2012年5月13日日曜日

第9回 日本顕微鏡歯科学会をやってきた・5

こちらからの続きです。

さて今回の学会は自分自身最高に濃い、体力と精神力(誘惑!?)の限界にチャレンジした三日間であったと言っても過言ではありません。

実は大会前日よりプレカンファレンスと称し新宿からツアーバスを出し、新潟の酒の試飲会や、酒蔵見学をした後に温泉〜プレゼンをするという、とんでもないスケジュールが組まれ(と言っても私が企画したのですが…)ほとんど寝ずに大会に望んだのでした。

終わってみれば最高に楽しい思い出と共に、小さな達成感に浸っている自分があったわけです。「やって良かったナ」、ただただそれだけです。

後で言われて気がついた事なのですが、会場には終止笑顔が溢れていた、どの写真を見てもイイ歳した者まで最高に楽しく写っているのです。「こんなの大学の医局旅行なんかでは考えられない事ですヨ」って言う人まで、あぁそうなんですか?


上の写真はプレカンファレンスからご参加の女子の皆様方ですが、ご覧のとおりニッコニコ。



会場となった母校と実家の間には、父が眠る海辺の墓地があります。しばらく墓参りもできなかったので、帰りにちょっと寄って来ました。

上のビデオは近隣の小針浜からのものですが、ごらんの通り大会を象徴するような超快晴で、佐渡島がしっかり見えます。しかも大佐渡と小佐渡がはっきり別れて見えるのは珍しく、私も数十年ぶりに見ました。

「良く学び、良く遊ぶ」いつも中途半端な私ですが、今回の大会ではちょっとうまくできたかなって思います。何よりみんなに喜んでもらえたのが一番嬉しかったです。

さてさて、喜んでいるのもココまで。次は広島で口腔科学会のサテライトで教育講演(!?)です!

2012年5月10日木曜日

第9回 日本顕微鏡歯科学会をやってきた・4 神経を残すという事


こちらからの続きです。今回の発表で用いたビデオの一遍をご覧いただきます。

「歯ってやっぱり生きているんだな!」と思わせるのがこれです。かなり大きなムシ歯ですが、手作業で丁寧にムシ歯をとって行くと、とつぜん出血と共に膿みが流れ出て来る様子がしっかり映っています。

歯の神経は血の流れがたいへん少ない、つまり酸素や栄養が入って行く量がとっても少ない所です。ですから大きなムシ歯でばい菌が入ってしまっても、それに抵抗する与力がありません。また溜まった膿もなかなか歯の外に出て行けず、内圧が上がり神経が死んでしまいます。

そこでこのビデオのように顕微鏡で見ながら最小限の穴を開け、意図的に内圧を抜いてあげます。つまり「膿み」が出てくる訳です。その後で抗菌剤や水酸化カルシウムを使うと、運が良ければ助けてあげる事ができます。

このビデオの02:40の所で細い針金で突っついているシーンがありますが、これは穴があき膿が出ていた部分が9ヶ月後に塞がった跡です。ばい菌の影響で死にかかっていた神経が立ち直り、自力で修復して行ったのです。(これを第三象牙質と言います)

このような非常に厳しいケースでも神経をとらずに済むというには、本当にすばらしい事だと思うのです。顕微鏡を使って丁寧にやってあげれば、今まで考えられなかったような路が開けるのです。

ただしそのためには半年以上の時間がかかるし費用もかかります。もちろんうまく行かない事だってあるのです。そこをご理解いただけた方に限って行われる、結果を急ぐ方にはお勧めできない治療です。

神経をとるのも選択肢の一つですが、とるならかなりしっかいとらないといけません。先にも書いたように「神経をとっても、ばい菌が残る」ことが多いからです。そうなるとその再治療はさらに困難なものになり、私は日々それに苦しんでいるのです。

