「和田アキラ」この名前を聞いてグッと来る人がおられたら、それは私と同世代の相当なギターフリークだ。これほど緊迫感溢れる音を造り出すギタリストを私は知りません。
その音を私は高校生の頃から追い続け、いつの時でもギターを弾く自分をイメージし続けていたからこそ今の吉田格がある、本当にそんな存在なのです。いろんなミュージシャンの音を聴いては追いかけて来ましたが、今も追い続けているのが和田アキラの音なのです。
でこのCD、私が大学4年くらいのLP盤の限定復刻。受注者が集まった所で制作されるという企画物で、発注者が少なくあやうく没になるところでしたが、めでたく発売されたというものです。
その和田アキラが自ら結成したPRISMが、今も強力に活動しているというのは私にとって大きな励みになっています。
さて30年以上も同じ人の音を追いかけていると、そのプレイスタイルの変遷はとても興味深いものがあります。超絶的な早弾きに加え、ワイドストレッチとかクローズドボイシングと呼ばれる指を極端に開いたコードワークを多用していた時代から、今は小指をほとんど使わず、音を細かく切って行くスタイルへと変り、いったい何があったのかと考えてしまった時代がありました。
しかしその答えは自身のDVDでちゃんと答えていました。やはり昔のようにはプレイできないなと。そしてそれに合わせて新しいプレイスタイルを確立してゆく事の大切さを今は感じ取る事ができます。
絶対に自分には到達できない超絶テクニックに憧れ、追いかけ続けてきた人が向かえたターニングポイント。そこから見えたものは、自分自身にもいつか訪れるその日とどう向き合って行けば良いのかを考える事です。
吉田拓郎が変わり、和田アキラが変わり、なのにファンとは勝手なものでいつまでもその人が変らないでいてほしいと思うものです。けどそれは間違いでしょう。
今私は変化を許容する大切さを感じています。その時々の自分に合わせて表現する、周りはそれを認め楽しむ。私自身も変って行くし、仕事では患者さんも変って行くのがわかります。
さて嬉しい事に、10月21日にはPRISMの新しいアルバムが出ます。和田アキラの新しい変化を楽しもうと思います。時を隔てた2枚の音をほぼ同時期に聴く事ができる幸せを感じずにはいられません。