一年間、隔月で発行してきたSHOFU歯メイトコラムもついに最終回、すでに会員には8月15日に配信されておりますが、非会員向けにも一般公開されました。「夏のウルサイ奴」の正体が明らかになります(^_^)
さてこのコラム、テキストなのになぜか写真で使うJPEGで配信されておりまして、文字検索にヒットいたしません。PDFじゃないんです。解像度も悪く、印刷してもボケた感じで、どうもいただけません。一生懸命書いた文章なのに検索にもかからないのは不本意だったのですが、許可を得ましたので下にテキストデーターだけ公開することにしました。
それからすでにお伝えしておりますように、まったく歯科とは関係のない畑違いのところで、さらに短い文章を毎月提供して行く事になりました。先週そのゲラを見せてもらったのですが、ちょっと楽しみです。話題はちょっと重たいですけどね。そちらの発刊されしだいお伝えいたします。
この原稿は7月に書いているのですが、すでに蝉(セミ)がミ〜ンミ〜ンとかジージー鳴いております。
この蝉、ウルサいし、なんか怖いし、オシッコはするし、どちらかというと嫌われている虫ではないかと思います。あの音を聞いているだけで暑苦しくなるという人も多いようで、決して「虫の音」などと風情ある言われ方はしません。たまに玄関先でバタバタしてるのがいると、虫嫌いのウチの家族は皆ギャーギャー騒ぎます。しかし寒いのより暑い方を好む私にとって蝉の声はなんとも夏らしく、声を聴き目を閉じれば昔の情景が浮かびあがり、けっこう和ませてもらえます。
蝉はとっても不思議な生物として小学校の理科で習います。どうやって調べたのかは解りませんが、地中に7年も住んだ後に地上に出て、一週間飛び回り鳴きまくり死んで行くと。子供の頃にそう聞いても別にフ〜ンで終わっていたのですが、50歳代半ばで生死をマジメに考える年代ともなると、蝉のように天寿の最後を華々しく謳歌する生き様を羨ましく思うようになりました。
友を亡くし、親を亡くし、患者さんにも亡くなった方も増え、さて自分の死はどうあるべきかを考えた時、そういえば蝉は一生のうち一番華やかな時期が最後の一週間にあることに気がつきます。ムム、これは究極のPPK(ピンピンコロリ)ではないか!
蝉は彼ならではの責任を地中で果たし、最後にご褒美を神様からもらっているように思えます。人は蝉とは違いますから、ご褒美をもらえるにしても人生の最後にやっと…ではなく、おそらくどの時点でも小出しに貰えているのでしょう。それに気づく事が感謝である、って事にすると丸く収まりそうです。
では、人がご褒美をもらえるために果たすべき責任とは何でしょう。種族を残し、人ならではの文化を継承し発展させて行く…ってところでしょう。しかし現代人は神に背き歪な文化を創りあげてきたせいか、どうもご褒美をいただけてるように見えない事があります。その代わりにいただいたのがきっと疾患で、それに対抗すべく発達したのが医療なのかもしれません。
私達は少なくとも80歳まで生きる事を前提に考えねばなりません。資産形成や年金と同時に、健康の預金もきちんと考えるべきですが、どうも健康や病気を医者や薬任せにしている人が目立つ。人生の最後を楽しむための健康預金を、多くの人は先に使いはたしていないでしょうか。
蝉の鳴き声とはただウルサイのではなく、実は人にもっと楽しい終末像があるヨと訴えています。そのために医療は「ただ受けるもの」から「考え参加するもの」に転換するよう、医療界は進言して行かねばならないでしょう。そもそも医療は人のワガママまで許容するものではなかったはずですから。
さてこのコラムは今回で終わりますが、Blogの「歯界良好」では、引き続き何気ない日常から得られるヒントをアップしています。良かったらたまに覗きに来てくださいね。
【おまけ情報】デンタルダイヤモンド誌8,9月号の「マイクロデンティストリー 拡大視野が歯科を変える」に、それぞれ「移植とインプラント編」と「歯科衛生士編」が掲載予定、ぜひご覧ください!