ご注意:以下は執筆時点の情報であり、1.5テスラの装置での場合です。最新の3テスラの装置では、インプラントが発熱する可能性が指摘されており、医療機関の判断で撮影できない場合があります。1.5テスラの装置ではインプラントが入っていても問題はありません。
突然すごい画像で申し訳ないのですが、この画像を公開したのには訳があります。(患者さんの許可は得てあります)
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突然すごい画像で申し訳ないのですが、この画像を公開したのには訳があります。(患者さんの許可は得てあります)
ところがこの患者さん、つい最近新たにMRIを受けようとしたところ、インプラントが入っている事を理由に拒否されてしまったのです。それはおかしい、事実ここに一年前の写真があるというのにどういう事なのでしょう?
これはおかしいと思いその病院に電話をしてみると、放射線技師さんが出てきて言いました。「そのような事がインターネットに書いてあったので、とりあえずインプラントは除外したんだけど、いや、別におたくさんが許可してくれれば撮影してあげてもいいんだけどね」と、なんだコイツは!と怒りたくなるような応対ではありませんか。それを差し引いたとしても、この程度の知識で命に携わる仕事をしているのかと思うと、まったく情けない話しです。
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実はインプラントに限らず、歯科用金属はMRIに影響があります。ただしそれは撮影する位置が歯の高さであった場合で、良く行われる頭部の検査は歯と離れていますので、上の写真のように問題はまったくありません。
MRIのMはマグネットの意味です。したがって磁力がある金属ほど画像に影響が出ます。一番問題になるのはマグネットつきの入歯を入れっぱなしで撮影してしまう事です。ただしその場合でも入歯を外せば問題ありません。マグネットは入歯の方についているからです。
またインプラントに使われるチタンは磁性体ではありませんから、影響が出にくいものです。むしろ普通の歯科用金属の方が問題になってきます。であれば歯に金属を入れている人は昔から全員MRIができない事になってしまいますが、そんな事はありません。ただしインプラントは普通の歯の治療よりも深い所まで金属が入りますから、それを心配する人もいるのかもしれません。
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しかしこの放射線技師さんのように専門的立場の人でさえ何の知識も持たず、いいかげんな情報に左右されているのです。インプラントに限らず、歯の事・健康の事はまだまだ情報不足や誤解が多いなと思わされた一件でした。