2014年12月31日水曜日

2014大晦日

間も無く2014年も終わろうとしています。皆様にとって今年はどんな年だったでしょう?

私はと言えば、いろんな人の意見に出会うことが例年以上に多くあった年でした。良くも悪くもこんな意見があるのか、こういう見方もあるのかと、驚く事が実に多かった。



気になったの、良い意見であったにもかかわらず、自分が今生きている事に何の感謝もない人が複数いた事。どのような意見でも構わないですが、その意見に辿り着いた過程に疑問があった残念な人がいた。

しかしふと気付くと、感謝なんて言葉を使っている自分が居る、いろんな意見に揉まれているおかげでそんな自分にならさせてもらったのか、これは感謝だ!少し人間が出来てきたのかもしれない!? いや自分で褒めるのはやめよう。

では来年は?もちろんさらに揉まれて研ぎ澄ましてゆく、プラス、実は新しいアプローチを考えています。裏で進めていた事があり、そろそろ実行に移したいと思っています。すでにスタッフには話してあるのですが、とても私一人で出来ないので、というくらいのものです。まだ明かせませんが、徐々に見えてくる事でしょう。どうぞお楽しみに。

さて吉田はこの大晦日は始めて東京を離れ、京都に来て鰊蕎麦なんぞ食べております。普段とは違う空気がもたらす新たなインスピレーションを持って、2015年は1月5日スタートです。皆様、素晴らしい新年をお迎えください。


吉田歯科診療室 デンタルメンテナンスクリニック

2014年12月28日日曜日

この先に見えるものは本当にあなたの未来ですか?

日本臨床口腔外科医会・11

こちらからの続きです。


顕微鏡を用いた歯科診療は
自分の診療スタイルに合っているか?
合っていないと思ったら今日の話はスルーか?

この講演を聴いて顕微鏡を用いた歯科治療は自分とは関係ないと思う先生、導入しないと決める先生もおられるはずです。ではこの話を聴くのは無駄になるなのか?私は違うと思います。顕微鏡により実現する世界とは何なのかは、口腔外科を専門とする先生であっても知らなくてはならないと思います。

例えば、歯内治療の研修に行ってきたという歯周病専門の先生がおられます。彼は歯内治療をやりません。ではなぜそこに行ったのか?

実は彼も歯内療法の先生とコラボしているし、そういう方達から患者さんを紹介してもらったり紹介しています。だから他科の立場や考えをある程度知らないと良い仕事ができないと言います。他者の立場を理解してこそ、自分の専門性が際立つわけです。

自分が知らないとかできないとかで、その範疇で治療の選択肢を少なくしてはいけないと思うんです。

インプラントができないから、無理な義歯で対応するとか、歯周治療がわからないからさっさと補綴してしまうとか、患者利益ではなく自己利益でしかない、これは医療ではありません。

インプラントや矯正は認知度が高いので紹介というものがよく行われるわけですが、それと同じ考え方で顕微鏡を用いた治療も紹介が行われるようにならなくてはいけないと思うんです。

モノからコトへの転換

日本臨床口腔外科医会・10

またまたえらく遅くなってしまいました、今更ですが4月20日の臨床口腔外科医会の続きです。前回の記事はコチラです。


これは顕微鏡を使う・使わない以前の話なのですが、どうも私が考えている事と世の中で思われている事の乖離が激しいので、顕微鏡を使う使わない以前のこととしてお話させていただきました。
  • まず、「良い材料や最新の機械を使えば良い治療ができる」…これは大きな間違いです
  • ですから、「顕微鏡があれば良い治療ができる」…は大きな間違いです
  • つまり、「顕微鏡がある歯科医院は良い治療をしている」…も大間違い

顕微鏡が治療をしてくれるわけではありません。するのは歯科医師です。その人がどのような考えで治療を進めているのか、顕微鏡をどのように活用しているのかが見抜けなくてはなりません。


歯科医療はとても多くの機材を使います。モノは確かに重要で、良いものを使う・使わないが結果を左右する事はあります。しかしそれだけではありません。

昔から良い治療を勧める時に言われてきた口説き文句(?)に「金を使うから良い治療で長持ちする」とか「白いセラミックスだから高い」とか、要するに材料が違うから良い治療で、それが自由診療であると言うものがありました。

しかし現実は、最終的に出来上がるモノ(材料)を変えただけで、技術や中間材料、そして造るのにかける時間が変わっていないために精度が悪く(適合しない)、結局すぐに脱落したり破損するような治療が頻発しているわけです。

そのために「歯なんかにお金をかけても変わらない」という経験をした方が少なからずおられ、歯科医療の信頼を落とす事例があるわけです。

先に挙げたコンポジットレジン修復も同様で、材料をどのように扱うかで予後がまるで変わってきます。材料の進化によってもたらされるはずの信頼性アップがなかなか現実化しないのです。

