何気ない日常に、実は健康や病気の秘密がたくさん隠されています。このBlogは東京銀座・吉田歯科診療室 デンタルメンテナンスクリニックの吉田格が、日々何を見て聞いて考えているのか、診療中にはお話しできない事をお伝えして行きます。
2016年3月15日火曜日
2015年4月1日水曜日
再根管治療の効果・2 再植術
こちらからの続きです。
顕微鏡を使い根管治療を基本通り進めて行っても、どうしても膿が止まらないなどの難かしい状況に出会うことがあります。
根管(歯の中)は複雑ですので、器具や薬剤が届かないところはたくさんあります。また細菌が歯の先端から外に漏れて根っこの周囲に定着すると、どう頑張っても歯の中からの治療では届きません。
こういうお手上げ状態になると、もう抜歯してインプラントにしましょうというパターンがほとんどではないでしょうか。
しかしもし歯の外に器具が届き細菌を除去する事ができれば、事は解決します。方法は二つ、歯根尖切除術(歯根端切除術)と再植術です。
歯根尖切除術については以前かなり書いたので、そちらをご参照ください。
歯根尖切除・インプラントにしない選択肢
歯根尖切除・インプラントにしない選択肢 2
なぜ歯根尖切除の話をしているのかというと...
歯根尖切除 vs インプラント
歯根尖切除 vsインプラント 2
で、ここでは再植術の実際について、CT画像で見ていきましょう。
左に治療前、右に治療後のCT画像を並べました。治療前にはかなり大きな病変が黒く写っています。根尖病変は舌側の歯周ポケットと交通しています。これくらい大きな病変があると、先に書いたようにすでに歯の外側に細菌が定着していることが十分予想されます。
根管治療を何回か行いましたが、やはり膿は止まらず、歯周ポケットも改善しませんでした。そこで再植術を行った結果が右の写真です。
病変はかなり改善し、骨が再生してきた状況が写っています。痛みもなく、歯周ポケットも正常になり、冠を被せて現在も経過観察中です。再植術はうまく行くと、これだけ劇的な改善をみます。
ただし抜歯する時に歯の首の部分を損傷させやすいので、最初あった骨が吸収してしまいました。それでも根の先端の骨は著しく回復、通常の根管治療だけではこのような結果にはなかなかなりません。
再植術は、理屈で言えばたいへんすぐれた治療法です。感染源をかなり的確に除去できるからで、歯根尖切除術より確実性があります。
しかし大きな問題もあります。それは抜歯をするので、その時に歯が割れてしまうリスクがある事と、歯と骨の間にある靭帯(歯根膜)が損傷し、歯と骨が癒着してしまう可能性があることです。
前者は歯そのものが壊れてしまうので、使うことができなくなってしまいます。割れないように注意深く抜歯しようとしても、できない事もあります。後者も多くのの配慮にかかわらず避けられない事があり、やってみなくてはわかりません。
再植術は歯根尖切除が不可能な、第二大臼歯などに適用されます。抜歯するというリスクがあるので、本当に最後の最後の手段です。しかしどうせ抜歯になるのなら簡単に捨ててしまうのではなく、できる事なら良いところを選んで再利用しましょうという考えに私は賛成です。
以上のように、再植術の信頼性は実は今一歩です。だから通常は歯根尖切除術が優先されます。しかし歯根尖切除術は抜歯せずに感染源を除去しようというものですから、アプローチしやすい前歯や小臼歯では可能ですが、第二大臼歯ではまず不可能ですので、再植術は重要な選択肢となります。
私は、歯を無理してまで保存する事には反対です。残しすぎて後で面倒なことになるケースは実はたくさんあります。そしてこの再植術は、無理な処置の一つと言って良いと思います。しかしどうせ抜いて捨てるなら、、、という割り切りなら良いと思います。
マスコミがインプラント批判をしたためか、無理をしてでも歯を保存しようという風潮があります。しかし何事も無理はいけません。無理なインプラントはいけませんが、無理な歯の保存もいけません。もちろん無理な入れ歯もだめです。
しかし無理ぜず安全策をとろうとすると、逆に患者さんが受け入れてくれないケースもかなりあり、私たちは良い意味での妥協点を求めいろいろなご提案をいたします。再根管治療はニーズが大きいにもかかわらず、良い結果をもたらす事が難しい分野です。しかし諦めるには早すぎるのも事実、チャレンジしてみる価値はあると思います。判断は非常に難しいですが。
私たちは可能性を信じて精一杯努力します。しかし結果がともなわないことももちろんあります。努力は保証できても、結果まで保証できない、それが医療の特殊性と言われています。理不尽と思われるかもしれませんが、それが現実です。ですから、このような面倒な治療をしなくてもすむよう過去を反省し、今あるその歯を将来同じような目にあわせない事、すなわち予防が何より大事です。
