2010年6月14日月曜日

「酸性水」でのウガイに気をつけて!

この土日は東京国際フォーラムでの「日本顎咬合学会」に参加をしていたのですが、ちょっと不穏な話しがチラホラ。「酸性雨」ならず「酸性水」誤用による歯の被害が出ているようなのです。

とある先生の講演を聞いていると、「なぜか最近、口の殺菌のために酸性水を用いている方が増えているいようで、歯が溶けている人がよく来る」という話しが。

その後何人かに聞いて見ると、確かにそうらしいのです。という事は、恐れていた事が本当に。。。

「パーフェクトペリオ・カリエスシステム」という特殊な電解水をご存知の方も多いでしょう。ここ2~3年、マスコミにかなり登場し、実は私達の患者さんでも自己責任で試用している方がおられます。

具体的にはその水を用いる事で歯周病菌やむし歯の原因菌を撲滅しようという夢のような水なのですが、もちろん実際にはそんな簡単に行くはずはありません。今のところ私の評価は積極的な治療やブラッシングができない一部の方にのみ有効で、ある程度基本的な治療を行える方には無効、効果は極めて限定的というものです。

しかしパーフェクトペリオ・カリエスシステムは強い塩素臭がする電解水でありながら極端な酸ではありません。ですから少なくとも歯が溶けるような事はありません*。

ところが「電解水」=「酸性水」と解釈した便乗業者がおり、安価な機械を売るために歯周病に効くとは書かないものの販売でそのような言い方をしており、その被害が表面化しているのではないかという事なのです。もちろん確証がとれているわけではないのですが。

私は日本橋時代に器具の消毒に強酸性水と強アルカリ水を使い分けていましたが、今ではもっと良いものがあるので銀座では使っていません。酸性水を口に含むと誰にでも解るのですが、レモンをかじった後の状態と同じように歯の表面が侵食され、ギシギシになります。これが日常的に続いたら目に見えるくらい歯が無くなって行きます。

弱者につけ込む安易な商売は私達の敵、くれぐれもお気をつけください。甘い言葉に騙されず、きちんとした治療を受けていただきたいものです。

* 2010年時点での話ですが、長期使用者のエナメル質表面全体に脱灰傾向が認められました。ご注意ください。パーフェクトペリオはつかわないでください(2016-10-08)