ちなみにこのビデオの 00:10~00:39 でやっているのは、「隔壁」というものを造っている所です。これがないと薬が漏れたり、ラバーダムを装着する事が出来ないんですね。虫歯を取り除いたり、水酸化カルシウムを塗る以前に必要な操作です。歯を守ためには遠回りで地道な作業しか有り得ない事を、どうかご理解いただきたいのです。

2012年5月6日日曜日

レーザー治療を成功に導くために 5/17は広島へ


5月17,18日に開催される日本口腔科学会における、日本レーザー歯学会のサテライト会場で不肖私が教育講演なんぞをやらさせていただきます。以下が抄録です。

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第66回 日本口腔科学会学術集会サテライト 日本レーザー歯学会教育講演
2012年5月17日(木) 広島国際会議場

レーザー治療を成功に導くために

吉田格 Itaru Yoshida 
吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニック(東京都中央区) 

レーザー治療に限った話ではないが、臨床を成功に導くための条件とは「目的を明確化する・理論的に正しい・過信しない」の3点に集約されると思う。

一方ビジネスの世界では成功に導くための条件を「夢・やる気・コミュニケーション」など精神論的な考え方をする人が多いようである。それはそれでおおいに結構だが、レーザーをよくご存知でない先生方には少なからずはそのような夢のあるセールストークで高額なレーザー機器を導入してきた経緯があり、未だその夢からから醒めない方も多いと聞く。

確かにレーザーと聞くと非常に未来的ですばらしい治療が実現しそうなイメージがあるが、その物理特性を一つ一つ紐解いて行けば自ずと適応症と禁忌症が分類され、実験的・冒険的な治療はなくなるはずである。

しかし我国においてその教育を系統立てて受ける機会は少なく、侵襲性が高い治療法であるにもかかわらずメーカー主催の研修会主導で臨床導入され、そのまま健康保険に収載され今日に至っている。 このような現状を踏まえ日本レーザー歯学会では研修委員会を設け安全講習会を定期的に開催し好評を博しているが、まだまだ周知に至っていない。

今回このような機会を与えられた事を機に、改めてレーザー治療を成功に導くために必要な条件について整理する事にした。特に私が過去見聞きした偶発症を元に、レーザー治療に従事する者特有の心理状態について考えてみたい。

【演者略歴】
昭和60年 日本歯科大学新潟歯学部 卒
平成 9年 東京都中央区開業

【所属学会等】
日本レーザー医学会 認定歯科医1種 
日本レーザー歯学会 認定医 評議員 研修委員
Academy of Laser Dentistry Category-3 取得
日本顕微鏡歯科学会 理事 認定指導医
…他

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日本のレーザー事情についてはこの「Blog:歯界良好」でも何度もお話してまいりましたが、今回は40分もいただきましたので、ちょっと新しい切り口でレーザーの安全使用について考察してみようと思っています。

今までレーザーの安全使用については物理学的な側面でしか語られて来ませんでした。それは最低限必要なのですが、もう一つ重要な事があります。それは使う人の情報不足から来る「思い上がり」がある事です。

数百万円の投資をして手に入れたレーザーですから、過信してしまうのです。適応を外れてちょっと使ってみたくなったり、効かないはずはないとつい長時間使ってしまったり、、、過去私が見聞きしたアクシデントの多くは、特有の心理状態にあったものと考えらるのです。

口腔科学会とは初めてお聞きになる方がほとんどだと思いますが、実は歯科ではなく医科の学会で口腔外科の先生が多く集まるのです。サテライトは全部で6つあり、日本レーザー歯学会のサテライトでは私の教育講演の他に認定医講習会も開催されます。認定医を目指す先生はぜひともご参加いただきたいものです。

私は広島駅に16日(水)22時すぎに着きます。初めての広島なので、良い情報がございましたらお教えいただければ嬉しいです!