詳しくは長くなってしまうのでこちらのパンフレットをご参照いただきたいのですが、とにかく歯科医療においてモノの善し悪しは2番目か3番目に重要な事になります。…というか「悪い材料」なんて今はほとんど無いのですが。

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歯科医療において「適合」の良し悪しは「どれくらい持つか」を決定します。ですから、
  • 適合の良い保険材料での治療
  • 適合の悪い自費材料での治療
では、どちらが長持ちする治療なのかと言えば、前者になります。

時間をかけて丁寧に造れば、たとえ健康保険の材料でもかなり長持ちする治療が可能です。しかし適合の良し悪しは患者さんには解りませんし、やっている当の歯科医師でも把握することができない部位もあります。ですから一つ一つのステップを確実にこなしてゆく慎重さが必要になる、結果時間がかかるわけです。

良い治療というのは患者さんにはなかなか解りにくいものだと思います。だから一番解りやすい見える部分に、すなわちモノに目を向かせる人が多いのでしょう。

ところが困った事に、患者さんと同じような勘違いをしている「モノしか見ない」歯科医師も多いわけです。ですから私は…

モノからコトへの転換

見える価値の理解は容易
見えない価値を感じる理解力の創造


という話をしました。見えない部分、背景を読み解く力を養ってください、最近良く聴く「リテラシー」というやつです。

多くの歯科医療は最終的にモノとして提供されることになりますが、それを造るのにどれだけの労力が必要だったのか、またこれからどのような価値を生み出して行くかを考える力が必要です。残念ながら、このような思考は日本人が苦手としている事のように思います。

学校ではそんな教育はしません。社会全体が子供に与えて行くものだと思います。大人は、、、ちょっと遅すぎたかもしれません。

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日本人は特にモノに弱い人種だとききます。私も同感です。戦後の物資不足の中を生きぬいてきた世代の方々は、モノのありがたさが染み付いています。「モノが人々を幸せにする」「モノ造りの国ニッポン」というのは、そういう苦しい時代が根底にあったからでしょう。

時代は変わり、世にモノは溢れています。一部に粗悪なモノはありますが、大部分は古くなっても直せば使えるし、生きる死ぬの問題が出る程の事はそうそうありません。

しかし医療は違います。モノが悪ければどうなるか、そしてその原因はコトを評価する気持ちの欠如があるわけです。

そしてこの感覚がないまま顕微鏡を導入すると、顕微鏡はただのオブジェとなってしまうのです。


2014年12月27日土曜日

「歯の破折の診断と処置」に執筆(少しだけ…)

ちょっと前になりますが、先のデンタルダイヤモンド社からこのような書籍が刊行されました。平たくいえば「歯が割れたらどうしましょう!?」という本です。


【デンタルダイヤモンド社】

最近のこの手の書籍は、ウェブ上で立ち読みができるようになっています。便利になったものですね。立ち読みはコチラから。



で、その中で私は「直接覆髄」というテーマで書けとの命令で、4ページ書いております。

YouTubeの にもアップしてありますが、事故で歯が割れたり虫歯で神経が露出すると、神経をとる処置をするのが常識です。しかし神経は生きてますので条件が揃うと露出部分を閉鎖しようとします。そこに細菌がいるとダメなのですが、顕微鏡を見ながら神経に刺激をできるだけ与えないよう丁寧に感染部を除去してあげるとうまく行くケースがあります。

こういう治療は成功するかどうかはやってみなければ解らず、ちょっと賭けにはなります。しかし神経をとってしまえば何億払っても返って来ませんし、神経をとった歯を一生使い続ける事は実は難しいという事で、チャレンジのしがいがあるのです。

だいぶ以前から知られている治療方法ですが、成功率が低くほとんど行われて来なかった方法です。しかし顕微鏡の普及とともにだいぶ一般的になってきたのではないでしょうか。もっと普及するといいですね。


2014年12月24日水曜日

マイクロデンティストリーの現状と可能性


今年も大小さまざまなコンテンツを提供してまいりましたが、最後のトリがこちら、デンタルダイヤモンド誌1月号が発売になりました。今号から表紙のデザインが一新、これはどうもマラソン大会のようですね。


記事は連載もので「マイクロデンティストリー 拡大視野が歯科を変える」というテーマで一年間続きます。

私は全体のコーディネートをしているのですが、第一回という事で「マイクロデンティストリーの現状と可能性」と題して7ページいただいております。

この中でちょっとネタをばらすと、「拡大鏡 vs 顕微鏡」という項目があります。両者を対立関係に扱う人がけっこういるのですが、ひじょうに小さな話だと思います。両者は…
  1. ただ「拡大する」という意味においてのみ共通
  2. 観察軸が根本的に異なる
  3. 対立関係ではなく、相互補完の関係にある
とさせていただいてます。自己主張が強すぎて他方を認めない方がおられるのですが、それでは臨床の可能性を狭め合うだけでお互いマイナスだと思うのです。診療スタイルは皆違うのですから、尊重しあうのが大人ではないでしょうか。

その他ちょこっと辛口な話をいっぱい書かさせていただきました。是非お買い求めになられてください。


なおこの連載は、すでに顕微鏡を使って結果を出している新進気鋭の先生を中心に、各科別の執筆をお願いしております。お楽しみに!

