2015年12月18日金曜日

口腔インプラント学会(岡山)に行ってきた・3 インプラント周囲炎と栄養医学療法

だいぶ遅くなりましたが、こちらからの続きです。


さてそうすると、インプラント周囲炎とは避ける事ができない現象のように思えます。インプラントの長期経過を調べてみると、5年くらいは平気なのですが、7年目くらいから周囲炎が目立ってくるという話もよく聞きます。

ではこれを防止するために、現在どのような事が行なわれているのでしょう。先に書いたように、当然歯科医院で行われるメンテナンスが必要です。もちろん、毎日の歯磨きができていての事で、その確認のためにも定期的に歯科医院でチェックしてもらう必要があります。できれば簡単な細菌検査をされた方が良いでしょう。

しかし、それだけで良いのでしょうか?それでも間に合わないかもしれません。ここらかは私たちの見解ですが、鍵になるのは「内科的」なアプローチであろうと思います。

噛み合わせを削って調整したり、歯ブラシで清掃する、時には分解掃除をする、これらはすべて歯やインプラントの外側から手を入れますので「外科的」と言います。

では内科的とは何か?それは体の内側から対策をして行きましょうという事です。

歯もインプラントも骨に支えら、歯肉に守られています。顎の関節で動きを制御され、脳の命令で筋肉が動きます。これら全ては、細胞にきちんと栄養が供給されつづけていなければ十分機能いたしません。

すなわち骨は細菌に負け、歯は噛む重さに耐えられず、インプラントは長く使う事が難しくなって行きます。骨や歯肉に十分な栄養を送り込み、本来人が持っている生命力を取り戻す、体の中からも支える新しい治療が必要になります。もちろん従来からの外科的な治療との併用が前提です。

また一見無関係に思えるハギシリによるオーバーローディングも、じつは糖質過多で発生している可能性が高く、食べ物や食べ方を変える事でインプラント周囲炎の予防はかなり現実的なものになると思います。

私たちの体は、昨日まで食べてきた物で出来ています。体は新旧が常に入れ替わっており、分解して処理される一方で、コピーが造られ刷新し続けています。そこに栄養不足があれば、何かしらの不具合がでてきます。さらに細菌による攻撃や荷重負担が加われば、何年か後でインプラント周囲炎になることは十分予想できます。

ほとんどの医療は「あなたは毎日問題ない食事をしており、 栄養は十分摂れている」という事を前提で進められていま す。しかし調べてみるとほぼすべての方に、タンパク質不足・ 脂質異常・糖質過多・ビタミンミネラル不足・ストレスや、飲酒による栄養の過剰消費など、何らかの異常が診られ、この状態を私たちは「隠れ栄養失調」と呼んでいます。

超高齢社会問題において対策の基本となるのは、細胞に十分な栄養を補給する内科的なアプローチです。インプラントにおていは、歯科医師が治してやってるような形ではなく、患者さんも何も考えずに従うだけでなく、自分で何ができるかを考えなくてはならない時代になっています。食べ物とは、それほどおかしな状況になっているのです。

インプラント周囲炎に限らず、歯科と栄養医学との関係は、まったく一般的な話ではありません。しかし今後間違いなく必要な健康の知識として定着するはずです。しかし行政がそこまで考えてくれることはありません。そのことについてはまた後日書こうと思います。

さて岡山で解った事、それは一般的なインプラント周囲炎対策の見解とは、まだまだ根本的なところまでは行っていないということです。すなわち栄養医学の応用をどんどん進めてゆく必要がある、それが改めて示された事でした。