2012年5月5日土曜日

第9回 日本顕微鏡歯科学会をやってきた・3


こちらからの続きです。今回はシンポジウムのご指名があり久しぶりに表舞台に立ったわけですが、まずその抄録をご紹介いたしましょう。

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シンポジウム・1
保存修復におけるマイクロスコープ応用の現状
〜保存修復の限界を再考する〜

Reconsiderations of clinical limits on Restorative Dentistry.
東京都中央区開業 吉田格

日常臨床において、保存不可と診断され抜歯となる症例に遭うたび次のように思う。

すなわち、どんなに大きなカリエスでも最初は小さかったという厳然たる事実がある。もしその時期に適切な治療が行われ予防が継続していたならば、生涯生活歯のまま存続しうるのではないかと。演者はマイクロスコープとは、それを実現させるための医学的・社会学的に必要不可欠な重要なツールと位置づけている。

例えば歯髄にまで到達していると思われるカリエスでも安易に抜髄に走ることなく、マイクロスコープ下における非侵襲的操作で感染歯質の選択的除去を行えば歯髄は生物学的に存続可能な環境に近づく。結果的に歯髄保存ができた症例を多く経験し、このような地道な努力こそ我国が直面する超高齢社会に対応する歯科医療の一つの解答ではないかと考えるようになった。

今日、保存修復分野でマイクロスコープの応用を論じるとき、例えば天然歯と見間違えるような審美コンポジットレジン修復や、一般に困難とされる複雑窩洞への応用が取り上げられるものと思う。事実本会でも過去そのような演題が多数あり、多くの感動を誘った事は今も記憶に新しい。

しかし本シンポジウムではそこから一歩引いて今まであまり論じられなかったそれ以前の話を、すなわち歯質・歯髄保護の観点からマイクロスコープの応用価値について考えてみたい。この分野で特別なトレーニングを受けた事がない演者ではあるが、マイクロスコープを頼りに何をどのように考え今日に至ったかを供覧いただきたい。忌憚のないご意見をいただければ幸甚である。

***

20分間の講演に込めた思い、それは「もっと歯髄(歯の神経)を大切にしよう」というものでした。私が見る限り、どうも世間では簡単に神髄を取りすぎているのないかと。

それによるトラブルは特に日本では頻発します。これは治療が不完全で「神経だけとって、ばい菌は残っている」という状態になりやすいからです。とるならちゃんととる、これが簡単ではないわけです。

そうでなくても歯髄をとった歯は、一生涯使う事は難しいことが解っています。多少苦労してでも残す事にチャレンジしてみる価値があるのです。それを実証し公開したのがもうお馴染みのYouTubeへのビデオキャストだったわけです。


3年間で51万ヒットを記録したこの動画は今もなお閲覧数を伸ばし続け、顕微鏡治療の必要性を訴え続けています。しかしこんな事も可能だと知っているのはまだ僅かな歯科医師だけ、一般の方にはさらにご理解いただけていません。

今回はこれよりさらに困難な症例を供覧いただきました。それを次にごらんいただきましょう。



2012年5月4日金曜日

第9回 日本顕微鏡歯科学会をやってきた・2


コチラからの続きです。おもいっきり遅くなってしまいました〜、4月14,15日に行われた日本顕微鏡歯科学会のご報告です。

結果から申しますと、正規登録263名、招待・大学内・企業参加を加えると350名を集めるという大盛況となりました。

会場は日本歯科大学新潟生命歯学部、つまり私の母校です。この大会は私がネタ振りをしただけあって、けっこうこれでも責任を感じていたわけです。


新潟で人を集める、これはたいへんだったのです。前回の東京での大会で500名を集めたからには最低でもその半分を、つまり私の中では正規登録者数の目標を250名と考えていました。

去年11月の大会から僅か5ヶ月、顕微鏡歯科というキーワードで、しかも新潟という地方都市でいったいどれほど人を集められるのか?誰もが不安に思ったものです。

実はこの新潟での大会は当初から予定されていたものではなく、本当は九州を考えていました。しかし九州に限らず首都圏以外でははまだまだ顕微鏡の認知度は低く、必要性すら解ってもらえていない状況です。結局大会長はおろか担当者すら決まらず、時期尚早ということで見送られてしまいました。どうする?