2014年12月22日月曜日

ハローキティ with 日本歯科大学!


むむ、これは驚いた、さすがは我が母校!サンリオさんと提携です。

左はおなじみのデンツプライ三金さんのグッズですが、右は?スクラブと呼ばれる手術着を着たキティちゃんが実物大のエアタービンを持っています。

ご存知キィティラー衛生士のWDさんもご満悦、お求めは日本歯科大学生命歯学部同新潟生命歯学部の売店で!

Brånemark教授、逝去す


歯科インプラント治療の事実上の生みの親とも言える、スウェーデンのブローネマルク教授が20日心臓発作のため逝去されたとの事です。すでにWikipediaにも掲載されております。

http://en.m.wikipedia.org/wiki/Per-Ingvar_Brånemark

チタンと骨が物理的に結合するという不思議な現症を発見し、それを歯科に応用するという画期的な手法を生み出した事で知られ、現代歯科医学への貢献は計り知れません。

心よりご冥福をお祈りいたします。合掌

2014年12月15日月曜日

松風「歯 メイト」コラム 第2回


株式会社松風がお送りする会員制ウェブマガジン「歯メイト」のコラム「吉田格の歯界良好」の第2回が今朝配信になりました。上の画像がそのチラミセです。

タイトルは「忘年会から望年会へ」、どこかで聴いた事があるタイトルかもしれません。それが解った方はエラい!

製品紹介は発売されたばかりのビューティコアキットEX。神経がない歯の再建にかかせないコンポジットレジン製の芯材と、それを補強するグラスファイバーの芯について臨床例と私見をあげています。

歯メイトは毎月15日配信で、吉田のコラムは偶数月です。約一ヶ月後にはサイトにも掲載されますが、それまでは会員限定での公開です。

早く読めるよう無料の会員登録をしてみてはいかがでしょう?





2014年12月10日水曜日

お揃いのタータンチェック!

12月という事で、クリスマスツリーの登場です、一気に華やかになりました!



今年も女性陣の渾身の飾り付け、キティラーのWDさんの趣味が全面に出ています!今年のポイントは赤いタータンチェックの大きなリボンですが…


これはよく見れば私のフルオーダー白衣の内張りとお揃いです。で記念撮影となりました。パシャ!

本年の最終診療日はクリスマスの25日まで、26日は大掃除のため休診となります。あ、急患はもちろんお受けいたします。

忘年会真っ盛り、どちら様も呑みすぎ騒ぎすぎに注意して年末をお楽しみください!

2014年12月6日土曜日

鹿児島に行ってきた・3 日本レーザー歯学会教育研修会

コチラかの続き、鹿児島の最終話です。


で、第2回の教育研修会がスタート。会場は満席、地道な広報の成果です。午前は、東京医科歯科大学の田上教授と、同大学出身かつ地元ラサール学園出身の加藤先生が登壇!活発な質疑も行われます。


実はこの研修会の資料、すべて私のお手製でございます。経費かけられないので、地道な苦労の結晶です!

この資料の印刷は鹿児島入りの前日にやっと終わったのですが、私は知らなかったのですが、宅急便て東京→鹿児島って配送に時間がかかるんですね。という事で手荷物となりました、重たかった…


こちらは本研修会の目玉、3波長の同時ハンズオン。私はもちろん半導体レーザー担当です。入口には人数分の保護眼鏡が並びます。用意されたレーザーは7台、二人一組で実習が始まります。


 これが実習の模様、右奥で立って説明しているのが私です。ごらんのようにアイソレーションガウンに身を包み、保護眼鏡を全員がしています。机の上には豚くんの顎骨一人に一個。これを持って3つの波長の部屋を渡り歩きます。半導体・Er-YAG・炭酸ガスの3種類が同日に研修できる、、、、、いやぁやっと実現しました、日本初です!

***

さて、このような研修・実習会はなぜ日本で実現しなかったのでしょうか。そんなのは簡単だろうと思われるのではないでしょうか。理由は大きく3つあります。

1・レーザー機器メーカーのスケジュール調整が難しい
実習ですから、メーカーさんに多数の機器や機材の搬入をお願いしなくてはなりません。しかし3社の都合を合わせるのは非常に難しいのです。私たち安全講習委員会メンバーは各メーカーの講師を務めるなど繋がりが強いので可能となりました。

2・会場の都合がつかない
実はこれが一番問題。講演会の会場ならどこにでもありますが、実習付きとなると話が違います。安全上、必ず各波長一部屋を確保しなくてはなりません。部屋は充分な換気が出来なくてはなりません。また20台くらいのレーザーを一度に稼働させるため、充分な電力の確保が必要です。場合によっては電源車の確保も必要で、大幅なコストアップになります。会場は当然、人が集まりやすい場所でなくてはなりません。しかも会場費は無料で借りられるところであってほしい、これだけ条件が良い場所は東京でも難しいのです。この度鹿児島で開催したのは、これらの条件がすべて揃っていた事に他なりません。ご協力いただきました鹿児島県歯科医師会様に感謝申し上げます。

