2020年8月16日日曜日

新刊・歯医者さんのかかり方


読売新聞に連載中の「医療ルネサンス」という記事があります。

たぶん1985年頃から続く長大なシリーズで、当初からなかなか良いことを書く記者さんがいるものだと思い、記事の切り抜きを保存したりしてきました(今も100枚ほどあります)。

時を経て10年ほど前、懇意にしている歯科コンサルタントさんのご紹介で、その記者さんと知り合いになることができました。で、そのまま患者さんに(^^)

記者さんの名前は渡辺勝敏さん、今は読売新聞メディア局専門委員として、主に医療サイトであるヨミドクターの編集に携わっています。

で、その渡邊さんが本を出しました。タイトルは「歯医者さんのかかり方」と直球ド真ん中です。


なぜか、読売新聞社からではないんですね???

で、そのヨミドクターで去年、渡辺専門委員の「しあわせの歯科医療」という連載があり、こちらでもご紹介いたしました。そう、当診療室も取材に協力し、二回登場しています。


お気付きの通り、この本はその連載に過去記事を加えて再編集したものです。

連載が始まる前、渡辺さんは「歯科は何とかしなきゃいけないなぁ」とおっしゃっていました。広く医療界を見てきただけに、重みがあります。

氏自身も過去、著名な先生にも治療していただきなかがらも、いろいろ思う事があったのでしょう。歯科は医療のなかでも一般医科と大きく異なり、特殊な場に置かれている、特に日本は、と。

本のp27にも書いてあるように、歯ブラシのかけ方というのは意外に難しいのです。気がついていただけるまでに時間はかかりましたが、やっと正しい事を書いてくれる本が世に出た事が素直に嬉しいです。

新型コロナウィルスの影響でなかなか歯科医院に行けない人が多いと思いますが、普段の自己管理(危機管理と言ってもいいかも?)の重要性が今ほど理解しやすい時期はないと思います。

東日本大震災の時も同じように自己管理の重要性が言われていたと思いますが、何か変わったかと言えば、ぜんぜんですよね。


そしてぜひこの本を読んで、何が間違っているのか、ではどうしたら良いのかを知っていただきたいのです。

以下は本の帯からの引用です。
学校や職場では歯科検診が行われ、比較的安価に歯科を受診できる環境があるのに、どうも日本人は歯の取り扱い方法を間違えてきたらしい。歯磨きをしているのに、きちんと磨けていない人は多い。だから虫歯を繰り返し、歯周病はひそかに進んでいく。虫歯が進んで神経を抜く治療を受けると、6割が失敗して再発しているのが現実だ。保険の価格設定が安く、治療で手抜きをする傾向がある。定期検診、虫歯の修復、神経を取る、歯周組織を回復する、矯正、インプラント……その実態を知った上でしっかりと歯科医を選んで受診したい。記者が自ら取材し、自ら体験し、お伝えする新常識。
こんな良い本がたったの¥840で読めるなんて、素晴らしいですね!

