コチラからの続き、ZOOを用いた症例の二つ目です。右下の4番目の歯(第一小臼歯)にコンポジットレジンによる芯を入れる行程ですが、ラバーダムをするにはだいぶ無理があります。しかしラバーダムにこだわるよりも、歯肉と歯の表面の適切な処置がポイントになり、ZOOがそれを後押ししています。
【00:00】すでに歯の頭は無く、神経をとって塞ぐ処置が完了しています。これに芯を入れて、歯を建て直しましょうという症例です。
【00:13】歯肉が痛んで赤く炎症をおこし、今にも出血しそうです。この症例も歯肉と歯を離さなくてはなりませんが、今回は半導体レーザーを使います。麻酔の必要はなく、ほとんど痛みも無く、このようにサクサクと歯肉をどかす事ができます。
【00:26】通常の切削器具で、歯の表面を奇麗にして行きます。汚染物質やムシ歯が飛んで行きます。 実はこのような新鮮な切削面にしか接着剤は乗りません。
【00:37】ZOO 1 でも登場した、う蝕検知液です。ムシ歯の取り残しがないかチェックです。
【00:41】これも ZOO 1 で登場した吸引管、深い所はこれがないと吸水できません。
【00:45】顕微鏡を使うと根菅の中も良く観察できます。側壁にまだ汚染物質が着いてるのがわかります。このままでは接着しませんので、細長い器具で削り取って行きます。肉眼治療ではできません。
【01:03】ZOOで周囲から吸引し、できるだけ乾燥状態を保ちながら、コンポジットレジンを流し込みます。補強材としてグラスファイバー製の芯を挿入、青い光を当ててコンポジットレジンを固めます。
【01:26】さらにコンポジットレジンを盛り上げます。ZOO 1 と同様に、歯肉から出血に注意します。
【01:53】鏡を使って、裏側も盛り上げます。コンポジットレジンは非常に繊細な材料なので、扱いは神経を使います。
【02:10】材料が固まったら、冠が被る形態に整えて行きます。この後、仮の歯をセットします。
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とまあ、こんな行程で頭の無くなった歯は復元されます。
この歯のように残っている歯の量が少ないと接着不良が出やすく、細心の注意が必要です。
歯がもっと残っている状態では、最終的に冠を被せる時に、冠が歯本体の全周を取り囲みますので、樽のタガを締めたような状況になり、冠が歯が割れる事を防ぎます。
ところがこの症例のように歯が残り少ない場合は上記のタガを締めた状況は造れず、歯が割れる力に抵抗するのは芯材と歯の接着力のみとなります。そのため接着力の向上はとても重要で、乾燥状態を持続させるためにZOOはたいへん便利です。
芯はどのようにして造っても、歯にクサビを打っているような状況にしかなりません。条件が悪い歯ほど、後々割れて抜歯になりやすいのはそのためです。
という事で、このように多くの手間をかけて、残った歯を守る努力がなされているのです。決して良い材料だけあれば良いというわけでは無い事がお解りいただけると思います。
なおこの症例、実は松風 歯メイトのコラムの第2回で用いたものです(会員には公開済み、一般公開は1月15日より)。