さて12月になりました。出だしからマイナスな話で申し訳ないのだが、私は1年の中でこの12月を最も苦手としている。
もちろん12月と言えばクリスマス、お歳暮や年末年始イベントと相まって1年で最も商魂が逞しくなる時期だ。それに比例して街は華やかになり、すでに11月から始まった装飾に否でも応でも気分は盛り上げられる。
吉田歯科診療室も12月1日からクリスマスの装飾が始まった。大きなツリーでも置ければいいのだが、医療器具が林立する我が診療室にその余裕はない。小物が何点か飾られているに過ぎないが、ちょっと違った雰囲気を楽しむのは良い事だ。
しかしそれらの華やかさとは裏腹に、内情はたいへんである。まず通常の診療であるが、なんとか年内に完成させたい患者さんのスケジュールを調整しなくてはならない。ギリギリでは危険なので、クリスマス前には装着してあげられないものかと考えるのだが、人間のやることだからスケジュール通りには行かない。これには毎年頭を悩まさせられる。
そしてこの時期には年賀状の準備をしなくてはならない。最近はメールで代用する人も多いが、私は古い人間なのかやはり紙の年賀状を貰って嬉しい人種だ。しかしこれを出すのはやはりたいへんだ。
実は今日やっと年賀状と、デザインの本を買ってきた。本屋さんに行くと20種類くらい山積みになっているアレである。いつも買う前に悩むのだが、今年は違う。表紙を見てインスピレーションがあった一冊を手に取り、中身もたいしてみずにさっさとレジに走った。だいたいこの手の本は派手な子供っぽいキャラクターで埋め尽くされているものが多く、ウチの診療室のイメージにそぐわないデザインばかりだ。どれを買っても似たり寄ったりで、選んでいる時間がもったいないという事に最近気がついた。とは言う物の、実はお昼休みの短い時間での買い物だったので、選んでいる時間すらなかったというのが本音だ。しかし私がこれだと思った大人っぽいシンプルな表紙の本から選んだデザインの年賀状がお正月に届く事になる。
そして12月といえば、ほとんどの人が楽しみにしているのはボーナスであろう。卒後勤務医をしていた数年は私も普通の給与所得者だったのでボーナスを何回か受け取った事があるが、その後歩合給という半自営業状態となり、今は一診療室の経営者である。ボーナスは既に支払う側となっている。おそらく全ての個人事業主にとってボーナス支給は、経営の最難関ではなかろうか。お金の工面もあるが、それにより従業員や自身の経営を評価するのは辛い。私が苦手としている分野であるが、経営上避けて通る事はできない。診療の方がよほど簡単だ。
12月にはそれ以外にも忘年会や大掃除、これに月締めの保険請求事務(レセプト)が重なるのだからたまったものではない。以上のような事から、私は経営者になって何年かはこの12月を最悪の月と決めつけてきた。しかしそれはずいぶん甘えた考えである事に気がついた。
つづく