2011年11月23日水曜日

アインシュタインの眼「痛くない!怖くない!虫歯治療最前線」

10月1日に放送されたNHK-BS アインシュタインの眼「痛くない!怖くない!虫歯治療最前線」の録画を患者さんからいただきました。Kさん、ありがとうございましたm(_ _)m


さて感想ですが、まず古田(元ヤクルトスワローズ)がこんな事をしているとは思わなかった、、、あ、それはどうでもいいですね。

番組では顕微鏡・レーザー・コンポジットレジンと吉田歯科診療室の日常でかかすことのできない話題が連続します。とっても良く知っている先生もご登場です(^^)

テレビ番組とは短時間で美味しい部分を詰め込むので、誤解を招く事が多く呆れる事が多いのですが、本編はさすがに良くできていると思います。しかしそれでも補足しなくてはならない事があるので、おせっかいながら挙げてみました。


1・顕微鏡を見ながらムシ歯治療をしたら10分で終わった

これは困りましたね。絶対にありえません。なぜこのような編集になったのかは解りませんが、出演された先生もお困りだと思います。

古いコンポジットレジンを削り取る→ムシ歯を取りきる→ラバーダムを装着→改めてコンポジットレジンを詰め直す。あのアナウンサーさんの治療はちゃんとやれば30分以上はかかります。

顕微鏡を用いると肉眼より良く見えるため、そのぶん行程が増えます。番組では治療が全て完了したと言っていますが、これはただ古いコンポジットレジンを除去した所までではないでしょうか?


2・レーザーは痛くない

もちろん番組でも誤解がないよう配慮はされていますが、レーザーは「機械で削るよりは痛くない」「痛みが出ない事が多い」、と言うのが正しい表現です。回りくどいですが。

レーザーを「無痛治療」と大きく宣伝する先生が多いのですが、これはセールストーク、客寄せにすぎません。ご注意いただきたいものです。詳しくは以下をご参照ください。


(平成14年6月28日 エポカルつくば にて)


3・レーザーで歯を削る

これは本当です。ただしそれができるのは以下の2つのレーザーだけです。
  • Er:YAG レーザー(エルビウムヤグレーザー)
  • Er-Cr:YSGG レーザー(エルビウムクロムワイエスジージーレーザー)
日本で最も普及している炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)ではできません。レーザーの種類まで番組で言う必要はないかもしれませんが、患者さんが「レーザー」で検索して歯医者さんを捜す時代ですので注意が必要です。Er:YAG レーザーによる治療例は以下をご参照ください。

【吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニック】

またレーザーは「ムシ歯だけ」を削るには有効ですが、冠を被せるためなど健全な部分を削らざるを得ない治療には使えません。あくまで小規模な治療限定です。しかしそれでもその効果はスバラシイものです。

    4・コンポジットレジンは簡単だ

    コンポジットレジンは扱いがとても難しい材料で、やり方次第で予後(持ち)がぜんぜん違います。番組で登場した前歯に詰める映像は残念ながらとても簡単な方法でした。

    本来ならラバーダムを装着するか、歯肉圧排という操作をして、歯肉から歯を隔離しなくてはまともに接着しないので、番組で言っていたような効果は望めません。

    当然時間がかかる治療になるので、番組で触れられているように保健ではペイいたしません。日本の保健医療機関で合法的に自由診療のコンポジットレジン治療を行うには、わざわざ保健適用外のコンポジットレジンを使わなくてはなりません。


    5・最新の歯を削る機械は静かになった

    あの「キュイ〜〜〜ン」というイヤな音がする機械は「エアタービン」と言います。確かに最近の機械は少しは静かになりましたが、やはり患者さんにしてみれば差は解りません。

    しかしそれよりもチョット静かな機械は30年ほど前から存在します。それは「モーター」です。歯科治療用のモーターは特に珍しい機械ではなく、もちろん吉田歯科診療室にも配備されています。

    エアタービンは圧搾空気で小さなタービンを回しますので、あんな音がします。一方モーターは「ウィ〜〜〜〜ン」という音、いくらかマシです。耳障りでないのはもちろんコチラ。

    ただし「骨伝導」による振動は同じようにありますので、やはり患者さんに違いは感じてもらえないでしょう。私たちは両者を適材適所で使い分けているのですが、おそらく気がついている方はおられないと思います。

    こればっかりはもう笑顔で許してもらうしかありません(^^)


    6・おまけ

    患者になったNHKのアナウンサーさんのレントゲンが映りましたが、根尖病変がいっぱいあってかなり心配です。そっちの方を問題にしたほうが………