まだまだ外出がしにくい日々が続くと思いますが、この機会にこそこのような良書に触れることをお勧めいたします。



tel:03-3248-0418

2020年8月14日金曜日

歯磨きはステップアップして行ってほしい


3月中旬以後で診療にいらっしゃった方は「あれ?」っと思ったことでしょう。

一つは感染防御強化のために診療着が変わった事。そしてもう一つ、それは吉田がメンテナンスや歯ブラシ指導をしていることです。

新型コロナウィルスの影響で世の中大きく変わってしまいましたが、吉田歯科診療室もこれを機会に、ちょっと診療の方針を変えて臨んでいます。そしてこれはその一環です。

正しく言えば変えたと言うより初心に戻り、改めて私が考える…特に今の時代が求める「歯のメンテナンスと指導」を徹底して行おう、ということにしました。

何を厳しい事を!?って、まぁそう言わず以下をお読みになってくださいネ


私がメンテナンスの患者さんも診る、これは当初は患者数を制限すると同時に、歯科衛生士を感染から遠ざける意味で始めたものでした。

ところが患者さんを診てみると、誰一人として歯ブラシをまとも当てられていないじゃないですか?これはマズイなと…

今まで歯科衛生士に任せっきりだった歯のメンテナンスでしたが、私が言っていることや考えていることが伝わりきっていないことに気が付いたのです。

これは特に今の時代、とっても困るわけです。

なぜなら、来院が不可能になったとたん、歯の管理は100%本人依存になってしまうからです。

私たちは一般的に1ヶ月に1度のメンテナンスをお勧めしていますが、それでも31日のうち30日、すなわち96%は自身のスキル次第で結果が変わるという事です。

また残念ながら患者さんの中には「月に一度磨いていもらえるんだから…」と、手を抜いていしまっている方も少なからずおられました。

まさかの自粛要請でしたが、大災害など今後どのような事が起ころうとも、最低限の身を守る知識や技術を備えていて欲しいもの。歯磨きはその中でも栄養管理と共にとても大きなポジションを占めます。これは東日本大震災のときに痛感した事じゃないですか。


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私は患者さんにはある程度「自己管理」ができるようになってほしい、そして歯科治療を通じて「健康観」というものに気がついてもらいたいと考えています。

これは健康保険にはない概念ですので、完全自由診療に衣替えしたわけです。

しかしこの考えが歯科衛生士に伝わりきっていなかった、当然患者さんにも伝わっていません。

忙しくて直接の指導は歯科衛生士に任せっきりだった私が悪いのですが、その反省もあって作ったのが以下のサイトです。

ここには皆様に最低限抑えておいてもらいいた、歯ブラシの重要ポイントが網羅されています。

今までは歯ブラシ練習の度、時間をかけて個別にポイントを手書きした紙をお渡ししていました。しかし残念ながら、これを見直し役立てていただいていた方はほとんどおられませんでした。

そこでこのサイトです。これを見れば、自分自身のチェックが容易にできるようになっています。

もちろん頭で理解しているのと、実際に手を動かすのは別物です。ゴルフやテニスのレッスンも、理屈は解っていてもうまくできないのと同じです。

ポイントは5つです。

  1. 片手で唇をめくり、よく歯を見ながら歯ブラシを当てる
  2. 必ずスタートポジションを決めてから動かし始める
  3. 奥歯の内側のスタートポジションは、前歯の真ん中に歯ブラシの柄が当たる
  4. まず毛束が歯間を通過するように動かす
  5. 一回一回を確実に行う

特に3は難しいうえに、覚えていない方がほとんどでした。これでは月一メンテナンスの効果も薄れてしまいます。

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関東を中心に、また感染者が増えているという報道が相次いでいます。しかしこれは、だいぶおかしな話であることに気づいている方も多いでしょう。

どういうことかと言うと、今は感染者周囲の人を意図的に多く検査し陽性者を出し、数字上増えているように見せているからです。実際、感染症指定病院の外来は3,4月のような混み方ではありませんし、重症者数もぜんぜん少数です。

しかしまたいつ自粛要請が出されるか判らない情勢であり、さらにはこの冬にどのような形で感染が拡大するかには注意しなくてはなりません。

ですから皆様にはこのサイトをよくご覧いただき、たとえ私たちの手から離れてしまっても、ある程度の自己管理をやれるだけのスキルを身につけておいて欲しいのです。

もちろん100%自分で磨き切ることができる人はいません。そこをお手伝いするのが私たちの仕事です。

ただしそれだけでなく、せっかく毎月いらしていだたけるのですから、30%から50%に、50%から60%に、と毎回ステップアップしていってほしいわけです。

ただ磨いてもらって「あ〜、スッキリした!」で終わってしまうのは、ウィズコロナ時代には通用しません。

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私は大学を卒業して勤務していた歯科医院で、歯ブラシ指導や歯科技工を10年以上やっていました。その時に考えていたことを今一度具現化しようとしています。

歯ブラシ指導にある程度目処がついた方は、もちろんまた歯科衛生士に委譲することになります。しかし私も勉強なので、もう暫く吉田の歯ブラシ指導が続く事が多いと思います。

繰り返しますが、時代は変わりました。皆様には、ある程度自己管理ができる人になってほしいのです。

それは大変だ!って?

いやいや、心配は要りません。なぜなら歯ブラシは死ぬまで毎日続けるわけですから、必ずうまくできるようになります。

私も今新任の歯科衛生士といっしょに、どうやったらもっとうまく伝わるか・教えられるか、を一生懸命考えています。

そしてメンテナンスの間隔が2週間から1ヶ月、3ヶ月、半年と安心して伸ばせるようになっていただきたいのです。

さあ、あなたは何ヶ月まで伸ばせるでしょう?皆様のご来院を楽しみにしています!

tel:03-3248-0418