3・講師と安全管理者が集まらない
レーザー使用には、必ず安全管理者が必要です。3波長同時に行うにあたり、これを徹底させるのはなかなか難しいのです。講師の他にもレーザーに詳しい人を揃える、学会の委員でなくては人材は揃いません。

………とまぁいろいろ障壁があったわけです。レーザーは今も大学教育のカリキュラムにありません。卒業してから自力で勉強して行くもので、教育体系は最初からないのです。

今まではメーカーさんが独自に、悪く言えば「売りたいがために良い事しか言って来なかった」時代が続いて来ました。メーカー講師が正しい事ばかり言っているかといえば、実はそうでもありませんでした。

しかし、これからは違いますよという事を示す事ができたと思います。レーザー教育はインプラントのように大学で行えるようになるまではまだまだでしょう。そのためにも学会は正しい情報を発信して行く必要があります。

さて、実は今日から日本レーザー歯学会の学術大会です。今回は一般演題(会員発表)に口頭発表がなく、すべてポスター発表という「え〜!?」という状態ですが、しっかり見てこようと思います。

2014年12月3日水曜日

鹿児島に行ってきた・2 超旧友再開

すっごい遅くなりましたが、コチラからの続きです。


実は鹿児島で、とっても不思議な再会がありました。現地では多くの先生方が一生懸命準備をしてくださっていたわけですが、「その中に先生の小学校の同級生がいますヨ」との連絡をくれたのは、つい先日研修会で知り合ったN先生。当日朝にfacebookでメッセージが届きました。

私は最初いったい何の事が解らなかったのですが、準備委員の一人の名を見て「えっっっっっ!?」と思ったのです。彼はたしか小学校4年に転校してきて、その翌年くらいには新設校にまた転校していったW君。誕生日に招かれ、彼の以前の小学校の友達らと野球をしたのを覚えてます。

しかし彼が歯科医師になったとは思いませんでした。聴けば彼は東京の四大を出てから鹿児島大学の歯学部に入り、現在は今回の研修会の準備委員長をしているO先生の所に勤務している、、、、、おぃおぃ何も聴いてないぞ?

で、どうやらW君、いやW先生は「吉田先生は自分の事は覚えていないだろうから」と周りに言っていたらしく、O先生も私に何も言わなかったそう、、、えー、ちゃんと覚えているゾー!

という事で会場を探してみると、受付には小学生の頃とまったく変わらぬ顔のW先生!いや、本当に変わってない、42年ぶりとは思えない、とにかく懐かしい。

彼は一度私のウチに来た事があったらしく(つまり私は覚えていない…)大阪の万国博覧会のパンフレットや写真を見せてもらったことを懐かしく話します。

お互い準備でたいした話もできなかったのですが、またどこかで会おうと約束をします。

しかし、こんな事があるんだと、ただただ不思議な感じの中でで研修会は始まります。


2014年11月20日木曜日

変わりゆく街並を診る


既にお伝えしておりますように。、歯科材料メーカーの老舗、京都の「株式会社 松風」の会員制メールマガジン「歯メイト」に、10月より隔月でコラムを提供しています。タイトルはこのBlogと同じ「歯界良好」!



会員制なので本来のオトクな情報は限定ですが、私のコラムは一ヶ月遅れくらいでどなたにも読めるようになっています。という事で、既に第1回がアップされておりました。ぜひお読みになってください。



第2回は12月15日の配信で、年末ネタでお送りいたします。是非会員登録をして、お得な情報と共にお楽しみください!

2014年11月18日火曜日

歯学部学生に向けたセミナー



今週の土曜日ですが、面白いセミナーが開催されますのでご紹介いたします。その名も、、、

歯学部生よ歯医者ではない!歯科医師であれ!

これは今までにない画期的な企画で、大学歯学部の学生とその保護者に向けたセミナーです。

実は歯学部学生には、とにかく将来に対する情報が少ない。そこで立ち上がった、いや「拳を振り上げた」のは、横浜市開業のヘビメタ先生こと、田中先生たちです。

学生とはだいたい暢気なものと思っている方が多いと思いますが、医学部・歯学部は違います。連日の実習や試験に明け暮れます。そんな日常で将来を考えている時間はほとんどありません。

しかし私の学生時代はそこそこマジメにやっていればほとんどの人が進級し国家試験にパスでき、進路はそれから考えても遅くはありませんでした。しかし今はまったくそんな事はなく、留年や国家試験浪人は当たり前、歯科医師になっても就職や開業は厳しい時代です。

そんな時代の学生達を思う暖かい、いや激熱な先輩がたのメッセージが聴けるに違いありません。吉田も一応これでも保護者なので参加します。詳しくは下記まで。

では会場でお会いいたしましょう!