治療を通じ未来の自身について考える、その大切さが少しでもお解りいただければ嬉しいです。
追記:さらに詳しい解説はこちらでご紹介しております。CT動画もご覧いただけます。
顕微鏡を使い根管治療を基本通り進めて行っても、どうしても膿が止まらないなどの難かしい状況に出会うことがあります。
根管(歯の中)は複雑ですので、器具や薬剤が届かないところはたくさんあります。また細菌が歯の先端から外に漏れて根っこの周囲に定着すると、どう頑張っても歯の中からの治療では届きません。
こういうお手上げ状態になると、もう抜歯してインプラントにしましょうというパターンがほとんどではないでしょうか。
しかしもし歯の外に器具が届き細菌を除去する事ができれば、事は解決します。方法は二つ、歯根尖切除術(歯根端切除術)と再植術です。
歯根尖切除術については以前かなり書いたので、そちらをご参照ください。
歯根尖切除・インプラントにしない選択肢
歯根尖切除・インプラントにしない選択肢 2
なぜ歯根尖切除の話をしているのかというと...
歯根尖切除 vs インプラント
歯根尖切除 vsインプラント 2
で、ここでは再植術の実際について、CT画像で見ていきましょう。
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再植術とは字を見ての通り「再び植える」という意味です。
根管治療の効果がなけれは通常は抜歯です。抜歯すれば、原因は歯にくっついたまま除去されるので、確かに病変は無くなり骨は回復します。しかし歯も無くなるのですから、元も子もありません。
しかし再植術は一度歯を抜きはしますが、それを捨ててしまうのではなく、感染源をお掃除して、また元の場所に戻します。ですから外見上はまったく変わらず、そのまま使って行くことができます。
治療前 治療後
根管治療を何回か行いましたが、やはり膿は止まらず、歯周ポケットも改善しませんでした。そこで再植術を行った結果が右の写真です。
病変はかなり改善し、骨が再生してきた状況が写っています。痛みもなく、歯周ポケットも正常になり、冠を被せて現在も経過観察中です。再植術はうまく行くと、これだけ劇的な改善をみます。
ただし抜歯する時に歯の首の部分を損傷させやすいので、最初あった骨が吸収してしまいました。それでも根の先端の骨は著しく回復、通常の根管治療だけではこのような結果にはなかなかなりません。
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しかし大きな問題もあります。それは抜歯をするので、その時に歯が割れてしまうリスクがある事と、歯と骨の間にある靭帯(歯根膜)が損傷し、歯と骨が癒着してしまう可能性があることです。
前者は歯そのものが壊れてしまうので、使うことができなくなってしまいます。割れないように注意深く抜歯しようとしても、できない事もあります。後者も多くのの配慮にかかわらず避けられない事があり、やってみなくてはわかりません。
再植術は歯根尖切除が不可能な、第二大臼歯などに適用されます。抜歯するというリスクがあるので、本当に最後の最後の手段です。しかしどうせ抜歯になるのなら簡単に捨ててしまうのではなく、できる事なら良いところを選んで再利用しましょうという考えに私は賛成です。
以上のように、再植術の信頼性は実は今一歩です。だから通常は歯根尖切除術が優先されます。しかし歯根尖切除術は抜歯せずに感染源を除去しようというものですから、アプローチしやすい前歯や小臼歯では可能ですが、第二大臼歯ではまず不可能ですので、再植術は重要な選択肢となります。
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私は、歯を無理してまで保存する事には反対です。残しすぎて後で面倒なことになるケースは実はたくさんあります。そしてこの再植術は、無理な処置の一つと言って良いと思います。しかしどうせ抜いて捨てるなら、、、という割り切りなら良いと思います。
マスコミがインプラント批判をしたためか、無理をしてでも歯を保存しようという風潮があります。しかし何事も無理はいけません。無理なインプラントはいけませんが、無理な歯の保存もいけません。もちろん無理な入れ歯もだめです。
しかし無理ぜず安全策をとろうとすると、逆に患者さんが受け入れてくれないケースもかなりあり、私たちは良い意味での妥協点を求めいろいろなご提案をいたします。再根管治療はニーズが大きいにもかかわらず、良い結果をもたらす事が難しい分野です。しかし諦めるには早すぎるのも事実、チャレンジしてみる価値はあると思います。判断は非常に難しいですが。
