2025年10月24日金曜日

無くなる民間病院にどう対処するか

今僕が個人的にとても憂慮しているのが日本の医療崩壊、特に民間病院が次々と閉院に追い込まれている事です。

皆さんのご近所でも大きな総合病院ではなく、20~100床程度の民間病院が業務縮小したり無くなってきていないでしょうか?特に都市部の病院は建物が老朽化が進んでおり、赤字経営のところも多く、建て替えや耐震補強もできないまま閉院するところがとても多くなっています。

老朽することは分かっていても、それに対処できる程の収益がない、銀行が融資してくれない、健康保険の収入が非常識なくらい安いという事です。

では大病院(大学病院や公立病院など)は黒字で安泰なのか?同じ健康保険制度で運営しているわけですから、基本的に大赤字です。

ただし大病院は公費の後ろ盾があり運営費交付金というのがあり、事実上赤字が補填されるのでおそらく倒産することはないと思います。しかし大赤字で設備更新ができないまま、不便を押し付けられたまま診療をしていることには変わりありません。そしてその赤字額は、とんでもない額となっています。以下のリンクはそのほんの一端です。

大学病院や基幹病院と呼ばれるところは、希少疾患や難病の治療も承るために、そこで大きな赤字が出ることが必然となっています。そういう意味もあって、後ろ盾がないと最初から経営できないようになっています。

では一般診療は黒字かと言えば、もちろんそうではありません。20年ほど前に旧国立病院が独立行政法人に移行しましたが、移行後の経営を見据えて存続が決まった病院が一斉に建て替えされました。その頃、急に豪華な病院が増えたことに気づきませんでしたか?後ろ盾がしっかりあるうちに建て替えをしておこうということで、これは民間病院では不可能な事です。

民間病院は自由診療や検診事業などの黒字で保険医療の赤字を補填する経営にせざるをえません。これは歯科と同じような図式です。しかしそれでも事業縮小や閉院に追い込まれる民間病院は増える一方です。

病院側に無駄がなかったかと言えば、たしかにそうではないようです。たとえば病床数は多すぎなのだそうで、その削減が直接医療費の削減に繋がります。

すると民間病院をこのまま赤字で閉院させれば、医療費を削減できるだろう…そういう方向に誘導しているのは誰もが予想できます。たいへん恐ろしい事だと思いませんか?

確かに日本人は病気に対して無頓着すぎる、健康保険があるんだから病気になっても安く治してもらえるはずと、もの心ついた時から擦り込まれています。そのような人に何の予告もなく、現状説明もなく、悪気なく医療を縮小して行くのです。

今後はさらに、軽度な疾患は健康保険から外す・漢方と安価な薬剤の保険適応除外、などが予想されています。医科がこの状況だから、歯科などにはかまってられないというのが、行政の本音ではないかと思います。

赤字なら赤字だ、医療は本来こんな金額でできるはずがない、国民に病気から遠ざける生活習慣を徹底させる、それにはペナルティもじさない、それくらいでないとこの事態は乗り切れないと思います。けどそれはできないでしょう。

ではどうする?それは一人一人が病気にならない生活や社会を真剣に考える・学校でそういう授業をする・会社でもそういう研修をする・そういう団体を育成する、ということになるでしょう。

2007年に北海道の夕張市立総合病院が経営破綻しましたが、それにより住民に健康意識が芽生え、心疾患や肺炎による死亡率が減少、病院に依存せず自衛することの重要性が理解されました。しかしなぜ日本はこのような事例を18年間活かすことができなかったのでしょう?

さてあなたの街の民間病院は今どうなっていますか?よかったら以下の書籍をぜひお読みになってください。上記のPIVOTに出演されている熊谷先生の著書です。ぜひ身近な医療について考えてみてください。

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