現役歯科医師達が
水先案内人となるべく拳を振り上げた!

日時・会場
平成261122日(土)14:00~17:00
貸し会議室 水晶院別館
横浜市鶴見区豊岡町14-27 水晶院 別館 2
045-582-9040 http://www.suishowin.co.jp/seminar/
お申し込み
メールまたはFaxで「歯科医師であれ!参加希望」と お書きになりお名前・ご住所・電話番号・大学名・学 年をお知らせ下さい。
little-blue@aqdc.jp
045-321-8684(Fax)



★歯科医師ってそもそもなんだろう?★
大学歯学部というところに入学し、基礎課程をあ る程度通過した皆さん。
これからまだ幾年かの学生生活を経て国家試験に 臨むわけですが、ライセンス取得後の進路について少しでも多くの情報を得ていたい局面にさしかかってい ます。
しかし往々にして学生として大学時代に得られる情 報は漠然としたものが多く、進路についての質問が我ら歯チャンネルをはじめネット上にも多数見受けられ るようになってきた現在があります。
またここ数年、世の中には歯科医療に対するネガ ティブな情報も不確実な状態で氾濫し将来に対して不安を感じておられる方も多いでしょう。
ご家族に歯科関係者がいたりすればある程度の相 談なども可能な場合もありましょうが、中には学生 自身で悶々としているケースも少なくはないように感 じます。
★今まで聞けなかった事を聞いてみよう!★
逆に歯科医療とは全く無関係な家庭環境から歯学 部へと進学した方も少なくありません。
そのようなシチュエーションではいざ進路を決めね ばという時に、ご家族は何のアドヴァイスすら出来ずにお子さんの行く末を見守るだけになってしまいが ちです。
そのような場にも対話のきっかけとなれるような 情報を広めたいところでもあるため、学生とそのご家族にも対応したいと考えております。
★聞くだけは眠くなる。質問してみよう!★
こういった現状の中、我々が各々の立場で現実に即 した形での学生への将来への展望をプレゼンテーショ ンすると共に、座長・演者・聴講者を交えて、中途で の質問を受け付け可とし、会場からの聞きたいタイミングで聞きたい部分にオンタイムで答えてゆくよう な参加型・対話型の集団ミーティングとして開催したいと考えます。
卒後のアウトラインを理解していただけるよう、一 般歯科医師としてバリバリに経験をつんでいらした小 林先生・大学の研究室に残り顎関節と咬合を極める べく驀進し続ける西山先生・大学口腔外科に在籍後、 満を持して開業に踏み出した加藤先生・臨床に出て現 場で実感した歯科医療の問題点に、臨床以外からア プローチを試みたプロジェクトを実行中の田尾先生ら にパネリストとして、それぞれの立場からの意見・回 答をしていただき、これらを総合的な立場からまとめ ていただくために、歯科医師国家試験予備校DES の講師として日本全国を飛び回り、近年ますます難化 傾向を示す歯科医師国家試験事情などにも詳しい中本先生をコーディネーターとして迎えお話を進めてゆ きたいと思っております。
大学内やごく一般的な情報源では得られないよう な、もっと現実に即した歯科医療の現場からの声を歯学部の学生たちに届けるべく拳を振り上げたいと思 います。 


お問い合わせ
横浜相鉄ビル歯科医院
220-0004 神奈川県横浜市西区北幸1-11-5相鉄KSビル2F 相鉄医療センター
045-311-3295(担当 :田中・岩田) 
http://www.y-dc.org/_userdata/141122_03.pdf





2014年11月9日日曜日

床ワックスがけ完了

この土曜日に診療室内の床全面の清掃とワックスがけを行いました。今回の業者さんは気合いが違います!壁面を養生してから床面を清掃、その後ワックスがけをして行きます。

というわけで、床はピカピカ、というよりはテカテカ?明日の患者さんの反応はいかに?


2014年10月26日日曜日

「松風 歯メイト」に寄稿


最近Blogの更新が出来てない理由の一つに、いろいろ他に執筆がありまして、、、、と言い訳をしてみる。いやいや、そんなたいした事はないのですが、どうも文章をまとめるのが遅くなってきたような気がします。

で、最近出ましたのがコレ。歯科材料では超有名な松風さんの会員制メールマガジン「歯メイト」(従来からの松風歯科クラブとは違うんですね)に、今月から隔月で一年間コラムを担当する事になりました。タイトルはこのBlogと同じ「歯界良好」!第1回目は「変わりゆく街並みを診る」です。


会員登録をしないと見れませんが、いずれは私のコラムをまとめたページができるのだそうです。しかし、それまで待てない!でしょうから、是非会員登録(無料)をしてみてください。限定情報などが毎月15日に送られてきます。

診療以外にも、このようないろんな発信や表現が必要です。今も某歯科商業誌の連載企画の第1回目を書いていますが、私の後に各分野のエキスパートの各論が繋がりますので、けっこうたいへんです。こんな感じで有効に休日を使わささせてもらってます。がんばんなきゃ〜

