2009年9月27日日曜日

「認定医」ってなんだろう?

9月27日の新聞に以下のような記事が出ています。


医学系には実にたくさんの学会というものがあり、その多くは「認定医制度」というものを持っています。しかしその中身が怪しいものがあるのも事実、そこで学会よりもはるかに大きい医師会が中身を厳しくし国民にわかりやすくする音頭をとるのが狙いだと思います。

私もいくつかの学会の認定医を持っています。そして現在二つの学会の認定・研修に関わる委員をやっています。その私がいつも考えていたのは「誰のための認定医なのか」です。国民のための認定医なのか、それとも学会のお金儲けのための認定医なのかという事です。

実は認定医を取得するには数万円のお金が必要です。試験料・認定料・そして何年か後の更新料、、、、、また認定医の上に「専門医」や「指導医」というランクを造り、これらは学会としての重要な収入源になります。

確かに学会運営とはとんでもないお金がかかり、資金捻出は並大抵の事ではありません。しかしそのために認定医を乱発している学会がある事は容易に想像できます。

学会の認定医であるという事はその先生にとってステイタスでありカッコがよろしい。そして患者さんに解りやすくアピールできるとあって、誰もが欲しがるものなのです。

しかしその基準が緩い所があるとしたら、皆さんはどうですか?いったい何を信じたら良いのか解りません。さらに困った事に学会とは設立基準などなく、法人でなければだれもが勝手に造り名乗る事ができます。自分で勝手に学会を造り、勝手に認定医を名乗る事すらできるのです。私は本当ににそのようなホームページを見かけた事があります。

さらにさらに困った事に、同じ趣旨の学会が複数ある事もあります。これらがそれぞれに認定医を設定すると事はさらに複雑で、一方は認定基準が厳しく、他方は緩い事があります。こうなると認定医の称号欲しさに、緩い方に会員が集まるのです。これはたいへんに困った事で、患者さんは混乱してしまいます。

一定レベルの医師を認定するのが認定医制度のはずですが、試験を厳しくすると今度は会員が集まらず、学会はつぶれてしまいます。しかし私はアメリカの認定医資格を一つ持っているのですが、そこはそれなりに魅力ある学会で、厳しくともそこの認定医をとりたいと思わせる価値が十分あるところでした。

そう、学会にはまず入会する魅力があり、苦労してでも認定医をとりたいと思わせる内容がなくてはなります。しかしどこの学会もそうではありません。勢い基準を緩くせざるをえない所もあっておかしくないでしょう。

しかしそれでも学会は厳然たる態度で認定をしていただきたい。何と言っても認定医は患者のためにあると思うのです。学会がこの人はこういう基準を満たした人であるときちんと定め公表しなくてはならないのです。

今回の医師会の決定は歯科医師会にも及ぶ事でしょう。これを機に、どこの学会も認定の基準を見直すきっかけになってくれれば良いなと思います。