2009年1月25日日曜日

インフルエンザ対策に歯磨きを!

「先生知ってますか?ウチの会社、今インフルエンザがはやっているんですヨ・・・気をつけてくださいね〜」

それはたいへんだ。その会社からはけっこう患者さんがお見えになっているので、こちらに感染してしまう可能性がある。歯科治療とは実はハイリスクな仕事で、患者さんから何らかの病気をもらってしまいやすい。私は結核が一番怖いと思っているのですが、この季節はカゼはもちろん、インフルエンザも当然怖いものです。

私はもちろん、スタッフに休まれてしまってはたいへんです。経費で予防接種をしてきてもらうのですが、これも型が合うかどうかはわからず、バクチみたいなところがあります。接種したからと言っても安心などできません。ウィルスがそこら中にいる中で、カゼも含めてどのように対策したらよいのでしょうか?


まずは言わずと知れた「手洗い・うがい」を徹底させる事が重要です。ところがこれが意外にできていない。さて皆さんはどんなふうに手洗いやうがいをしていますか?

第一に手洗い。これ、基本です。しかしこれ、本当に洗えてますか?水が冷たいからと言って、簡単にすませていませんか?洗い方がいいかげんだと、タオルやハンカチが感染源になってしまいます。薬用でなくてもかまいませんから、石けんをつけて泡立ててからよくすすぎましょう。また指先がきちんと洗えている事を確認しましょう。手というよりは指先は、メイン感染ルートです。そんな手でサンドイッチやミカンを食べてはいけません。同時にコンピュータや携帯・リモコンのキーなどもよく拭いておく事をお勧めいたします。

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うがいはどうでしょう?実はいきなり「ガラガラ〜」と水をノド奥に入れてはいけません。口の中はたいへん多くの細菌がいます。いきなりガラガラ〜とやると、口の中の細菌郡をノド奥に入れてしまう事になり、かえってリスクを高めます。正しい方法はまず水を口に含み、一度クチュクチュと口の中だけをすすぎ、すぐに吐き捨てます。これで細菌の濃度がかなり低くなりますので、ガラガラやるのはその後からになります。専用のうがい薬もありますが、薬に頼らなくとも相当な効果があります。ただしコップはきれいなものを使ってくださいね。家族が洗面所でコップを共用している事もあるようですが、必ず個人持ちにしましょうね。

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もう一つマスクはどうでしょう。マスクはフィルター効果を期待している人が多いと思いますが、実は「保湿」と「飛散防止」が大きな目的です。マスクをすると吐いた息がマスク内に滞留しますが、この中には水分がかなり含まれています。それをまた吸い戻す事で鼻やノドを乾燥から守ります。乾燥は感染しやすい状態を造りますので、加湿器も有効に使いたいものです。あ、その水もきれいなものを、タンクもよく洗浄しておきましょう。

飛散防止とは、クシャミをした時に周りに細菌をばらまかないようにするために重要です。ただしクシャミをするとマスクは浮き上がりますので、肘などでマスクを抑えた方が良いようです。

細菌はホコリのようなものにくっついてやってきます。ですから本当はフィルター効果の高い製品を使い、ホコリを吸わないようにすれば一番良いわけです。しかし本当に効果を上げようとすると防塵マスクのようなものになってしまい、これでは外を歩けません。市販品でフィルター効果を上げるにはどうしたらよいのでしょうか?

まずここ数年流行の二つ折りの立体裁断マスクはあまりお勧めできません。口紅が着かなくて人気のようですが、鼻周りの隙間が多すぎてフィルター効果はあまり期待できません。これは粒子の大きい花粉症でも同様です。

紙製のヒダ織りのマスクはどうでしょう。よくそのまま装着している人を見かけますが、これも意味がありません。あれはヒダ(プリーツ)をきちんと伸ばし、鼻の部分にある針金を曲げて鼻の形に密着させないと意味がありません。ちなみに私達が仕事で使っているものはこのタイプです。

それから同じマスクを何日もしている人がいるようでが、マスクには1日でたくさんのホコリ=細菌がついてしまいます。必ず毎日変えましょう。それから保湿効果は紙製よりも古くからあるガーゼ製の方が高いようです。私は飛行機に長時間載る時に愛用しています。

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さてそれでもインフルエンザのウィルスはノドにまで入って行きます。ここで発症する人としない人の差が出てきます。その差は何なのでしょうか?

簡単に言えば、それは「免疫力」の差という事になります。一般に高齢者は免疫力が落ちていますから、発症のリスクが高くなります。しかしここにはもう一つ重要な要素があります。それは「口の中の細菌の総量」です。

実は口の中の細菌量が増えると、細菌が造った化学物質がノド奥に流れる量も増えて行きます。ところがその化学物質とはインフルエンザウィルスをとても良く引っ掛けてゆく事が解っています(これを”感受性が高まる”と言います)。つまり歯を良く磨き、口の中の細菌数を単純に少なくしてあげるだけでインフルエンザの予防効果が高まる事になります。もちろん取り外し式の入れ歯も同様です。

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私達は仕事柄いつもマスクをし、手袋もしますがその前に手洗いをよくし、歯の健康に気をつけています。ハイリスクな所ですが、軽いカゼ程度で毎年健康に冬を乗り切っているのも、こんなところが関係あるのではないかと思っています。私もいつまで感染から逃れられるかわかりませんが、皆さんもぜひ参考にされてください。

それから私達が使っているフィルター効果の高いマスクはお売りする事ができます。手袋もです。これは水仕事や庭仕事をよくされる方にも好評です。詳しくはスタッフまでお問い合わせください。