2014年10月10日金曜日

超音波スケーラーのプロモーションビデオ


診療室内での説明用に、いろいろなビデオを作成しています。

これは歯科衛生士が超音波スケーラーという装置を用いて、歯周ポケット内のクリーニングをしている様子です。

私たちは歯本体に人工物を装着する以前に、必ず歯肉も奇麗な状況でなければならないと考えています。そうでなければ出血などの影響で、正しい型採りができないからです。

ですから私たちは予防と治療が同時進行、つまり私が担当することと、歯科衛生士が担当する事が並行して行われます。

私が型採りをする時にはすでに歯肉に炎症がなく、奇麗になっているわけです。こうして信頼性と継続性のある治療が可能になって行くのです。

「歯肉はいいから、先にムシ歯を治してください」と言う患者さんは多いのですが、それはこのような理由からできないのですね。

2014年10月9日木曜日

ワールドデンタルショーで半導体レーザーセミナー


明日よりパシフィコ横浜で行われるワールドデンタルショーのオサダブースにて、今年も半導体レーザーのミニセミナーを行います。

持ち時間は20分間なのですが、ブース内セミナーは人集めが難しく、話し始めは人がまばらで、終わりに近づいた頃にやっと人だかりになる、、、という悩みがあります。

そこでいつもは開始一時間くらい前から展示場内を廻って知り合いに声をかけてサクラを集めるという、涙ぐましい努力をして場を盛り上げてきました。

しかし今回はお隣の会場で行われている国際歯科大会に参加しており、途中で抜け出してきてのセミナーなので、サクラを集めている時間がありません。これは大ピンチ!?

という事で、サクラを大募集しております。皆様、以下の時間でお待ちしております。

***

第7回 ワールドデンタルショー2014 オサダ社ブース内
10月11日(土)15:30~15:50
10月12日(日)15:00~15:20

***

今回はタイトルも変え、オサダ独自のサファイヤ製のチップの半導体レーザーの優位性についてお話いたします。

何も知らずに未認可の並行輸入レーザーをお使いの方も多いようです。この機会に唯一国内で承認されている半導体レーザーの正しい安全な使い方に触れてみてください。

お待ちしております!

小原流展


本日より新宿高島屋にて、いけばなで有名な小原流の展覧会が開かれます。当診療室の患者さんも出展いたします!

私は学会があるので伺えなく残念なのですが、お時間がある方はぜひ行ってみてください。きっと素晴らしい「非日常・日常」を見る事ができるでしょう。

2014年9月29日月曜日

鹿児島に行ってきた・1 知覧特攻平和会館

もう一ヶ月も経ってしまいましたが、8月の最後に鹿児島に行く機会に恵まれました。

目的は日本レーザー歯学会の教育研修会の運営なのですが、鹿児島は初めてなので金曜の夜から現地入りし、土曜日に知覧特攻平和会館に行ってきました。


今年の夏はどこに行っても悪天候で、鹿児島もしっかり雨… レンタカーを借りて小一時間、知覧特攻平和会館に着きました。

想像していたよりずっと大きな施設で、展示がこんなにいっぱいあるとは思いませんでした。特攻で帰らぬ人となった若い人たちが残した最後の手紙に心を打たれます!

説明によると、手紙は圧倒的に母親に宛てたものが多く、父親へのは少数派なのだそうです。


上の写真は鹿児島沖から引き上げられた零式艦上戦闘機(ゼロ戦)です。館内の撮影は禁止されておりますが、外からガラス越し見る事ができます。機体の後尾はありません。


出撃を控えたパイロットが寝泊まりしたのがこの三角兵舎。異様です、、、



敷地には数多くの石灯籠があります。おそらく帰らぬ人となったパイロットの数だけあるのでしょう。


知覧を飛び立ったパイロットは開聞岳を後ろに沖縄方面に飛び立ちました。何度も何度も後ろを振り返り、開聞岳が見えなくなった時に覚悟を決めたそうです。

という事でその開聞岳まで行ってみましたが、雨で何も解りませんでした。


間違った時代の、考えられない戦法。時代に逆らう事など、誰も考えなかったのでしょうが、人とは、集団意識とは、何とも恐ろしいものだと思いました。

戦争、絶対にダメです。


2014年9月28日日曜日

フルオーダ白衣を造った!


造ってしまいまいました、フルオーダーの白衣!最高です!