私たちは可能性を信じて精一杯努力します。しかし結果がともなわないことももちろんあります。努力は保証できても、結果まで保証できない、それが医療の特殊性と言われています。理不尽と思われるかもしれませんが、それが現実です。ですから、このような面倒な治療をしなくてもすむよう過去を反省し、今あるその歯を将来同じような目にあわせない事、すなわち予防が何より大事です。
治療を通じ未来の自身について考える、その大切さが少しでもお解りいただければ嬉しいです。
追記:さらに詳しい解説はこちらでご紹介しております。CT動画もご覧いただけます。
2015年3月29日日曜日
再根管治療の効果・1
根管治療は日本の歯科保健医療において、最も問題が出やすい分野です。
それにかかる費用は他国と比べ1/6とも1/10とも言われ、先進国として恥ずかしくない治療を目指そうとすれば、誰がどう考えても極端な赤字にしかなりません。
したがって、一回目の治療の結果に不備が出てしまい「再根管治療」になるケースは日常的で、もっと社会問題になって良いのではと思います。(再根管治療は日本の健康保険用語では「感染根管治療」といいます)
インターネットの時代になり、日本の歯科治療が、特に根管治療は問題が出やすい事が知られるようになってきました。具体的な事はまた後に記しますが、ここではCT画像を用いて、その実態と自由診療による再治療で改善した二つの症例を問題点と共にご覧いただきましょう。
その前に、ちょっとだけ根管治療のお話を。
虫歯が大きくなり歯髄(歯の中の神経血管)が感染すると、残念ながら体の他の部分と違って元に戻すことができません。大きな痛みも出ますので、もう歯髄を除去するしか方法がありません。これを抜髄と言うのですが、そうすれば確かに痛みはなくなります。
しかしこれは「治った」わけではありません。それに私たちが取りたいのは細菌であり、歯髄ではありません。しかし細菌を取るには神経といっしょに除去するしかないので、単に「神経を取る」と表現されます。
ところが困ったことに「神経は取ったが細菌は残る」という状況が頻発します。というより、神経は単純な一本線ではなく曲がっていたり枝分かれしていますので、簡単な操作では取り残しがたいへん多く出てしまいます。通常歯の中は見えませんので、レントゲン写真と勘を頼りに、手探りで進めていくのが普通です。当然これではかなりの取り残しが出てしまいますが、それすら気がつくことはできませんでした。
しかし顕微鏡が実用化されると、肉眼での治療にいかに不備が多かったのかが誰にでも解ります。録画もできるので後で患者さんに治療中のビデオをお見せするのですが、皆ビックリします。
根管治療のやり直し、すなわち再根管治療の頻度はたいへん多く、私の診療室で行う根管治療のうち初発は1割もなく、9割以上が再治療です。初発の時に十分な治療が行われていれば大きな問題は出にくいのですが、行政に理解がなくこの状況に改善の見込みはありません。唯一の方法が、自由診療により諸外国並みの時間をかけて行う事です。
しかしいくら時間や資金があっても、再治療は初発の治療に比べて成功率が落ちることが世界的に知られています。これはすでに感染が深部にまで進んでいる事と、一度人の手が入ってしまった状況から新たに器具を進めてゆく事はさらに困難だからです。特に奥歯は構造が複雑なこともあり、前歯の再治療よりかなり成功率が落ちてしまいます。
再治療など無駄だから、諦めて抜歯してインプラントを勧める歯科医院はたくさんあります。たしかに保険診療ではやれる内容が限定的ですので、再治療で改善する見込みはあまりないでしょう。また経営だけを考えれば、赤字が確実な根管治療を一生懸命やって経営難になるよりも、インプラント治療を勧める方が正しいことになってしまいます。
しかし自由診療専門医である私たちには多くの選択肢があり、混合診療の問題も気にする必要がありません。もちろんインプラントや歯の移植といった方法もありますが、第一義的には再治療を積極的に行い、その歯をできるだけ保存する事を考えます。もちろん無理な保存はかえってデメリットをもたらしますので、最初から別な方法をお勧めする事もあります。しかし再根管治療の可能性について知っておくことは大切だと思います。
前置きが長くなってしまいましたが、まずこのCTをご覧いただきましょう。左が治療前、右が治療後になります。
治療前の写真には、根っこの先端に黒く見える病変が写っています。根管の中に残存した細菌が造る毒素が先端から漏れ、炎症が起きて骨を破壊した痕です。
それにかかる費用は他国と比べ1/6とも1/10とも言われ、先進国として恥ずかしくない治療を目指そうとすれば、誰がどう考えても極端な赤字にしかなりません。
