2013年12月15日日曜日

治療なんて、もうこれを最後にしよう



歯の治療はどうしてこうも再発を繰り返すのか、治しても治しても悪くなる、苦労して治しても意味がないのではないか。お金をかけてもどうせ無駄、そう思う方は少なくありません。

たしかに一度治療した歯は、むし歯の再発を繰り返しやすい、事実私たちの診療室でも再治療や再々治療の割合は非常に高くなっています。

理由はいろいろありますが、その中に「原因を考えずにただ穴埋めなどの修理工事をしただけだから」というのがあります。

物事には必ず原因があります。なのに原因の解決もせず、そのまま修理を進めてしまっては再発はすぐおきます。

ところがその原因を知るのはなかなか難しい、しかも歯の場合それに気がつく事もまずありません。どうしたら知る事ができるのでしょう。

今、私たちは全ての患者さんに顕微鏡とビデオ眼鏡を応用した、お口の中の実況生中継を行っています。これが「ライブ」と呼ばれているものです。



同時に事前に印刷しておいたお口の中のカラー写真とレントゲンに、ライブでお話している内容を、すなわちお口の中の状況をペンで記入します。これらをまとめて一冊の資料「お口の診断書」を造るのです。

このライブでご自身のお口の中をご覧になった方で、驚かない方はおられません。


「磨いているのに、ぜんぜんプラーク(歯垢)が落ちていない」

「冠を被せてもらったが、これほどにも隙間があいているものなのか!」

「歯ぎしりで自分の歯を壊しているなんて気がつかなかった」

などなど。

磨けていない状態で治療が進められてしまっては、結果は悪くて当然です。しかしそれが普通に行われている事なのです。

たとえ歯科医師がそれを知っていてもお伝えしないのは、伝える方法もないし、口で言っても理解してもらえない、さらには健康保険はそもそもそのようにできていないなど、現状ではとても改善するように思えません。


一般的に、治療は治療・予防は予防と分けて考える方が多いと思います。保険診療もそのような考えでできています。しかし私達はそれではうまく行かない現実を見ています。

たとえば虫歯を削って型取りをする治療があります。型取りは正確に行わなくてはなりませんが、しばしば不完全になります。

特に歯茎に近い部分の型取りは、歯肉付近についたプラークや歯肉からの出血の影響をまともに受けてしまいます。

さらに深い虫歯にもなると虫歯は歯肉に埋もれます。このとき歯肉に炎症がちょっとでもあると、触った瞬間に出血してしまいます。これでは型取りはうまく行かず、接着剤も乗りません。皆様が期待する良いものはできないのです。

ではどうするか、実はそんな事を気にせずに進めて行くのが普通の治療で、その結果が「再発」なのです。

私たちはいつも顕微鏡を使っています。ですからそのような不備を未然に知る事ができます。そしてビデオ眼鏡を通し、リアルタイムでお伝えする事ができるのです。「これではうまく行かないですね」と。 

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私達の治療は、まず患者さんが治療に参加してもらえるようになっていただく事から始まります。ライブで改善点をお伝えした後、歯ブラシの方法を細かくお伝えするのです。これではじめてきちんとした治療がはじめられます。

ですから「歯磨きの話はいいから、早く治してください」という要望にはお答えできません。原因が解決していない状態では治療を進める事はできないのです。

また「歯肉は他の医院で治療するのでやらなくてよいです」というのも困ります。私たちが考える歯磨きの方法や歯肉改善のレベルは、ほとんどの場合他の歯科医院さんの考えとはずいぶん違うからです。

最近大きな問題になっているインプラントトラブルも、実は歯が磨けていない患者さんにいきなり適用したために生じたものが多いのです。

原因を除去してから治療を始める、こんな当たり前の事が、歯の治療ではなかなか難しかったのです。しかし今はそれができる時代になり、それが実現すれば治療は軽快になるのです。

歯ブラシをきれいに届かせる力を身につけるには、ある程度の時間が必要です。また人それぞれに習熟の時間が違います。ですから治療が終わるまでの期間は人それぞれ違うし、コストも変わります。

吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニックのスタッフは、全員有資格者である「歯科衛生士」、そして「秘書検定」合格者です。それだけ歯ブラシの重要性をお伝えすることに時間をかけているという事です。

「治療は医者がしてくれるもの、自分は何もしなくても口を開けていれば治してもらえる」というわけではありません。良い治療のためには、患者さんが積極的に治療に参加してもらう必要があるという事なのです。


私たちはみなさんにそんな方になってもらいたくて、毎日いろんなお話をしているのです。