「良い白衣ってないかな〜」と、かれこれ30年くらい思い続けてきて、結局見つからない、、、残り十数年の歯科医師人生をこのままというのもつまらない。

白衣は私にとって1日10時間くらい着ている「普段着」ですが、「部屋着」や「作業着」のような性格も持っています。自分が本当に気に入ったものにしたいと兼兼思っていました。

一般的に国産の白衣はどうも野暮ったく、喜んで着れるようなデザインではありません。機能的ならまだ良いのですが、それもイマイチです。

海外に研修に行くとたまに「おーーーー!」というかっこい白衣に出会いますが、なかなか入手できません。

今までは私もスタッフも通販のイタリア製を着ており、これはこれでかっこ良いのですが、生地がメロメロだったり(私は厚手が好みでして…)余計な物がついていたり、洗濯でグシャグシャになったりと、不満がつきません。

という事でこの度、白衣をフルオーダーしてくれる業者さんを見つけましたので、早速お話を伺い、一着目が完成いたしました!けっこう時間はかかりましたが。

私は裾の長いコートタイプが好みで、袖は長袖で手袋がきちんと収まるようにポロシャツのような袖口になっています。ボタンは表に出さず、左袖にはiPhoneが入るポケットを付けました。

ポイントは襟元で、裏地に柄を貼ってあります。今回は地味(?)に赤のタータンチェックにしました。いかがでしょう?

写真では第一ボタンを外していますが、もちろん診療中はきちんと閉めており外からは見えません。

スーツの裏地を派手にする人ってけっこういるらしのですが、(龍とか、阪神タイガースとか、アニメキャラだったりとか…)、発想としては同じかもしれませんね。ちょっと遊んでみました。

型紙から起こしますのでそこそこの値段はするのですが、気に入った物を一日着てられる喜びは格別です。何より動きやすい!

最近は白衣と言っても濃い色のスクラブという手術 着の下着を流用している人が歯科でも多いのですが、半袖だし胸元は開いてるし、歯科は血液や唾液が飛散するのによく平気だなと思うのです。

逆にネクタイに普通の白衣という昔ながらのお医者さんスタイルの歯科の先生もおられますが、この格好で歯科治療をするってのはちょっと考えられません。それにあのネクタイは洗っているのでしょうか?そのままスーツに着替えて帰宅するのでしょうか?かっこはいいかもしれませんが、私にはできません。

白衣と普段着で知力を測る心理テスト」というものがあったそうで、白衣を着ている時はテストの成績も倍だったとの事。信憑性はわかりませんが、そういう傾向はあってもおかしくありません。服装がもたらす効果は、その人の自信にも繋がるというものでしょう。

ふだんあまり服装には気を使わない私ですが、今回ちょっとだけ贅沢をしてみました。この白衣は既存の白衣とのローテーションの中の一枚なので、出番は週1回の数時間だと思います。今後は襟の裏地を変えて二着目三着目と増やして行く事になります。

さてさて、次の裏地は何にしましょうか?スタッフからは「彪柄」「ゼブラ」などアニマル系のリクエストが来ていますが、私は「チェッカーフラッグ」や「ペイズリー」もいいなと思っています。

2014年9月8日月曜日

1Fのファミリーマートが無くなりまして…

吉田歯科診療室が入居する銀座Saliceビルディングの1Fに入居していたファミリーマートですが、8月末をもって閉店となり現在空きとなっています。


隣接する右隣のビルも取り壊しが終わっていますが、その後何の建設も始まらず更地でパネルが並んでいるだけ。ということで、吉田歯科診療室の廻りは目印がほとんどなくなってしまいました。

唯一わかりやすいのが、左隣の小さなイタリアンレストラン CARINA iL-CHIANTI です。

今までファミリーマートを目印にいらっしゃってた皆さん、近隣にはまだファミリーマートが二件もありますので、どうぞお間違いになられなようにいらっしゃってください。

1Fには早くちょっと気の効いたお店が入ってくれると嬉しいのですが。

2014年8月28日木曜日

インプラント周囲炎はなぜおきる?

診療後は週末に行われる鹿児島での研修会の準備でバタバタしておりますが、ちょっとコレだけは今書いておきたい、インプラント周囲炎が多すぎると。





私たちの所は自由診療専門ですので、初診でいらっしゃる方の数は健康保険併用の時代からは少なくなり、またいらっしゃる方の目的(主訴)はいわゆる難しいムシ歯の治療が主体になっていました。

ところがここ数ヶ月、急にインプラント周囲炎の相談が増えてきました。初診の件数が少ない私たちの所でこのようになっているという事は、一般の診療所さんではもっと多いことでしょう。

インプラント周囲炎が増えているという話はもちろんアチコチで聞く話です。学会や勉強会でもその話題が頻繁にあがります。しかし個人的にはあまり実感がありませんでした。が、、、ついに私たちの所でも。。。

患者さんに経緯を訊いてみると、やはりメンテナンス(歯ブラシ)の話をまったく聞いてない、だから歯ブラシの練習なんてしていません。また歯周病の知識がまったくなく、もちろん定期検診もありません。これではインプラント周囲炎は増える一方です。

歯が無くなったのには原因があります。原因が解決していない所でインプラント治療をやってもうまく行きません。だから私たちは一番最初にその原因を除去する方法を患者さんといっしょになって考えます。そのために、スタッフは全員が歯科衛生士です。

日本で施術されているインプラントはそのほとんどが保健医療機関でのものだと思いますが、もしそこの先生が健康保険でできる範囲内のメンテナンスでインプラントを考えているとしたら、インプラント周囲炎を防ぐ事は難しいかもしれません。赤字を覚悟で、またはインプラント料金に上乗せしてでもメンテナンスに時間とコストをかけなくてはなりません。

またいわゆる激安インプラントを謳っている専門の診療所さんはどうなのでしょう。説明やメンテナンスのコストはどこから出ているのでしょう?