したがって、一回目の治療の結果に不備が出てしまい「再根管治療」になるケースは日常的で、もっと社会問題になって良いのではと思います。(再根管治療は日本の健康保険用語では「感染根管治療」といいます)
インターネットの時代になり、日本の歯科治療が、特に根管治療は問題が出やすい事が知られるようになってきました。具体的な事はまた後に記しますが、ここではCT画像を用いて、その実態と自由診療による再治療で改善した二つの症例を問題点と共にご覧いただきましょう。
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その前に、ちょっとだけ根管治療のお話を。
虫歯が大きくなり歯髄(歯の中の神経血管)が感染すると、残念ながら体の他の部分と違って元に戻すことができません。大きな痛みも出ますので、もう歯髄を除去するしか方法がありません。これを抜髄と言うのですが、そうすれば確かに痛みはなくなります。
しかしこれは「治った」わけではありません。それに私たちが取りたいのは細菌であり、歯髄ではありません。しかし細菌を取るには神経といっしょに除去するしかないので、単に「神経を取る」と表現されます。
ところが困ったことに「神経は取ったが細菌は残る」という状況が頻発します。というより、神経は単純な一本線ではなく曲がっていたり枝分かれしていますので、簡単な操作では取り残しがたいへん多く出てしまいます。通常歯の中は見えませんので、レントゲン写真と勘を頼りに、手探りで進めていくのが普通です。当然これではかなりの取り残しが出てしまいますが、それすら気がつくことはできませんでした。
しかし顕微鏡が実用化されると、肉眼での治療にいかに不備が多かったのかが誰にでも解ります。録画もできるので後で患者さんに治療中のビデオをお見せするのですが、皆ビックリします。
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根管治療のやり直し、すなわち再根管治療の頻度はたいへん多く、私の診療室で行う根管治療のうち初発は1割もなく、9割以上が再治療です。初発の時に十分な治療が行われていれば大きな問題は出にくいのですが、行政に理解がなくこの状況に改善の見込みはありません。唯一の方法が、自由診療により諸外国並みの時間をかけて行う事です。
しかしいくら時間や資金があっても、再治療は初発の治療に比べて成功率が落ちることが世界的に知られています。これはすでに感染が深部にまで進んでいる事と、一度人の手が入ってしまった状況から新たに器具を進めてゆく事はさらに困難だからです。特に奥歯は構造が複雑なこともあり、前歯の再治療よりかなり成功率が落ちてしまいます。
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再治療など無駄だから、諦めて抜歯してインプラントを勧める歯科医院はたくさんあります。たしかに保険診療ではやれる内容が限定的ですので、再治療で改善する見込みはあまりないでしょう。また経営だけを考えれば、赤字が確実な根管治療を一生懸命やって経営難になるよりも、インプラント治療を勧める方が正しいことになってしまいます。
しかし自由診療専門医である私たちには多くの選択肢があり、混合診療の問題も気にする必要がありません。もちろんインプラントや歯の移植といった方法もありますが、第一義的には再治療を積極的に行い、その歯をできるだけ保存する事を考えます。もちろん無理な保存はかえってデメリットをもたらしますので、最初から別な方法をお勧めする事もあります。しかし再根管治療の可能性について知っておくことは大切だと思います。
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前置きが長くなってしまいましたが、まずこのCTをご覧いただきましょう。左が治療前、右が治療後になります。
治療前の写真には、根っこの先端に黒く見える病変が写っています。根管の中に残存した細菌が造る毒素が先端から漏れ、炎症が起きて骨を破壊した痕です。
治療前 治療後
以前の治療はそこそこ頑張っている部分も見られますが、病変ができてしまっては意味がありません。顕微鏡を用いて時間をかけ感染源を徹底的に除去すると、右の治療後の写真のように黒く写っていた病変が観察されないくらいにまで改善しました。まずは地道にこのような改善を目指すのが、再根管治療の目的です。
ところが先ほど書いたように、再治療の成功率は決して高くはなく、この写真のような改善が見られない事がよくあります。そのような場合はどうしたらよいのでしょう?
