2010年7月23日金曜日

「インプラントで困ったら」が困った(3)

三日目です。今日は寝たきり高齢者の話題でした。

【医療ルネサンス 読売新聞】

これは正に私が書いた本のメインテーマそのもの、インプラントは高齢社会とどうバランスを取って行くべきなのか、答えは無いようで有ります。終章「高齢社会とインプラント」はそれに特化して書いたものです。


今日の記事も「発熱はインプラント周りの汚れが原因だった」とインプラントだけが悪者扱いにされている事がたいへん気になります。汚染された歯も同様なのですが!?

「麻酔を使って抜いた」とありますが、歯と違いインプラントの撤去はかなりたいへんです。担当の先生はそうとうたいへんだったと思います。これが介護の現場では大きな問題です。

しかし「適切な手入れをしていれば〜〜〜体力を保つ事ができる」とは正にそのとおり。ただそれは寝たきりになってからスタートするものではありません。インプラント治療が始まる前から始まっていなくてはならない事なのですが、世の中どうもそうはなっていません。

文中にあるように、危なそうになったらアバットメントという芯を外してフタをして、歯肉の中に埋めてしまう方法があります。私もそれに賛成です。しかしこれとて炎症が深くまで行ってしまっては意味がありません。

それでもアバットメントが外せた方が良いのですが、このとき一回法というタイプのインプラントはアバットメントを外してもインプラントの連結部が歯肉の上にあるので、歯肉の中に埋まりません。

さらにその状態でリベースと言って、口の中でプラスチックを固めて入れ歯をピッタリ合わせる作業をしようとうすると、インプラントの連結部とプラスチックがひっかかって、うまく合わせられないというたいへんな不都合が発生します。ですから私は一回法用のインプラントはもうほとんど用いません。二回法用のインプラントを使用します。

しかしそれでもインプラントは高齢社会を支えています。これがなければ記事中の患者さんは、もっと早く不都合が出ていたのではないでしょうか。

これらの事はは著書に詳しく書いたつもりですが、すでに絶版。立ち読みコーナーで一部が読めるようになっています。ぜひ多くの人にお読みいただきたいものです。