2009年5月21日木曜日

パッチ・アダムス講演会

5月15日の歯界良好でお伝えしたように、Dr. パッチアダムスの講演会に行ってきました。

はっきり言って、この方「へんなおじさん」です。まず服装がヘン。浮き世絵のアロハに、赤系のへんな柄のダボダボパンツです。映画での行動もうなづけます。

会場から服装に関する質問も出ましたが、わざと派手な格好をしているそうです。身長190cm はあろうという体格にこれですから、誰もが驚きます。しかしこのような服装のおかげで、危険な所に行っても気持ち悪がられて襲われないのだそうです。190cmもあったら最初から目立っちゃいますから、このさい思いっきり目立ってしまおうという戦略のようです。恐れ入りました。ちなみに靴下は右がオレンジ、左がグリーンでした。

集まったのは300名くらいではないかと思いますが、30歳前後の若い人たちが圧倒的に多く、年配の方はほとんどおられないという、何か日本の医療の閉塞感を象徴するような年齢構成でした。

さて中身ですが、講演というより質問会という趣旨で、とにかくパッチに訊きたいという切実な願いと熱い思いを持つ人たちが集結していました。質問内容は介護や医療の現場で悩んでいる人や、新しいチャレンジをしている人が思いをぶつけ、パッチがハグするという感動場面の連続。みなさん、癒されてお帰りになられたことでしょう。

パッチは同じ志を持った仲間が集まる事が重要だと解いています。おそらく日本の特殊事情はある程度知ってはいるのでしょうが、それにしても道のりは険しそうです。

さてこの講演会、もちろん素晴らしいもだったのですが、私には少し物足りない結果となりました。今回の講演は映画のように、すでに症状が表面化している方に対応する話でした。もちろんそれはそれで大切な事に違いありません。しかしそれだけではいけないと思うのです。これは焼け石に水で、放置しておけばこの複雑な時代において患者は増える一方です。それが大きな社会負担になっているわけで、このままでは間に合わないと思うのです。

今後大切になるのは、そのような患者さんが増えないように予防するにはどうあるべきかを皆が考える事ではないでしょうか。

そこには社会の罠があり、それに翻弄される人の心の弱さがあるわけです。医療や介護を通じて、自分自身はどうあるべきかという未来の展望を語らなければ、パッチ・アダムスの偉業も表面的なもので終わってしまうと思うのです。