2020年4月20日月曜日

新型コロナウィルス時代を生き抜く・前編

はじめに

新型コロナウィルスの蔓延を発端に、皆様の生活は一変してしまった事でしょう。世界はこの感染症の出現により、大きな変革を余儀なくされてしまいました。

すでにお伝えいたしましたように当診療室も診療規模を縮小し、基本的にその時間は一名のみの診療に変更させていただき、メンテナンスは延期のお願いをしております。

またスタッフはできるだけ自宅待機にさせ、吉田が一人でできる診療を中心に進めさせてもらっております。

そのためお電話での対応が難しくなっておりますので、ご連絡はメールかラインでお願いしております。

この体制は連休後もしばらく続くものと思われますので、よろしくお願いいたします。

さて感染の拡大は多くの人の協力のもと、一旦は沈静化することでしょう。しかしそれでもう安心!というわけではありません。ではどうなるか?

新型コロナウィルス感染が出現した後のこれからの世界、すなわちコロナがその辺にあたり前にいる「コロナ時代」を生き抜く方法やこれからの事について考えてみます。

若い人でも感染

正直なことを言えば、私も当初この感染症を少し軽く考えていました。

対岸の火事とは思いませんでしたが、インフルエンザ対策とまったく同じはずなので、それをさらに徹底すれば良いだろう位にしか考えていませんでした。

確かに感染しても発症しない人は大勢いる(8割くらいらしい)。免疫が適正に近い若い人はそうそう発症しないだろう、守るべきは高齢者・がん・糖尿病などを患っているいわゆる健康弱者、と思っていました。

しかし神奈川県藤沢市の統計を見せてもらったのですが、多くは20~30歳代でした。若いがゆえの不注意や無関心もあるでしょうが、若いからといって安心ではない、しかも発症せずもクラスター(5人以上の感染者集団)の発生源になる可能性は一番高い年齢層になります。

さらに新型コロナは、発症し重症化したと思ったら一気に死に至るという、今まで見たこともない転機を迎えます。

志村けんさんが入院したと思ったらわずか数日でお亡くなりになった、これは相当なインパクトを持ってして日本人に届いたことでしょう。これで渋谷で呑気に騒いでいた人たちも、さっぱり見かけなくなりました。最後はぜんぜん「だいじょうぶだぁ」ではありませんでした。

テレワーク

スタバでPCを広げ、照れながら仕事をするからテレワーク…という冗談は通用しません。今都内はスターバックスをはじめ、多くのカフェは閉店していますし。

仕事が終わってカフェなどで資料整理や原稿書きをするのが常態化していた私も、行き場がなくなって(?)しまった感があります。

出入り業者さんもテレワークに移行し、受発注はLINEなどで行うようになりました。

しかしやってみると、意外にこれでも良いのでは?と思わされることが多いです。もちろんネット環境が整備されていた恩恵があるのですが、みんないちいち会社に行く必要はなかったのではと思わされます。

もちろん人と人が直接会うことは大切なのですが、これだけ忙しくストレスフルな日常なのですから、必要に以上に行われていた感じがします。

ですから今後は「出社3日・テレワーク2日」みたいな感じのワークスタイルが定着し、オフィス需要は減少して行くのではないでしょうか。その分、宅配需要はすごい増加となるでしょう。

さてそうすると家賃が下がって、私の診療室の家賃も値下げ交渉の余地が出てくるかもしれません。歯科はテレワークはほぼできませんから。

PCR検査

PCRとはPolymerase Chain Reaction の頭文字をとったもの、和訳にすると「遺伝子コピー酵素による連鎖反応」とでなるでしょうか。

遺伝子は一本でもあれば、そのコピーを繰り返して増加させることができます。そうやって機械で検出できるくらいの量に増えれば、何の遺伝子か、すなわち病原体が何かを特定することができます。

当診療室で歯周病治療の時にお勧めしている遺伝子検査と理屈はまったく同じです。もちろんウチでは新型コロナの検査はできませんが。

マスコミのミスリードにより、PCR検査はあたかも的中率100%と思われてしまいました。しかし陽性ならまず間違いなく陽性(感染が成立している)ですが、陰性でも必ずしも感染がないことが証明されたわけではありません。後日再検査でやっと陽性になるケースもたくさんあるのです。

またあくまで「コロナウィルス」に対する検査であって、新型も従来型もまとめて測っているからゴチャゴチャだという話もあったり、遺伝子変異がすでにおきてるので検出されない新型コロナもあるとか、話が錯綜しています。

それから事もあろうに、PCR検査キット自体の不良品や粗悪品が大量に出回るなど、世界的にかなり混乱しています。

さて、日本はPCR検査の総件数が諸外国に比べて少ないことを、ヒステリックに批判する人が大勢います。それをもってして潜在患者数がわからない、政府の陰謀策だとの理論を展開する人が後を絶ちません。

しかし検査数を絞っていなかったら、今頃医療機関はどうなっていたことでしょう?心配性な人や、能天気にとりあえず来てみた…なんて人で溢れかえり、本当に重篤な人が隠れて救えなくなってしまいます。だから「不要不急の外出を控えて…」となるわけです。

それから、PCR検査がタダだと思っていませんか?そう、確かに検査を受けてもお金はかかりません。アメリカでは$150~300と聞いています。なぜ日本はタダなのでしょう?

