2016年3月15日火曜日

1・健康保険の功罪

今どこの歯科医院に行っても保険診療と自由診療の説明があり、選択を求められるのではないでしょうか。なぜこのような事になってしまったのか、両者は何がどう違うのか、そして「保険医療機関で行う自由診療 」と「自由診療専門医での自由診療」は何が違うのか、私は以下のように考えています。

1・健康保険の功罪

日本は世界的に珍しい「国民皆保健制度」が完備しており、あたかも誰もが等しく最高の医療を受けられるように思われています。その思想自体はたいへん素晴らしく、もちろん私も毎月健康保険料を払い、その恩恵に感謝している者です。

発足したのは昭和36年ですから、50年以上の歴史があります。その間細かな改定はありましたが、当時と現代では医療の考え方も社会環境も大きく様変わりし、少なくとも歯科医療は大きな制度疲労を抱えながら今日に至っています。

そのため、日本だけが国際的に標準の治療すら提供できないという異常な事態に陥っているのですが、これはあまり知られている事ではありません。行政は決してそのようには言わないからです。

ほとんどの病院・医院は、国民皆保険制度を使って医療を提供する「保険医療機関」で、私のところも以前はそうでした。

健康保険による診療とは、国が用意したビジネスモデルに無条件で賛同するということで、医療機関にとっては余計な事を考えずに診療に集中できるというメリットがありました。国民全員が対象者ですから、広く患者さんを集める事ができることも経営上有利です。患者さんにっても、どこに行っても同じ料金という安心感があります。

しかし医療技術はどんどん変わり高度化しているにもかかわらず、それに見合った予算からどんどん離れて行く事を止められませんでした。たとえば根管治療という歯科の代表的な治療費は諸外国の1/6〜1/12と、一般産業界では考えられない低予算を強いられています。財政難・歯科医師過剰・患者さんの予防意識がなかなか上がらない、などがよく言われる原因です。

言葉はたいへん悪いのですが、低質医療を余儀なくされているのが日本の歯科健康保険の実態です。このことはネットで検索すれば、いくらでも具体例が出てまいります。

  • 自由診療と似たような言葉で自費治療・保健外診療というものがあります。厳密に言えば違うのですが、患者さんにとってはあまり関係ない事ですので、ここでは自由診療とさせていただいております。