2009年5月22日金曜日

マスクパニック!?モノから行動の時代へ

いやぁ、新型インフルエンザ、たいへんな騒ぎになってしまいましたね。関西では外出時にマスクをしていない人はいないそうです。浜崎あゆみのツアーは中止され、甲子園球場ではマスク着用で応援しているそうです。

一方関東はまだおだやかなもので、昨日東京ドームで行われたKAT-TUN のコンサートは滞り無く行われたそうです。

でそのマスクですが、入手困難で医療機関はどこも本当に困っています。当診療室も例外ではありません。

SARSの頃はいち早くマスク不足を予感し即座に必要量を確保した私ですが、実際にはマスク不足は起きず取越苦労に終わった経験がありました。で今回もどうせ大丈夫だろうと思ったらぜんぜん違いました。在庫が危ない!!!



それにしても新型インフルエンザに対して、マスコミはあまりにヒステリックだと思います。正しい情報を流しているつもりかもしれませんが、それに対する反応を先読みし、安心感を与える事がマスコミの良識たるものです。

それにより迷惑を被っているのは、本当にハイリスクである我々医療関係者です。そこにマスクがないとはまさに異常、マスクパニックです。

ウケ狙いの低俗な報道は本当に腹立しい物で、マスクパニックを引き起こした元凶です。既存のインフルエンザには何も言わなかったのに、新型だ、豚だといったとたんに過剰反応を起します。話題性があれば世間などどうなっても良いと思っています。

インフルエンザの予防にマスクが本当に有効かと言うと、私はかなり懐疑的な立場です。電車内のような人混みでなければ不要だと思っています。むしろマスクの保湿効果の方が重要です。

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さて、人類は新たな感染症と対峙しなくてはならない時代に突入したことを知らねばなりません。戦後生活環境が衛生的になり抗生物質が発達し、人類は細菌を克服したかのような錯覚をしています。しかし細菌は構造を変えて人類に再び襲いかかっています。

それはAIDSだったり、耐性結核菌だったり、O-157だったりします。そしていつ強毒性のインフルエンザが出現するかわかりません。私達はその準備をしなくてはなりません。

しかしそれは決してタミフルを備蓄するとかマスクを常用するという「モノに頼る」事ではありません。例えば「くしゃみは手や肘で抑える」とか「手を頻繁に洗う」という「行動に頼る」習慣をつけるという事です。

日本人はお金があるせいか、モノさえ揃えれば後は何も考えなくてもやっていけると勘違いしている人が多すぎると思います。

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医学の歴史は細菌感染との戦いから始まりました。コッホジェンナー、日本では北里柴三郎野口英世、小学校の頃に伝記をお読みになった事がある方も多い事でしょう。

先人の偉業により、私達は細菌の恐怖からそうとう解放されました。細菌の存在を身近に感じる事はできないでしょう。しかし私は、実は仕事で毎日細菌と戦っています。それは虫歯や歯周病です。私は患者さんには細菌の話しを必ずするのですが、それを真剣に聴いてくださる方は本当に少数です。細菌を身近に感じる事がふだんないのですから、それもしかたがないかもしれません。

私は今回のマスクパニックは、モノに頼りたがる日本人の性格をとても良く反映していると思います。インターネット上では紙製マスクが、我々が買う時の10倍以上の値段で取引されています。私はこのような事をする人達を軽蔑します。細菌よりも恐ろしい人類の敵であると思っています。

私は今回の新型インフルエンザ流行を「モノから行動の時代へ」のきっかけとしてほしいと思っています。この事実からいったい何を学ぶのか、私はマスコミの論調にたいへん注目しています。

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追記:マスクはなんとか最低量は確保できました。ご尽力いただいた方々に感謝申し上げます。【5月23日】