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医学系には学会と名がつく団体が恐ろしくたくさんあります。私個人も内外10以上の学会に所属し、毎年会費や大会参加費を払い情報を集めています。
若い頃は(ん?今も若いぞ〜!)ただ参加して懇親会で飲み食いしていたものですが、その影で運営や準備をしてくださっていた先生がたくさんおられた事にはまったく気を使っていませんでした。ただお膳立てされた会場に赴いて楽しんでいたわです。
ある程度年齢が行き学会内で目立ってきたりすると、役職が廻ってきます。町内会と同じです。顕微鏡歯科学会は平成16年にできた若い学会という事もあるのですが、私はいきなり評議員でその2年後に理事兼事務局長となってしまいました。
まだ若く会員数も少なく知名度もない学会、しかし国際的な活動もしているだけに、このままではいけないと思い運営に本格的に関わりだしました。
私は新任された時の理事会でこう言いました。「顕微鏡歯科という名称は学術用語としても日本語としても不自然ではないか」「本会のゴールは顕微鏡があって当然の歯科医療を目指し周知される事であり、会の存在意義がなくなる事こそ我々の使命である」とやや挑発的な挨拶をしたものでした。
で、今現在どうかと言えば気持ちはまったく変わっておりません。しかしこの学会の現状、そして考えられる未来は極めて面白い。
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まず会員数が伸びている。新しい学会という事もありますが、会員数は500を越え、まだまだ伸びています。しかも若い先生が多い、これは他の学会ではなかなかない事です。
そして「ノリ」が良い。4月の新潟大会で参加者がどれくらい集まるか心配でしたが、ご報告した通りだったわけです。
私は顕微鏡を使う事により精度や信頼性が上がる事はもちろん、ビデオ撮影により治療を表舞台に乗せ客観評価することが歯科医療の信頼回復に繋がると考えています。そしてそのために生まれたのが「認定医制度」です。
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実はこの認定医制度や顕微鏡歯科学会そのものへの批判的な意見を耳にします。「顕微鏡歯科の認定医?ありえない!」「学会?あれは同好会でしょ!?」などなど。気持ちは良くわかります。
しかし多くの若い先生がこの学会に期待しているのはなぜでしょう?どうして採算を度外視してまで数百万円もする顕微鏡を買うのでしょう?
それはみんな「納得の行く良い治療をしたい、しかし保険点数は変わらないのでそのままでは医院は潰れてしまう」という現状を何とかしたいからだと思うのです。だから「今までの治療とはまったく違うんです」と自分でアピールしなくてはなりません。顕微鏡からの治療動画の応用はそのためにあります。
また顕微鏡を持っいるとホームページ上で宣伝しているのにもかかわらず実際には使っていない・使いこなせていない歯科医院も非常に多く、苦情すらいただきます。そういう所と明確な区分をするためにも学会が審査して認定しなくてはなりません。
で、今回のセミナーはその録画データーをどう活かすかという、かなりマニアックなものです。学会がパソコン教室のような事をしなくてはならないのは、初心者に学術論文の書き方を説明するのと同じ考え方になります。
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過去何度も書いてきましたが、学会認定医というものは誠にあいまいで、その信憑性はどれほどかを知る事はたいへん困難です。
しかし顕微鏡歯科学会は違います。本当に良い治療をやっているかどうか、動く証拠(?)を皆様に堂々とお見せできる、これは画期的な事です。
私はこの学会創設期から表に出て動画を用いた発表を繰り返してきましたが、気がつくと周りは歳下の先生ばかり、発表者集めに困ることはなくなりました。
自分自身はそろそろ裏方に廻り、若い人の夢をサポートする立場になろうと思っています。今では学術大会の運営サポートまで、つまり広告代理店やイベント屋さんのような事までやっています。
さてこの研修が実のあるものとなり、認定医を取得していただき、本当に患者さんのために活躍する歯科医師を輩出することができればと思っています。今日も熱い(暑い)一日になりそうです。
しかしそれにしても、やることいっぱいあるな〜〜〜〜