2025年10月27日月曜日

ついに来た血液検査ができなくなる日

ウチは歯科ですが、手術が多いことと自由診療専門ということもあり、内科のような採血が月に数件あります。標準医療と栄養療法の二刀流でやっているので検査項目は多く、健康保険でカバーされない項目も多くあり、診療情報の大きな柱となっています。

実はこの血液検査ができなくなる!!!?という緊急事態に瀕し、9月中旬より裏で奔走しておりました。

何が起きたのかというと検査会社から連絡があり、採血した検体を集荷するのに新たに手数料を課すというのです。その額、なんと月に¥33,000!月に1人でも100人でも変わらないということですが、毎月何100人分の検体がでる大病院ならまだしも、小さなクリニックでは相当な痛手です。この¥33,000をどこかで捻出し赤字相殺しなくてはなりません。

自由診療だから価格は自由に設定をして良いのですが、1人に¥5,000上乗せしても赤字になりそうです。

実はこれは以前から想定されていた事態で、2年ほど前から各検査会社が、小規模医院との契約打ち切りや新規契約の停止を始めたのです。理由は赤字と人手不足です。

血液検体は宅急便で送ることができないので、検査会社の営業マンが車で医療機関を一軒一軒集荷に廻ります。当然そこには人件費や駐車場代が発生します。一般の物流コストから考えるとかなりのコスト高です。

しかし問題なのは、その検査料の異常な安さです。検査会社が医療機関に請求する検査料は健康保険で決められているわけではありませんが、保険の点数に見合った検査料しか請求できません。言い方は悪いかもしれんせんが、不当に安く値切られているのが現状です。

実は2年ほど前から私のところに「検査会社が契約をしてくれない・契約を打ち切られた、なんとかならないか」という相談がかなりありました。その後私と同じ検査会社を使っている人から「うちは契約を切られた、先生の所はどうか?」という質問が来るようになりました。

さすがに焦って、どういうことかと検査会社に電話をしたところ、業務効率化のために集荷ルートを限定した、うちは集荷ルートから外れていないとのことではありました。しかし近隣の小規模クリニックは契約を断られたなど、説明が本当なのか疑問ではありました。

まぁその時は一応ホッとはしましたが、うちもいつ切られるか分からないと思っていました。

そしてついに集荷手数料¥33,000の宣告です。他の検査会社に連絡をしてみましたが、やはり新規契約はしないできないの一点張り。これはもう検査してくれるだけでもありがたいことで、赤字を出してでもやるしかないか…

実はその後いろいろ交渉を重ね、大幅な譲歩案をつけた上で決着がつき、赤字を最小限にすることができるようになりました。条件については言えませんが、たぶんウチに限った話ではないかと思います。

問題なのは、契約が打ち切られ検査ができなくなった医療機関です。検査だけ大病院に依頼するか、検査自体を諦めるかのどちらかになります。しかし検査をしないで薬を処方したり手術をすることは、考えられません。歯科では検査をしないままインプラント手術が行われる、そんな事態が増えるという事です。

以上のように、一般の方に知られていない医療崩壊の足音が、検査会社の方からも聞こえてくるのです。先にも書いたように、根本的な原因は不当に安すぎる健康保険の点数です。低医療費政策を続け、他の産業を優先した結果です。

この項は打開策を述べるに至らず、現状報告だけとなりますが、多くの人に医療現場の窮地を知ってもらいたくて書きました。そしてこれはあなたの命に直結する事です。何を選択し、何を優先させるのか、考えるきっかけにしていただければ幸いです。


2025年10月24日金曜日

無くなる民間病院にどう対処するか

今僕が個人的にとても憂慮しているのが日本の医療崩壊、特に民間病院が次々と閉院に追い込まれている事です。

皆さんのご近所でも大きな総合病院ではなく、20~100床程度の民間病院が業務縮小したり無くなってきていないでしょうか?特に都市部の病院は建物が老朽化が進んでおり、赤字経営のところも多く、建て替えや耐震補強もできないまま閉院するところがとても多くなっています。

老朽することは分かっていても、それに対処できる程の収益がない、銀行が融資してくれない、健康保険の収入が非常識なくらい安いという事です。

では大病院(大学病院や公立病院など)は黒字で安泰なのか?同じ健康保険制度で運営しているわけですから、基本的に大赤字です。

ただし大病院は公費の後ろ盾があり運営費交付金というのがあり、事実上赤字が補填されるのでおそらく倒産することはないと思います。しかし大赤字で設備更新ができないまま、不便を押し付けられたまま診療をしていることには変わりありません。そしてその赤字額は、とんでもない額となっています。以下のリンクはそのほんの一端です。

大学病院や基幹病院と呼ばれるところは、希少疾患や難病の治療も承るために、そこで大きな赤字が出ることが必然となっています。そういう意味もあって、後ろ盾がないと最初から経営できないようになっています。

では一般診療は黒字かと言えば、もちろんそうではありません。20年ほど前に旧国立病院が独立行政法人に移行しましたが、移行後の経営を見据えて存続が決まった病院が一斉に建て替えされました。その頃、急に豪華な病院が増えたことに気づきませんでしたか?後ろ盾がしっかりあるうちに建て替えをしておこうということで、これは民間病院では不可能な事です。

民間病院は自由診療や検診事業などの黒字で保険医療の赤字を補填する経営にせざるをえません。これは歯科と同じような図式です。しかしそれでも事業縮小や閉院に追い込まれる民間病院は増える一方です。

病院側に無駄がなかったかと言えば、たしかにそうではないようです。たとえば病床数は多すぎなのだそうで、その削減が直接医療費の削減に繋がります。

すると民間病院をこのまま赤字で閉院させれば、医療費を削減できるだろう…そういう方向に誘導しているのは誰もが予想できます。たいへん恐ろしい事だと思いませんか?