2012年6月9日土曜日
CTからアーチファクトを除去 GIDORAがやってきた
歯科用CTがだいぶ普及してきました。これがなくては診断がつかない事も多く、私たちもたいへん助かっています。
しかしこのCT、あたかも万能のように思っている方も多いと思いますが、実は欠点もたくさんあり、それについて触れられているサイトはほとんどありません。
最大の欠点、それは「アーチファクト」と呼ばれる、画像上の金属周辺で発生する読み取り不能エリアが出る事です。金属を多用する歯科口腔外科では大きなな弱点となります。
しかしそれでも使われているのは、アーチファクトの影響がない部分を使っているからです。歯科用CTはまずインプラント治療の診断で注目を浴びて普及してきました。実はその用途では金属はあったとしても離れた所にあるので、あまり問題がおきません。つまりCTをインプラントにしか使わない先生には、アーチファクトは工夫次第で無視する事ができるのです。
ところが私たちのように歯周病や根管治療にも使おうとすると、そうは行きません。歯周病の診断をしようとしても、金属冠や金属の芯があれば影響がモロにでてしまいます。これでは肝心な歯の周りの診断ができない、そのためわざわざ金属を全て撤去してから撮影を行う事もあるそうです。これはあまりにたいへんです。
さらに根管治療でも再治療ともなると「根管充塡材」と呼ばれる詰め物もアーチファクトを引き起こし判断不能に陥ります。この憎きアーチファクトを無くす事はできないか?そこで開発されたのがGIDORA(ギドラ)というソフトです。
【株式会社アイキャット】
この患者さんには金属修復物が多数使われており、かなり激しいアーチファクトが出てしまいますが、GIDORAを使うと下のようになります。
ごらんのようにその効果は一目瞭然、歯の周りの骨の位置が確認できるようになりました。
GIDORAは現在KaVo(GENDEX)社のCTで、LANDmarkerというインプラントシミュレーション用ソフト内でしか動きません。インプラント用なのでそれ以外の用途には不便な造りなのですが、この夏のバージョンアップではOsiriXのような操作性になるそうです。
それから残念ながらまだDICOM出力には対応しておらず(*)、撮影依頼をされてきた方にお渡しするのは上の写真のように部分切り出しの静止画のみになります。つまりまだまだ開発段階なんですね。しかしこれだけアーチファクトが取れてくれると、診断価値は格段に上がります。
まるで怪獣のような名前のソフトですが、開発者によれば円谷プロには了解を得ているとの事です。
さてこのソフトでこれからどのような診断ができるか、楽しみというか、怖いというか、、、しかし本当に価値あるデーターを提供して行こうと思います。
*:2012年秋にDICOM出力に対応いたしました。
*:2012年秋にDICOM出力に対応いたしました。
2012年1月11日水曜日
「CT無料!」に気をつけて!
