2011年8月29日月曜日

ジルコニアトラブルを考える・2

こちらからの続きです。

連結したジルコニアクラウンが一気に外れてくる、これはもう珍しい事ではないようです。いや、あってはならない事なんですよ。けど多い。なぜ?

しかしその前に、なぜ「連結」しなくてはならないのでしょうか?

連結するという事は、単独(下記参照)では維持に不安があるからという事です。くっつけて補強しましょうと言う事です。

例えば進行した歯周病で、単独では骨の維持が足りずグラグラを止める事ができない、こういう時は隣同士を何本も連結する事があります。

それから歯本体にあまり重さをかける事ができないとき、例えば単独では折れたり外れたりするだろうと診断された時、重さを隣の歯に分散するために連結する必要があります。

私が見てきたジルコニアトラブルは、この「外れる」事に対処しようとして、しきれなかったがために発生したものがほとんどです。ジルコニアはきちんと造らないと、外れやすいのです。なぜか?

ジルコニアクラウンは、ジルコニアのブロックを削りだして造ります(CAD/CAMって言います)。金属のように溶かして鋳込むわけではありません。鋳込みの技術は歴史があり、どうすれば精度の良いものが出来るかは解っています。まさに吸い付くようなピッタリしたものを造る事はそれほど難しくありません。

ただしこれは歯が3本くらいまでの話、4本以上の連結は鑞付けという行程が入るため、精度を上げるのが急に難しくなります。

さてジルコニアは削り出しなので、ピッタリ具合は鋳造にはかないません。顕微鏡で良く見ると、やはり隙間が見えます。その隙間を最新の高性能セメントで埋めてくっつけましょうというのがジルコニアを使った歯の修復です。で、それが許容範囲にある分には何も問題はありません。

また削り出しは一本ずつの精度は鋳造にはかないませんが、何本連結しても理論的には精度が変わる事はありません。しかしそれでも外れて来る… どーして?

〜つづく

PS:ご参考まで、単独とはこういう事、一本ずつという事です。