こうなると自分のコネがあるのは母校しかありません。新潟では数年後にできればいいなと思っていたのですが、前倒しです。

そこで当時無ムリヤリ評議員に引っ張った後輩のS先生(今回の実行委員長)に「じゃぁ2012年は頼むね〜」と適当に丸め込み、なし崩し的にやってもらったのがこの大会です。彼にしてみれば内心「とんでもない事になってしまった〜」と思った事でしょう。本当に感謝です。

よく言われた事ですが、震災の影響で去年の4月から11月に変更を余儀なくされた前回の大会、その5ヶ月後になんて無茶苦茶だと。

しかし私はそうは思いませんでした。この短さを利用し、「東京は凄かったが、次の新潟はいったいどうなるんだ?」という期待感を膨らませる作戦に出ました。私は前回の大会では名ばかりの実行委員長をしていましたので、その時に新潟での参加を促すパフォーマンスをし、「東京大会は新潟大会のほんの前座」というアピールをしました。

まぁそれがどれほど功を奏したかはわかりませんが、「顕微鏡がなくてはもはや良い治療は実現しない」という良い意味での焦りを持続させるギリギリの時間だったと思います。これが通常通り1年間隔だったらこうは行かなかったかもしれません。

さてパフォーマンスで人を集めても、大会そのものに魅力がなければ何にもなりません。しかし一般演題やテーブルクリニックの募集も、当初の心配をよそに集まりすぎてしまい、採択に困ったりと嬉しい悲鳴となったのです。どの演題も希望に満ち溢れた内容であり、特別講演やシンポジウムも実に興味深い内容で充実したものでした。


私はというと学会事務局長という立場上、理事会・評議員会・総会をしきり、またシンポジウム1の演者の一人として久しぶりに表舞台に立たせてもらい、さらには後述するプレカンファレンスの準備、とまぁ自分としては良くやったかなという内容でした。

次に今回のシンポジウムの内容をご覧いただきます。


2012年4月16日月曜日

第9回 日本顕微鏡歯科学会をやってきた・1

昨日と一昨日、第9回日本顕微鏡歯科学会に参加してきました。

詳しい事はまた後でアップいたしますが、ご参加いただいた先生が早くもその様子をYouTubeにアップしておりますので、それを使わせていただきます。新潟の魅力もタップリごらんいただけます!?



なお本日は21日の土曜診療の振替休日をいただいております。診療は明日火曜日からとなります。よろしくお願いいたします。


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2012年4月12日木曜日

第9回日本顕微鏡歯科学会 準備中‥‥‥だが、終わらない〜!


エレベーターホールに貼ってあるこのポスター、よく見るとこう書いてあります。

シンポジウム1 

  *吉田  格(保存修復分野)

保存修復とは比較的小規模のむし歯を治すこと。コンポジットレジンやインレーがそれに当たります。

私はこの分野で特別なトレーニングを受けたり、有名な先生に師事していたわけではありません。なぜ私にこのテーマを与えられたかは解りません。

しかし日常的に顕微鏡を使っていると、いろいろな事に気がつくわけです。私が気がつくんだから、だれでも気がつくのです。後はやるかやらないか。私は他の人たちより少しだけ早く始めたから、この役割が来たのでしょうか。

というわけで、この2週間くらいはその準備、プラス理事会・評議員会・総会・そして明日から始まるプレカンファレンスの準備でたいへんだったわけです。いやまだ準備はぜんぜん終わっていないのですが‥‥‥

第9回日本顕微鏡歯科学会、会場は日本歯科大学新潟生命歯学部、つまり私の母校。会場は30年前に私が学生時代にバンドでギターやベースを手にして上った所。さて母校に恩返しができるのか?準備はまだまだ続きます。

吉田歯科診療室は学会参加と運営のため、明日より4連休をいただきます。歯科医学の発展のため、ご理解賜りますようお願い申し上げます。