確かに日本人は病気に対して無頓着すぎる、健康保険があるんだから病気になっても安く治してもらえるはずと、もの心ついた時から擦り込まれています。そのような人に何の予告もなく、現状説明もなく、悪気なく医療を縮小して行くのです。

今後はさらに、軽度な疾患は健康保険から外す・漢方と安価な薬剤の保険適応除外、などが予想されています。医科がこの状況だから、歯科などにはかまってられないというのが、行政の本音ではないかと思います。

赤字なら赤字だ、医療は本来こんな金額でできるはずがない、国民に病気から遠ざける生活習慣を徹底させる、それにはペナルティもじさない、それくらいでないとこの事態は乗り切れないと思います。けどそれはできないでしょう。

ではどうする?それは一人一人が病気にならない生活や社会を真剣に考える・学校でそういう授業をする・会社でもそういう研修をする・そういう団体を育成する、ということになるでしょう。

2007年に北海道の夕張市立総合病院が経営破綻しましたが、それにより住民に健康意識が芽生え、心疾患や肺炎による死亡率が減少、病院に依存せず自衛することの重要性が理解されました。しかしなぜ日本はこのような事例を18年間活かすことができなかったのでしょう?

さてあなたの街の民間病院は今どうなっていますか?よかったら以下の書籍をぜひお読みになってください。上記のPIVOTに出演されている熊谷先生の著書です。ぜひ身近な医療について考えてみてください。

https://amzn.asia/d/9MzzZI2




2025年10月16日木曜日

再開 Blog:歯界良好

このBlog:歯界良好を始めたのは2008年の10月でしたから、ちょうど17年前になります。

その頃はfacebooktwitter(現X)もまだマイナーで、instagramもなかった時代、多くの人がブログを始めた時期だったわけです。

その後ブログはWordpressが台頭し、私の書く長文はそちらに移行していました。

https://y-dc.org/wp/
https://y-dc.org/wp/

しかしWordpressはSEOを意識して文章を整えるなど気を使うのでアップまでに時間がかかり、掲載を諦めることしきり…

Xも課金してはいるもののやはり使い勝手が良いとは言えず、せっかく挙げた情報も後ろに流されて行方不明になってしまいます。

instagramはまずキャッチーな写真を準備する必要があるしリンクがつけられない、facebookはそもそも不便…ということで、私も昨今のSNS事情に少々嫌気がさしてきた感があります。

今後はSEO・MEOだけでなく、AIに選ばれることを意識したLLMOという構成で書いていかなくてはなりません。けっこう窮屈だな…よし、昔に戻そう!

このBlog:歯界良好はしばらくメールニュースの転載場所として機能させていましたが、昔のように気兼ねなく書ける場所として再開することにしました。

SEOとか無視して、思いついた事を字数制限なく挙げていきますので、ぜひまた見にきてくださいね!

腸内フローラ移植臨床研究会でスピーチする私

https://lit.link/itaruy
吉田格が発信する情報をまとめたリンク集


吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニック
https://y-dc.org


2025年10月14日火曜日

知られざる歯根破折|予防可能なトラブルに対処しよう

こんにちは 吉田格です

歯の治療はクラウン(冠・被せ物 )をセットしたら終わり!
っと思ってませんか?
形は復元され目的は達成したかもしれませんね

ところがそもそも悪くなった原因はまだ解決していませんので
そのままではまた悪くなりますよね

セットしてもまだ続きがあるのですが
多くの方が自己判断で来なくなってしまい
困ったことに直面します
それが歯が折れて使えなくなってしまう
歯根破折(しこんはせつ)です

神経をとった歯に頻発し
これが抜歯の原因第一位になります

来なくなってしまった患者さんを
放置するわけにも行かないのですが
こちらからあまりしつこく連絡するのもどうかと思うので
要点をブログにまとめました

《神経をとった歯にクラウンを被せ終わったら 歯根破折の予防を始めましょう》
https://y-dc.org/wp/information/after_prosthetics

マウスピースを入れた方は皆驚くのですが
わすが数日使っただけで
真っ白な噛んだ跡が
マウスピースに刻まれます
無意識のうちに破壊的な力で潰しているのです
https://y-dc.org/wp/information/after_prosthetics#toc8

歯ぎしりは原因不明で
マウスピースを入れて力を分散させるしかないと考えられていますが
自由診療専門歯科ではそのようなことはありません
それが血糖値の安定化です
以下の日本経済新聞の記事を呼んでみましょう
https://www.nikkei.com/nstyle-article/DGXMZO74975690Q4A730C1000000/

ウチではこの記事を印刷してお渡ししており
夜間の血糖値の変動が歯ぎしりにリンクしている事を
説明しています

私たちは
予防可能なトラブルを回避してほしいと強く願っています
お忙しいのは重々承知しておりますが
クラウンをセットした後に何も配慮しなかったために
非常に多くの先人がこの問題に直面しました

さてあなたは何かが起きたら
しかたがなく行動する昭和の人ですか?
それとも先を見越して得をする
今の時代の人ですか?

最近ご来院されてないかた
ご連絡お待ちしております!

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https://lit.link/itaruy


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代表 吉田格
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TEL 03-3248-0418
FAX 03-3248-0417
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