2011年10月6日木曜日

本当に世界を変えた人だった!


たまたま今日は8日の土曜診療の振替休日。前日の雨がウソのようにあがり、気持ちよく外で原稿整理をしようと思いやってきた銀座テラス(銀座三越屋上)。そこで開けた MacBook Air に飛び込んできた朝日新聞にあった一行、それが Steve Jobs の訃報でした。

開店と同時にエレベーターに乗ったので、報道からはまだ1時間ほどしか経っていなかった頃だと思います。これはもう原稿はそっちのけ、ウェブを見あさり、そしてアレコレいろいろ考えてしまいました。


私こそがオバマ大統領が言う「彼の死を、彼が発明した製品で知った」者の一人です。

吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニックには10台ものコンピューターが稼働しています。そのうち7台がApple製、本当はもっと減らしたいのですが機能分散の必要があり、これはこれでしかたがない。

しかしもしこれらがすべて Windows であったなら、明らかに私1人で管理はできないでしょう。難解なネットワークやセキュリティ設定、トラブルのリカバリーなど、やはりMac は直感的でユーザーフレンドリー、そこそこのトラブルはずっと自力で回避してきました。(Lion になってからちょっと不安定で困っていますが、次のアップデーターに期待です。)


良く知られているように、Apple の製品には取説がほとんどありません。どんな家電製品でも最近のそれは辞書のように厚く、しかもとて見辛いのがほとんど。この差は何か?

多くの人はそれを「Mac は直感的に扱えるようにデザインされているから必ずしも必要ない」と答えるでしょう。確かにそのとおり、Apple の製品は常に「使う人の方を向いて」造られています。オモチャのようにいじっているうちに、いつの間にか使えてしまう親しみがあります。

ではその他の製品は、使う人の方を向いていないのか?もちろんそんな事はないと思います。しかしそのレベルが違う、そして何より過程が違うのではと思うのです。Jobs はこう述べています。

大事なのは、デジタルの前にアナログで考える時間を持つこと

いきなりPowerPoint に入力してはいけない、いきなりカメラのシャッターを押してはいけない。常に考え、議論し、相手をイメージし、自分をコントロールする。技術のための技術ではなく、使う人のための技術を徹底する、それが Jobs が Apple にもたらした最大の財産であり企業文化だと思うのです。

私は常々「表現力なき技術は無意味」と思っているのですが、それはたぶん Apple 製品を長らく使ってきて感じた事です。とかく昨今のIT機器は技術者レベルで考えられすぎ、あまりに解りにくい製品になっています。


翻って自分の仕事はどうか?医療技術はあまりに解りにくく、インフォームドコンセントと言いながらも、理解が得られないまま医療理論の押し付けにならざるを得ない。

顕微鏡によるLIVEで以前よりはるかに解りやすい情報提供ができるようにはなったものの、まだまだ人の心を動かせるまでにはなっていません。

Jobs は本気で世界を変えようと思い、本当に変えてしまいました。私にはそこまではできませんが、せめて自分の周りの人達だけにでも良い影響を与えられるようにやっていきたいものです。

Steve Jobs の訃報に接し、この後もいろんな事を小出しにして行こうと思います。