それは国民皆保険制度があるから、そして患者さんが払うべき一部負担金(3割)を国費で補助してくれているからです。それだけ緊急性があるからですよね。

ところがここが落とし穴です。タダだとみんなが殺到する、権利を主張する、不要なことが極端に増加する…誰でも予想できることではないでしょうか。

つまり政府は、国民をパニックに陥れないようコントロールしているわけです。悪く言えば、国民が冷静な判断ができるとは思っていない、ということだと思います。そういう時にどうするべきか、という教育を受けてきてないからです。

日本は国民健康保険のおかげで安心を手にしてきました。しかし同時に、医療をあまりに簡単に考えて来てはいなかったでしょうか。

一般の人には病院の中は見えませんから、難しいかもしれません。

しかし新型コロナを機に想像力を持って、健康とは何か・医療とはどうあるべきか・自分にできることは何か、についてみんなが考えてくれたらいいなと思いませんか?

マスク


以前はマスクをしている人を見ると、何か変な感じがしたものです。しかし今は逆に、マスクをしていない人の方が変な目で見られたりします。

マスクは突如生活必需品となり、薬局には在庫がないにも関わらず、毎朝行列ができています。

そして今すべての医療機関では、マスクを始め、ガウン・手袋・消毒用アルコールなどの需要が逼迫しています。

マスクについてはすでに去年書いており、そこそこ好評をいただいておりました。

一点変更があるとすれば、当診療室に限っては1日でマスクを捨ててしまうことはなくなりました。

なぜならclass-Bと呼ばれる普通とは違う滅菌器があるので、マスクなど不織紙でも完全に滅菌ができる、つまり再利用ができるようになったからです。

もともと増税前に、使用期限がない備品は買いだめしておいたことも幸いしました。

何回滅菌に耐えられるかわかりませんが、通気性が悪くなったところで交換かなと思っています。

もちろんウィルスはマスクを貫通するので、予防に意味はないとされています。しかし飛沫を防ぎ他者に感染させないためには必要です。

またウィルスはが貫通するといっても、粒子とは中学校の理科でも習う「ブラウン運動」をしており、直線的な動きはしません。そのためマスクの繊維にぶつかりトラップされる可能性があるという人もいます。私は自己責任でこの説を信用しています。

今後マスクなどは増産され潤沢に供給されるでしょうが、無駄に消費することなくみんなで正しく使っていく必要があります。

ZOOM


先のテレワークと重なりますが、オンラインでの会議は本当に増えました。

2月以後、学会やセミナーはすべてキャンセル、その代わりにZOOMなどを使い、PCやスマホで行う形がすっかり定着してしまいました。

やってみると意外と何とかなるもので、遠方への参加に障壁がなくなったのは大きな成果ではないでしょうか。

ZOOM飲み会も増え、互いに飲み物や食べ物を紹介し会う風景もすっかり一般化してしまいました。

もちろん実際に会って、同じものを食べるのが最高に決まっていますが、時間や場所の制約なく行えることによる機会拡大は、もっと増えても良いのかなと思います。

ZOOMにはセキュリティの脆弱性が露呈していますが、これから他のシステムと共に使いやすく安全なシステムに成長してゆくことでしょう。

手洗い

手洗いの重要性は今更強調する必要もないかもしれません。

しかし実際どれほどしっかり手洗いしているのかといえば、手を濡らしてちょっと擦る程度のこ事が多いのではないでしょうか。

きちんと石鹸を泡立てて、流水ですすいでいますか?

私たちは手洗いを外科の基本として医学教育で叩き込まれますが、日常はそこまでする必要はもちろんありません。

盲点は「指先」と「手の平のシワ」です。

一番使う指先は、意外に洗えていません。手のひらに石鹸やアルコールを集め、そこに指を立てるように置き、爪の中を洗うような感じにしましょう。


手のひらのシワとは、手相を読むときの線です。ここは窪んでいますから、洗いにくい部分になります。コンタクトレンズを洗うときは手のひらに洗浄剤を入れて擦りますが、洗浄剤がタンパク分解酵素だからと言ってもウィルスの不活化には時間がかかります。ちょっと気をつけたい部分です。

感染はスマートフォンのタッチパネルからも容易に生じますし、ミカンやサプリをつまむ指先も注意しましょう。

なおタオルは使わずペーパータオルを使うべきとの話を聞きますが、洗った後の手は本来清潔なのでウィルスはタオルに着かないはずです。洗った手にまだウィルスが着いていれば、もちろんタオルから感染します。

テレビ報道

テレビ報道は大いに問題があり、不安を助長していることの方がはるかに多いと感じています。

たとえば「今のニューヨークは2週間後の東京だ」と言っているコメンテーターがいました。しかしコロナウィルスは東京の方が先に来ています。なぜそんなことを言うのでしょうか?

私はあまりテレビを見ないので詳しくないのですが、混乱の多くはテレビにあると言ってよいようです。下のリンクをぜひお読みください。


確かにテレビがなければ、自粛要請は国民には行き渡らなかったでしょう。しかしもはやWHOも「テレビは見ない方が良い」と言っています。下のビデオの2:31のところです。


東日本大震災のときも、現場に少しだけいた私でさえマスコミの悪影響を痛感したものです。あれから一体何を学んできたというのでしょうか。

報道の役目はウケ狙いの憶測ではなく、事実を正しく伝え、予想される未来に対しどのように行動するべきかを発信することであってほしいものです。


tel:03-3248-0418