
またネットに出ていた治療がそのまま自分に当てはまる訳ではありません。それは自分自身を診断する事ができないのですから当然です。しかしそのような感覚が希薄で専門家の助言を聴こうとしない、実物を知らないのに欲しがる、ネット社会はそんな人を増やしているように感じます。話しが回りくどくなりましたがデパートが目指すもの、存在意義とはそんな人の原点回帰を促すものであってほしいと思うのです。
慶応義塾大学の岸博幸さんはネットでのコンテンツ流通について、人間の興味や関心の幅の拡大という面についてはまだ代替するまでには至っていない【日経トレンディネット】と述べています。まさにその通りで、たまたま目に付いた品を瞬時に目利きする力をネットは落してしまったように思うのです。
リアル店舗とネット上のバーチャル店舗、この違いを流通コストの差と言う専門家が多いと思います。しかしそれは、同じものなら安けりゃ良いという表面的な事しか見れない人の意見ではないでしょうか。
消費行動とはそうではなく、あれこれ自分の目で見定め自分に合った一品を見つけ出すリアルな感覚が重要で、その楽しみを提供する最高峰がデパートです。それに対し払う対価はネットに比べて高くて当然、デパートはただ高級とか信頼を売るだけでなく、この映画のように実現可能なリアルな夢を提供する場であって欲しいのです。
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粋・流儀・感性・文化の街・こだわり・楽しい街・・・どれ一つとってもネットではありえない事です。安けりゃ何でも良いというモノと、三越伊勢丹でなくてはならないモノの違いは何か?それは選ぶ楽しみや偶然がもたらす意外な自分の発見、そういう情報が発信できる所であれば、デパートだけでなくすべての小売業は変れるのではないかと思います。銀座三越がその先鞭をつけてもらいたいものと願わずにはいられません。
追伸
*2:親和銀行さんからは患者さんもいっぱいいらしてました。みんなどうしてるかな〜?