2012年9月26日水曜日

インプラントチェックリスト・インプラントカード


こちらからの続きです。

今回の大会では、去年からお話している懸案事項「インプラント治療のためのチェックリスト」が配布されました。すでに4月に発表されていたものですが、改めてその重要性を示しています。また埋入したインプラントのメーカーやサイズを記入して患者さんにお渡しする「インプラントカード」も大量に配布されました。

このチェックリストは表面が【初診時:適応症であるかのどうかの評価】、裏面が【検査後:インプラント治療前の評価】となっています。

それぞれの項目に【問題少】【問題有】のチェックを入れて行きます。必ずしも全ての項目にチェックを入れなくてはならないわけではなく、必要に応じて調整します。

私は個人的に項目を羅列したものを使っていたのですが、自分自身あまり重要視していなかった項目もあり、たいへんありがたく思っています。

その一つに【期待度】という項目があります。予想される治療効果と患者さんの期待度とのギャップについての評価です。不適切なホームページが横行している事もあり、誤った情報に翻弄され重大な誤解をされている患者さんはインプラント治療に限らず普通におられます。あまりに期待度が高いまま施術すると、現実とのギャップにクレームがでる可能性が高いからです。

しかし最初からインプラント治療を希望していらっしゃる患者さんがどれほどおられるのでしょう。私たちの場合は逆にインプラント治療をこちらからお勧めする方が多いのです。この場合は期待度ではなく【恐怖心度】とか【半信半疑度】なんて感じになると思います。

このチェックリストはおそらく大学病院や口腔外科専門の先生が中心になって造ったもの、開業医の実情からはちょっと離れている所もあるのです。

逆に開業医と言えどもきちんと実行しなくてはならないのが、血液検査等の評価です。直近に検診があればそのデーターで良いのですが、そうタイミング良くあるものでもありません。ですから近隣の内科さんと連携したり、歯科医院で採血ができる体制が必要です。以前にも書きましたが歯科医院で採血ができるところは非常に少ない、そこをどうするかが課題になります。


さてこのチェックリストの前降りとして、学会では「治療指針」を発行しました。もちろん良く出来ています。しかしこの内容を機械的に当てはめても、短絡的な感情指向に慣れてしまった患者さん・マスコミ・社会に訴えて行く事は難しいと思います。歯科医師一人一人が夢と希望を持って語り、確かな技術を還元して行くしかありません。

しかしこのチェックリストが公開された事で患者さんも医療に対する理解が深まり、少なくとも「初診即時インプラント」なる非常識な施術が行われなくなるでしょう。このチェクリストを自分なりにアレンジして活用して行こうと思います。作成にあたりご尽力いただいた先生方に感謝いたします。