【朝日新聞】
【読売新聞】
意外にカワイイ所がある方のようです。
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普通の女の子から女優として復帰したスーちゃんは、どちらかと言えば悲壮な役柄が多かったように思います。私が真っ先に頭に浮かぶのが、原爆投下後の広島の悲劇を描いた「黒い雨」です。
「ピカ」と呼ばれる殺人光線を浴びたり放射能雨を浴びた人々が次々と亡くなる様は、原爆の直接の破壊力をも上回る恐怖です。スーちゃん演じる矢須子もついに倒れます。
最初は「スーちゃんの入浴シーンが見れる!」と話題だったこの作品ですが、実はそのシーンこそもっとも衝撃的な場面で、髪を洗う矢須子の毛が被爆の影響で一度に大量に抜け落ちる様子がシリアスに描かれています。
放射能とはかくも恐ろしい物かと誰もが固唾をのみます。
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時代は変わり、原子力の平和利用を謳歌していた日本人が直面した大事故。日本人は原爆から何を学んだのだろうと今更考えてしまいました。
だいたい私達は原子力について何を知っていたのでしょう?プルトニウムって何?原爆と原発の違いは?放射能・放射線・放射性物質の違いは?日本嫌いと言われるサルコジ大統領が突如来日したのはなぜ?
私は仕事でレントゲンを扱う管理者ですが、自信を持ってはっきり答えられる事はありません。(今は少し違いますが………)
残念な事に、日本は世界一の被曝大国となってしまいました(適切な表現ではないかもしれませんが)。天災とは言え、原発造りたさにあまりに安全だ安全だと言い過ぎていなかったでしょうか。
安全性を強調するだけでなく、その危険性についてもきちんと認識する、唯一の戦争被曝国である日本なら、なおさらそのような教育があって良かったのではないでしょうか。そんな事よりお金の勘定の仕方や人の動かし方を勉強する方がよほど実利があるというのが世の流れだと思います。
どんな事にも良い面と悪い面があります。それは医療も同じで、メリットがデメリットを上回ると判断されたときに、それは実行されます。
しかし往々にして悪い面は塞がれ、良い面だけが強調される、たとえばインプラントを患者さんに勧める時には少なからずそのような事があるようにも見受けられます。それがトラブルになった場合の一部が私達の所に来たりするのです。
原子力がこれからどうなって行くかは解りませんが、「過去から学ぶ」「自分の事なんだから人任せにしない」という姿勢がもっと貫かれていなくてはならないと思います。
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今回の事故で「黒い雨」が降るわけではありません。しかし自然現象をどう扱うかという、実は誰もが身近な事にもっと目を向けられて良いのではないかと思います。
在りし日のスーちゃんの写真を見ていると、彼女が一生かけて何を表現しようと思っていたのか、原発事故と重ね合わせて考えてしまいます。
スーちゃんありがとう(在りし日のスーちゃんの写真26点が掲載中)
【朝日新聞】