2009年9月18日金曜日

インプラントセミナー 1回目

インプラント初学者を対象としたセミナーを行いました。同業者の前で話しをするのはいつになっても緊張します。

タイトルは「診療室を手術室にしよう!」。去年の3月に5時間ぶっとおしで同様なセミナーを行ったのですが、けっこうタイトだったので今回は2時間の3回コースに変更。なら楽勝と思っていたのですが、1年半も経つと内容に変化はあるは、コンテンツは増えるはで、今回の2時間も異常にタイト。ご参加いただきました方々、たいへんお疲れさまでした。

ありがたい事にリピーターの先生もおられ、その勉強熱心さには頭が下がります。


さて、私がこのようなセミナーを始めたのにはいろいろ経緯があります。私はメーカーさんと話しをする機会がけっこう多いのですが、メーカー主催のインプラントセミナーは時間が限られているとは言えあまりに不足が多く、こんなんで良いのかという事がしばしば議論にあがります。

そこで不足部分をリストアップして、これくらいやらなきゃダメだとある業者に渡した事があります。ならばそれを補足するセミナーを企画できないかという事で、その時の営業マンは上司にかけあってくれました。

ところが上司は「こんなセミナーをしてはインプラントの売上が落ちてしまう」という理由で、この企画はあえなく却下されてしまったのです。

なるほど、それもそのはずです。私の企画は少なくとも「インプラントをどんどんやりましょう」という話しではなく、ちゃんと他の選択肢を考えて本当にインプラントが良いのか考えてくれ、で行うのであればせめてここまでやれるようになってくださいという、非常にベーシックな話しだからです。

必然的にインプラントのハードルは上がり、適応が減る事で売れ行きは落ちます。メーカーとしては自社のインプラントがどんどん売れるような話しをしてくれる先生をセミナー講師として迎えたいわけですが、私の話はメーカーに都合の悪い話しです。

信じられないかもしれませんが、インプラント以前に必要な外科手術の実習は大学生レベルではほとんど行われません。卒業後に各自が自己研鑽でお金を払ってまでして学んで行くのが普通です。

しかしメーカー主催のインプラント研修でそこまで話しがあるのは本当に希で、私にはメーカーのご都合主義が見え隠れしあまり良い気はしていませんでした。

そんな話しをコンサルのIさんと話しているうちに、それはそうだ、じゃあウチで企画しましょうという事になったわけです。原案から3年後の話しです。

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私の話はメーカーの色がついていません。ですからいろいろなシステムの良い所・悪い所もはっきり言えます。しかし我々はメーカーさんなくして成り立ちません。ですから彼らと仲良くする事はとても重要です。しかし勝手な事は言わせません。

このセミナーでは個人的に選んだ設備屋さんや材料屋さんを集め小さな展示会を併催していますが、みなさん私の趣旨をわかっていただけてますので、気兼ねなく話せます。

世の中良い話だけのはずがありません。かならず光と影の部分があります。その影の部分を無視していては必ず壁にぶちあたります。しかしそれが多いのです。

ですから私の話は歯科医院がインプラントを導入する時のプラス部分と同時にマイナスの話も必ずします。設備投資やスタッフ教育など、既存の決まり事を変えてまでやらなくてはならない大改革が始まるのです。

ところがそれを超えてインプラントを導入した歯科医院は、まちがいなく総合力がアップしています。例えば消毒滅菌のレベルは明らかに向上し、外科手術に立ち向かう患者さんにはいたわりの言葉が多くなり、治療一つ一つの精度が研ぎすまされます。結果として医院に一体感が生まれ情報は共有化されます。ここがこのセミナーの狙いの一つです。

このセミナーが多くの先生方のお役に立ち、スムースにご自分の歯科医院に導入していただけたらと願うのです。