2011年6月19日日曜日

Leica M-320 再び・5【動画】

コチラからの続きです。同じ症例を動画で見てみましょう。約200秒のダイジェストです。


原画はコチラ【YouTube】

原画は720×480と小さく、ハイビジョンの時代でありながら、5年前の平均像といった感じです。

しかしこのような動画を治療直に後患者さんにお見せできるメリットははかり知れません。オールインワンを旨とするLeica M-320であればそれがすぐにできる、これは重要です。アレコレ繋ぐのが嫌な方には最高の一台ですね。

撮影はやはり視野中央に作業中心を持って行く事に神経を使います。慣れないとすぐ隅っこに行ってしまったり、撮影範囲から逸脱します。

それから本機はオートアイリス(自動調光)で、真ん中を基準に全体の明るさが決まります。したがって真ん中に濃いものが来ると周辺は白飛びします。上のビデオでも1:06 の所で中央のエアタービンに明るさが合い、作業中心である歯は白飛びしています。本機に限らず、これは汎用カメラの仕方がないところです。

以上のような事に気をつけて撮影すれば効果的な動画を撮影する事が可能です。この症例では古いコンポジットレジンを撤去すると、中からムシ歯の取り残しが出てきたところがポイントです(0:16)。さらにムシ歯を取りきった事をお見せするのも重要です。

どんなに大きなムシ歯でも最初は小さかったはず、その時点でしっかり治療と予防が出来ている事につきると思います。さて最後は総括です。

Leica M-320 再び・4【静止画】

LeicaM-320 の静止画と動画の画質について見てみましょう。サンプルは典型的なムシ歯治療で、部位は左下の前歯です。

基本的には以前と撮像範囲は変わりませんが、対物レンズ焦点距離が250mmになった事で若干視野が変わったようです。それでも常に視野の中央に治療対象がなくてはならない事には変わりなく、ちょっと神経を使います。


これはもうどうしようもない事なのですが、動画用のセンサーで静止画を撮るこのような眠たい画像にしかなりません。一眼レフなどの専用カメラからの画像を見慣れた我々から見れば、写りはぜんぜんパッとしません。

しかし患者さんにお見せするのにそこまでの画質が必要かと言えばそんな事はなく、まったく見えず解らなかった事が目前に現れるだけで驚きです。

上の一枚目はムシ歯の存在と不完全な詰め物(コンポジットレジン)を写したもの、二枚目はムシ歯を取りきりラバーダムを装着したものです。

この二枚の写真だけでただムシ歯の存在を示しただけでなく、一枚目からは予想もつかなかった実際のムシ歯の大きさ・ムシ歯を取りきったという証拠・コンポジットレジンを使う治療の難しさ・ラバーダムを装着する事の重要性を簡単に説明する事ができます。

それから顕微鏡からの撮影は、患者さんに負担をかける事がまったくない事も重要です。一眼レフカメラなどでの撮影は、診療を中断して患者さんに口角鉤(口を引っ張る器具)を持っていただき、口に排唾管と鏡を入れて、アーダコーダ言いながら何枚も気に入った写真が撮れるまでシャッターを切り続けます。これは患者さんにはとっても迷惑です。少なくとも私には手術中はできません。

しかし顕微鏡からの撮影は、治療を中断する事なく誰かにリモコンボタンを押してもらうだけです。今自分が見ている像がほぼそのまま記録されますので、ごまかしや撮り直しのきかない一発勝負の世界、信憑性は抜群です。

歯科界では患者さんの存在を無視したかのような、アートのための写真を撮る方が少なからずおります。私はそのような写真の存在を否定する者ではありませんが、どうも行き過ぎているのではと懸念しています。少なくとも医科ではそのような事はないと聞いています。顕微鏡からの撮影は患者さんの迷惑にはならないため、とても良い方法なのではと思います。

次にこの治療の動画サンプルをご覧いただきましょう。

2011年6月17日金曜日

Leica M-320 再び・3【Eye-FI カード】


実は一番最初に試したかったのが、Eye-Fi カードで動画も転送ができるのかです。M-320の性能とは直接関係はないのですが、使い勝手に大きく影響するものでして…


で結果は見事に成功!パチパチパチ。Eye-Fi カードは偉い!


