2015年8月8日土曜日

どうする、うどん県!小児糖尿病は他人事か?

先々週の「くる病」の話題につづき、今度は小児の成人病の話題が報道されました。これもたいへん困った話です。

【読売新聞(ヨミドクター) 8月3日】

香川県が小学校4年生に行った成人病検査で、肝機能・脂質・血糖値の異常値を示した子どもの割合がそれぞれ1割にもなった、、、という驚くべきものです。いや、ある程度予想はできたかも、だから検査が行われたわけですね。

記事に出てくるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)とは、直近2カ月くらいの平均血糖値を反映するもので、よく糖尿病の指標に用いられれる検査項目です。で、これが、、、男子で12%・女子で10.9%が高値、、、

ALTも測定しているとのことですが、私たちは普段これを健常人のたんぱく質代謝の指標に用いているのですが、一般的には肝臓の炎症を表す指標として用います。つまりALTが40以上、、、小学校4年生がですよ?

総コレステロールや、中性脂肪などの脂質も測っていますね。しかしこれらの評価は最近ずいぶんと変わってきて、悪玉や善玉というのは実はなくて、これらの検査では出て来ない低比重のコレステロールこそが真の「悪玉」とされています。だからちょっと評価ができませんね。

検査には独自の基準値を用いたとあり、それがいくつなのかはわかりませんが、いずれにせよ約1割の小学校4年生の食生活にたいへん大きな問題があることは明らかです。


香川県といえば「うどん県」。私もずいぶん前に一度行きましたが、たしかにウマイ。要潤をイメージキャラクターに県の魅力をアピールしていますが、実は「糖尿病率第1位」という不名誉な記録も。炭水化物であるうどんを大量に消費する事と糖尿病の因果関係は、別の記事では否定はされています。しかし糖尿病発症リスクの低減にはうどんなどの麺をはじめ、米・パンの量も減らす事が重要です。もちろん砂糖や果物も。

香川県はうどん消費量が多い代わりに、米やパンは少ないのでしょうか。だとしたら、うどんは悪者です。しかし、うどんを含めて炭水化物摂取量が多すぎるのであれば、この結果はうなづけます。子供の頃からうどんに親しみ、事あるごとにうどんが出てくる文化圏であれば、食生活をどこまで改善できるかはなかなか難しいと思います。

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私が子供の頃は三大栄養素と言って「たんぱく質・脂質・炭水化物」が重要と習ったものです。その後「ビタミン・ミネラル」を加えて5つになりました。しかし現在は米・パン・麺などの「主食」という考え方がなくなり「炭水化物」はほとんど必要がない嗜好品であるという考えが台頭してきました。これは激しいスポーツをする人以外は、今後常識となって行くでしょう。

しかし、文化や経済として根付いてしまった事は、変わるのが非常に難しい。少なくとも社会の風潮がそのようになり、行政が動くまでには数十年はかかるでしょう。その時にやっと行動、、、では遅すぎます。

気づく人は気づいています。解る人は解っています。主食と呼ばれていたものは、実はいらなかった、有害であると。

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香川県での結果は日本の縮図なのでしょうか、それとも香川県だけが特殊なのでしょうか。例えば私の故郷の新潟県はどうなのでしょう。米処として知られ、子供達は将来日本酒の消費者となりますが、このような環境とどう付き合えば良いのでしょう。

1割の子供が成人と同様な疾患という事は、今後どうなってしまうのか。病気が発する警告を真摯に受け止め、次代に繋ぐ事が大人の責任です。この検査が今後どのように活かされて行くのかに注目したいと思います。

PS:この話題は、8月28日のオープンセミナーでもとりあげたいと思います。

追記:さすがは、うどん県!ここまでやります、さすがです!