![]() |
| CT撮影画像の一例(OsiriX) |
患者欲しさにココまでやるか!?、という感じで私は冷ややかな目でみていたのですが、被爆の問題もあってそろそろ黙っていられない状況になってきました。
CT撮影は確かに無料だ。説明も親切にしてくれる。しかし、だからウチで治療をやってくれというものです。そりゃそうですよね。もちろん後の治療費にはCT撮影代が加算されます。
しかしそのCTデーターを持って他の歯科医院にも診断に行きたいと言った場合、あるいはその撮影してもらった所では治療は受けたくないのでCTデーターをくださいと頼んでも、それはNOと言われます。あくまでその医院内限定、どうしても欲しいと言えば通常よりも高い金額でデーターを買わされます(違う所もあるかもしれませんが)。
それがイヤならまたどこかで再撮影、つまりムダな被爆をすることに。それもイヤならやはり割高の金額を払うか、その無料(?)撮影してくれたところで治療をするしかありません。
通常の有料撮影であればデーターは患者さんのものですので、例えば私たちの場合はデーターにフリーの閲覧用ソフト(3D eXam Vision)を付けてCDに焼いてお渡しします。どこででもお使いくださいという事です。
CTは一台1500万円から3000万円もする高額装置、それを使って無料で撮ってあげるとはどういう意味でしょう。裏がかならずあるのです。
医療はお買い物とは違います。そうでなくても激安とか無料という言葉の裏には必ず何かがあるので、それをしっかり読んだ上でご利用いただきたいものです。
とにかく安さばかりに目を奪われるのは、たいへんたいへん危険としか言いようがありません。充分ご注意ください。
2010年12月6日月曜日
CTがやって来る(やっと...)
メールニュースをご覧になった方にはすでにお知らせしておりますが、年末にレントゲン設備を一新いたします。やっとCTが入ります。たいへんたいへんお待たせいたしました m(_ _)m
CT、日本語では「コンピュータ断層撮影」、Comupted Tomography の頭文字です。通常のレントゲンが二次元の透過像(こっちから向こうまで透かして見た状態)であるのに対し、CTは上の写真のように輪切りのような断面が診れるのが最大の特徴です。
例えていえば、厚さ0.1mmのハムを透かして見たような状態がCTです。どういう理屈でこのような断面が映るのか全然わかりませんが、まったく頭のいい人というのはすごいなと思います。
例えていえば、厚さ0.1mmのハムを透かして見たような状態がCTです。どういう理屈でこのような断面が映るのか全然わかりませんが、まったく頭のいい人というのはすごいなと思います。
実はCTを最初に開発したのは日本人で、1953年弘前大学の高橋信次先生がその人と言われています。ところがその発表は日本国内にとどまり論文も日本語だけだったので、世界に認知されたのは相当後の事だったそうです。
今日CT開発の父と呼ばれているのはイギリスのゴッドフリー•ハウンズフィールドさんで、1979年にはその功績によりノーベル賞を受賞しています。ノーベル賞は一般に生みの親より育ての父を評価する傾向にあるそうで、これもそのせいでしょうか?
しかし日本では断層撮影の価値が認められず、当初海外で評価発展した機械を逆輸入していました。なんとももったいない話です。こういうのは他にもいっぱいありますよね、八木アンテナとかフロッピーディスクとか。
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さて歯科でもCT診断の威力はたいへん強力です。いままでわからなかった事の多くが「えっ、そうだったの!?」というくらい解ります。顕微鏡とは違った意味で驚きをもたらします。
根っこの先端の黒い部分の病巣がはっきりわかります。しかも病巣が上顎洞(鼻の穴の続きの空洞)の骨を丸く押し上げている状態がはっきりわかります。そして粘膜も腫れて膨らんでいる様子も解ります。このままではいずれ骨が破れ、炎症が鼻にまで広がってしまいますので早急な治療が必要です。
白いのは中を詰めた人工物(天然ゴム)ですが、通常のレントゲンで視る限りそれほど悪い治療とは思えません。つまり今までの根管治療の常識は通用せず、私たちはもっと厳密な治療を時間をかけて行わなくてはならない事が解ります。
この他にもCTを視る事ではじめて解る事はあまりにおおく、顕微鏡と合わせてさらに良い治療が行えるようになります。
今までCTは外注撮影で結果をお見せするのに数日かかってしまいご不便をおかけしておりましたが、これですべて即日診断が行えるようになります。設置工事は来週です。
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