もちろん既報の通り、静止画も問題なく転送されます。クラウドに保存されますので、帰宅して見る事もできます。共有設定しておけばiPadで見る事もできます。

エンドレスモードを試したかったのですが、そこまでの容量を撮影することはできませんでした。


ソフトウェアバージョンは1.73に。次は写りを見てみましょう。

Leica M-320 再び・2【外観】


たいへんお待たせいたしました。一年前の状態から細かな改良が施されたLeica M-320 のレポートです。株式会社モリタの成島様と水野様に感謝いたします。

さて、まずは外観から。よくよく見ると、、、


対物レンズにカバーが付きました。斜めになっているのは反射を防ぐためです。着脱は容易です。


そしてボディ後端には待望のカウンターバランス(重り)が付きました。これで突然カクンと動いてしまう事が少なくなりました。


もちろん良好なグリップ感はそのまま。ところでこのグリップ、どこかで見た事があると思った方はおられませんか?答えはコチラ。実は同じ企業傘下なんですね。


賛否両論の左右グリップ。今回は付けっぱなしで使ってみましたが、まぁ慣れの問題です。しかしまるで飛行機のようで、飛んで行ってしまいそうな感じですね。


実は今回、対物レンズの焦点距離は250mm。200mmよりも断然使いやすいです。左右のグリップがタービンホースにひっかかる事もほとんどありません。


新旧 Leica 顕微鏡、15年の歳月を感じずにはいられません。さて、使用感を小出しにアップしてまいります。

2011年6月16日木曜日

ラテラル vs クレスタル

ちょっと専門ネタになります。歯科インプラント関係で最近よくある議論で、上顎洞底挙上(サイナスリフト・サイナスフロアエレベーション)という手術を「横からするか、下からするか」という話があります。去年もコチラで激論がかわされていたのは記憶に新しい所です。

で今回の顎咬合学会でもそのシンポジウムがガッチリございまして、自分もいろいろ事例を見てきた事もあり、考えさせられてしまいました。

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上の奥歯にインプラント治療を行おうとする時に問題になるのが、上顎洞という空洞の存在です。この空洞は副鼻腔というものの一つ、まぁ鼻の穴の続きみたいなものだと思ってください。日本人の上顎洞はその底が下方にあることが多く、インプラントを入れるための十分な骨の深さがとれない事がふつうにあります。

そこで考えだされたのが「上顎洞底挙上」という手術。詳しくは著書をご参照いただければと思うのですが、上顎洞の底に骨を造ってインプラントを入れられるようにしましょうというものです。見かけ上、上顎洞の底挙げになりますので、このような名前がついたのでしょう。

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さてその手術をどこからするのかで議論が分かれるのは以前書いたとおりです。で通常は「ラテラルアプローチ」と言って、横側から骨を開けて行きます。


こんな感じになるのですが、この写真のような多房性と呼ばれる複雑な形態にも対処できます。その先にある粘膜は破かないように慎重に進めて行きます。しかし往々にして破れてしまうのが問題です。

この方法の一番良いところは大きく開けるので「よく見える」という事です。破れている事がすぐ解る、だから対処がしやすく結果として失敗が少ないのです。

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一方「クレスタルアプローチ」はインプラントを入れようとする穴から直接粘膜を剥がして行きます。最近の流れはこちらです。

この方法は「簡単である」と紹介される事が多いのですが、私の見解はまったく逆です。こんな難しく恐ろしい方法があるのだろうかと。

クレスタルアプローチと呼ばれるようになったのは最近の話で、「ソケットリフト」とか「オステオトームテクニック」と呼ばれるのが今も一般的です。両者は同じ事で、オステオトームという器具で上顎洞底の骨をゴンゴン叩き徐々に骨折させ、粘膜共々上に挙げようというものです。これは患者さんにとってはたまりません。中にはあまりの衝撃に脳震盪を起こす方もおられるそうです。

実はとある講演会で、「私は200回くらい叩き、患者がフラフラで帰れなくなった事があった・・・(会場は沈黙)・・・あ、ここ、笑う所なんですが・・・?」とおっしゃっていた先生がいました。何とも恐ろしい![*1]

ラテラルはちょっとした外科の知識が必要で、誰にでもできる手術ではないかもしれません。それに比べてソケットリフトは手技自体は単純かもしれません。ですから外科の知識の少ない先生が安易に取り組む傾向にあります。したがって脳震盪以外にも、失敗が少なからず報告されています。穴が小さすぎて、粘膜を破ってしまっているのに気がつかないのです。


上の写真は私がクレスタルアプローチの再手術を依頼され施術した時の写真です。穴は直径4mm、この穴から上顎洞粘膜を剥離し、上に挙げて行きます。その後この穴にインプラントを置いて行きます。(別症例ですがサンプル動画はこちらです)

問題は写真下の穴、粘膜の奥に白いものが透けて見えますね。これは前の治療で使われた骨を補填する材料です。これは破れた穴から奥に漏れてしまった証拠で、その後粘膜が塞がった(治癒した)跡です。

実はこの症例は骨の厚みが1mmあるかないかで、難しい部類に入ります。どこのメーカーのインプラントでも適用できるものではありません。インプラントがしっかり停まる(初期固定って言います)形態の製品は少ないのです。

