2009年1月3日土曜日

摂食嚥下・餅がノドに詰まるとは?

「摂食嚥下」読めますか?いわゆる四文字熟語ではありません。たぶん漢字検定にも出てきません。とっても大切な事で、誰もが毎日しています。これができないとたいへんです。けど、困っている人がいっぱいおられます。

これ「せっしょくえんげ」と読みます。摂食とは食べ物を摂取すること、嚥下とは飲み込む事だと思ってください。食事の時、無意識のうちに口に物を運び、噛んで飲み込む、これら一連の動作、実はたいへん複雑な動作の連続です。

さて、子供の頃から不思議に思っていたことがあります。毎年正月をちょっとすぎると、新聞やニュースでお年寄りが餅を咽に詰まらせて亡くなる事故が報道されます。お餅ってそんなに危険な食べ物なのでしょうか?お餅がノドに詰まって窒息死するなんて、ちょっと考えられない事です。

ところが本当にあるんです。理由はこうです。悔しいですが、やはり人間歳をとると枯れてきます。つまり水分の量や動きが悪くなってきます。ドライアイなんか典型ですね。そして唾液が減って口が乾く、すなわちドライマウスがおこります。また食道(食堂ではないですよ)の粘液も減少し、お餅がベッタリと着きやすい状態になるのです。

時間をかけてよく噛んでから飲み込めば良いのですが、早食いのクセがついている人や、入歯の具合が悪くて良く噛めない人は、お餅と唾液を混ぜる事ができません。

お雑煮を食べた後の食器を洗う時、お餅がくっついるのを洗うのはたいへんですよね。これと同じ事が食道で起きてしまってはたいへんです。そんな時は、とにかく指を突っ込んで餅をつまみだしてください。事は一刻を争います。

食道を無事通過したとしても、胃にくっつくかもしれません。この場合は胃もたれや消化不良を起します。胃薬を飲んでも変りません。

摂食嚥下は、よく介護で話題になります。詳しくは別項に譲りますが、実はお正月にその障害の前兆がでている人が大勢います。ものを噛むという当り前の事がおろそかにされている今日、考え直されなければならない問題ではないかと思います。それに、よく噛まないと味なんて判らないと思うのですが?