例えば、よく知られているのが糖尿病です。体中のタンパク質が砂糖漬けになって機能しなくなる、病名からは想像できないとても恐ろしい病気です。糖尿病の患者さんは、とにかく感染しやすい。傷は治りにくく、歯肉の炎症もなかなか収まりません。ですから歯周病は努力しても軽快せず、インプラント手術は不可。自覚症状がないのがクセモノで、知らないうちに体の老化が加速します。
それから高血圧。歯の治療中はとかく緊張で血圧が上がりやすいものですが、元々が高いだけに、治療中はさらに上がります。私たちは長時間の集中治療が多いので、治療中の血圧やSPO2(動脈血酸素飽和度)というものをとても気にしながら進めるのですが、血圧が180以上になり中断しなくてはならない方はけっこうおられます。
そこまで大病でなくとも、花粉症の悪化や大きな口内炎ができたなどで、治療予約をキャンセルする方はとても多いのです。口内炎なんかは逆にすぐに来ていただいた方が早いのですが、どうもあまり信用されておりません。
さて、以上のようなはっきりした病名がついていればまだ解かりやすいのですが、難しいのが「不定愁訴」、つまりよくわからない体調不良です。
「体調が悪いので明日の治療はキャンセルさせてください」という話もとても多く、こちらも無理してまで来てくださいとも言えず、大切な時間が台無しになるケースは後を絶ちません。本当にもったいない、、、
しかし一番多いのが「本人が気がついていない」体調不良。気づいたとしても、疲労や寝不足・酒のせいにされ、多少のことは放置しても回復すると思っているので、まったく気にかけてもらえません。しかしそのような方に共通する症状に、以下のようなものがあります。
- 歯ギシリ・カミシメによる人工物の破損
- 歯をていねいに磨いているのにプラークが蓄積する
- プラークがそれほど付いてないのに歯肉から出血しやすい
- 虫歯や歯周病の進行が止められない
- インプラント周囲炎が進行する
などなど。歯ギシリがなぜ体調不良なのかと思われるでしょうが、実は血糖値の制御がうまく行かず、その乱高下に伴って歯ギシリという破壊行動が生じる事があるのです。これは立派な体調不良です。
歯科治療とは、外側から形を変える作業がほとんどです。削って詰めて、入れ歯を入れて、歯石をとって。患者さんが治療とは「してもらうものだ」と誤認するのは、こういう事から来るわけです。自分は口だけ開けていれば、後は何もしなくても良いと思われています。
しかし歯とは骨や歯肉に囲まれ支えられ、免疫により細菌の攻撃から守られています。歯の中には歯髄という神経や血管が走っており、ここにも免疫が働いています。そこが良かれと思って始めた歯科治療という介入に耐えられない、そんな方が意外に多いことに気付きながら、もう30年も経ちました。
しかたがないものと思っていた時代もあれば、鍼や漢方などの東洋医学療法・波動などの代替療法に走った時代もありました。もちろん何も考えてなかった時代も。
ところが最近になって、重大な見落としがあることに気づきました。それは、すべての患者さんは十分な栄養を摂取していることが大前提だったわけですが、実はぜんぜんそんな事はなかったのです。不足や過多があまりに多く、また従来の栄養の常識もかなり見直さなくてならないことが解ったのです。
ところが最近になって、重大な見落としがあることに気づきました。それは、すべての患者さんは十分な栄養を摂取していることが大前提だったわけですが、実はぜんぜんそんな事はなかったのです。不足や過多があまりに多く、また従来の栄養の常識もかなり見直さなくてならないことが解ったのです。
食生活は変わり、食材も怪しいものが増え、私たちの体に必要な栄養が日々取り込まれているわけではありません。またストレスや有害物質から身を守るために栄養が異常消費され、本来必要だった部分に行き渡らない実態も明らかになってきました。これはもう、新型とか現代型の栄養失調と言って過言ではありません。
ではなぜそれが解るのか?それは「採血」をしているからです。そして、普通は検査結果で基準値の範囲内なら異常ナシと言われますが、それもかなり疑わしい事が解ってきたのです。事項ではそれについて書いてみましょう。