ところがあるインプラントメーカーさんの口演では「インプランはきちんと停まっていなくてもだいじょうぶ。緩んできたら締め直せば良い。それがウチのインプラントの特徴だ。」と豪語する所があるのです。私は以前から「失敗が増えなければ良いが…」と心配していました。それがついに私の診療室にまで訪れるとは、世の中には相当数の問題が発生しているのではないかと思います。

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私は思います、便利な器具が開発された事もあり時代は確かにクレスタルだ、しかしクレスタルは危険だ。それは見えないからこそおきうる危険性に気がついていない、いや気がつく術を持たない事が問題だと。

解決策は一つ、顕微鏡を使う事です。顕微鏡を使う事で直径わずか4mmの穴からでも危険や失敗に気がつきます。そうすれば手術を中止したり、別な方法に切り替える事ができます。

別な方法とは、それはラテラルです。異常に気がついたらラテラルに切り替えて再アプローチすれば解決の道が開けます。しかしラテラルのスキルのない所ではそれができません。それが問題です。

例えば腹部外科の世界では内視鏡手術が普及しています。手術範囲の狭いこの方法は入院期間も短く、評判は上々です。しかしやはり見える範囲が狭く危険が伴います。ですから手術中に内視鏡では不可能だと判断したら、すぐに開腹手術に切り替えます。歯科口腔外科で行うサイナスリフトも同じだと思うのです。

いかなる手術も無理をしてはいけません。クレスタルが無理そうなら直ちにラテラルに切り替える用意をしておく、そしてその逆も必要、私はそのような考えでサイナスリフトに取り組むべきだと考えています。

「横からするか、下からするか」という議論は、安全性から議論しなおしていただきたいものだと思うのですが。。。

*1 さすがにゴンゴン叩くのはマズイという事で、最近は安全なドリルが数社から発売されています。しかしこれとて失敗があるようで万能ではありません。私も使い始めましたが、慎重に使わざるをえません。さすがにオステオトームは時代遅れですね。

2011年6月15日水曜日

「歯科衛生士シンポジウム」のプログラムがアップに

11月の日本顕微鏡歯科学会の学術大会の目玉とも言うべき(!?)、歯科衛生士シンポジウム。そのプログラムもアップされました。


スケジュールの都合で4月に予定されていたシンポジストから1名変更がでてしまいましたが、それでもすごいメンバーが揃いました。

11月27日(日)14:35スタート。みんなで日本歯科大学へ行きましょう!

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【歯科衛生士シンポジウム】 

歯科衛生士が顕微鏡を使う意義はたいへん大きなものがある事に疑う余地はありません。 例えばプロービングやスケーリングに顕微鏡を用いると、肉眼では知る事もできなかった 実態に気づくものです。

しかしその使いこなしのハードルは決して低くはなく、歯科医師と同様にそれなりの練習 や慣れが必要です。また診療アシストや顕微鏡治療に必要な特殊器具の整備など、歯科衛 生士がかかわる業務は多岐にわたります。

このシンポジウムではすでに顕微鏡を目常的にお使いの3名の歯科衛生士の先生にご登壇 いただき、顕微鏡を使う事の喜びや苦労などを自由に語っていただきます。

歯科衛生士ならではの顕微鏡活用のノウハウを多くの人と共有し、この輪がさらに広がっ て行く事を願いこのシンポジウムを企画しました。討論の時間もございますので、会場か らの活発なご意見・ご質問もお待ちしております。きっと明日からの臨床がさらに楽しく なる事でしょう。

コーディネーター 吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニック 吉田格

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日本顕微鏡歯科学会は11月に

4月に予定されていた日本顕微鏡歯科学会、震災のため中止を余儀なくされましたが、なんとか11月に開催できる運びとなりました。新しいホームページができましたので、以下にご紹介いたしましょう。

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ご挨拶

東日本大震災により被災された方々へお見舞い申し上げます。

震災の影響で中止とした第8回日本顕微鏡歯科学会東京大会を半年延期して開催できることを謹んでお知らせ致します。

顕微鏡歯科の普及と教育を目的 に発足した当学会も設立から8年を迎え、認定医制度も発足し、情報公開などを視野に入れ、あらたな変革期を迎えております。

2011年東京大会は「Get Visual and Open Your Dentistry!」を大会テーマに掲げ、治療の映像化を通して内容を具体的に検証することに主眼を置いた新しい試みの学会であります。

 また本大会は初めて会期を二日間とし待望のテーブルクリニックや歯科衛生士シンポジウムを行うなど、新しい時代に相応しい大会を目指しております。

震災からの復興へ向け、顕微鏡歯科という大きな流れを掴む絶好の機会になると確信しております。
大会長:三橋純  学会長:辻本恭久


大会準備室

吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニック
〒104-0061 東京都中央区銀座3-11-16 銀座Saliceビルディング2F
TEL:03-3248-0418 FAX:03-3248-0417