あまりこのような事は書きたくなかったのですが、患者さんのガッカリした顔を見て説明するのはたいへん辛いものです。しかし患者さんにも責任があり、治療を医者任せではいけません。原因は自分が造ってしまったのですから。

厳しい話かもしれませんが、病気や健康について勉強し、再発を防ぐのも患者さんの義務だし、歯科医師はそれをお伝えする立場にあります。ですから耳をかさない患者さんには、残念ですが積極的な治療は控えるような姿勢が必要です。でなければ、マスコミに金儲けのためにインプラント治療をしていると言われてもしかたがないのではないでしょうか。健康保険制度が良い悪いではなく、きちんとした健康文化を造ってこなかったツケが廻って来ているように思います。

解りきっている事をもっと大事にしてほしいものです。


【関連サイト】

2014年8月19日火曜日

歯科医師は内向的すぎるのではないか!?

こちらからの続きです。

Act or Die !? in Tokyo では大阪とはコンセプトを替え、最近私が特に強く感じている事を前提でお話させていただきました。

詳しくは以下をご覧いただきたいのですが、これは当日会場で配布した資料の一部で、前日に書き上げたものです。



内容には一部裏付けがない部分があり公開はどうかと思ったのですが、やはりすべての同業者に考えてもらいたい事なのでアップしました。

ここでいう「内向的」とは個人の性格の事ではなく、「業界内向き」という意味です。

とにかく歯科医師は内輪で群れるのが好きだ。その中での自慢大会もけっこうだが、そればかりではますます生活者から離れて行ってしまうだろうという危機感があります。だからある程度治療内容の公開はやるべきだと考えています。YouTubeで症例を公開しているのは、そういう思いからも来ています。

ここで言う識者とは先頃某大学を退官された先生なのですが、政治的に強い繋がりを持っていた方だけに間違いない話ではないかと思います。しかし先の「裏付けが無い」とはこの部分ですので、信じる・信じないは各自の判断にお任せいたします。

歯医者の世界にはたいへん多くの学会があり、それとはまた別に多くの研修会もあります。私はそれを受ける立場にも、行う立場にもなります。これらは一般的に話もお金も歯医者の世界だけで動いており、患者さんに知識や技術が効率的に還元されているとはとても思えません。

そもそも健康保険制度が、研修会で行う高度(!?)な治療についてくる事はありえません。その「高度」というのも、諸外国では一般的な事ばかりなのですから、まずその事を生活者に周知させなくてはなりません。でなくては世の中の優先順位は金融や経済ばかりで、健康や環境は忘れ去られた存在に成り下がったままです。

「そんな事はない」と思った方こそ考えていただきたい、あなたも「健康にはなりたいが、今有る何かを犠牲にしてまでも健康にはなりたくはない」という人なのではありませんか?

歯科医師がこれからとるべき行動は、外向きのベクトルではないか。歯科医師からお金を貰うのは上手だが、患者さんからお金を貰うのは苦手、、、価値を伝える力がないから評価が低いのではないでしょうか。



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平成26年8月8日 日本酒歯科医師会生涯研修
顕微鏡が明らかにした現実に応える

東京都中央区開業 吉田 格

昔から思っていた事だが、最近さらに強く感じる事がある。「歯科医師は歯科界という狭い範囲だけで活動しすぎていないか」と。どういう事か例を挙げる。

とある講演会で勇気ある質問者がおられた。「たいへんきれいな症例写真でしたが、それは患者さんから治療費をいただいたものでしょうか?」、答えは歯切れの悪いものであった。後で訊けば患者さんからはほとんどお金はいただかず、症例発表のためにやり直しや頻繁な写真撮影をさせてもらいたい旨お願いしたものという。

私はそのような「症例造りのための症例」を必ずしも否定する者ではない。開業医にはある程度経済的な余裕は必要だが、大学などでは普通に行われている事ではある。なにより理想像やチャンピョンケースを掲げる事で、歯科界全体のレベルアップを図る事は重要だ。

しかしそこに患者さんは、いるようでいない。治療の意味や価値観は患者さんには共有されていない、だから次に繋がらない。喜んでいるのは歯医者と業者だけ、お金も歯科界の中だけで動いている。これで良いのだろうか。

もう一つ、いわゆる低医療費政策に苦言を呈しない歯科医師はほとんどいないが、それに対し学会などはいったい何をしてきたのか。外に発信せず内輪の自慢大会に終止していなかったか、国にきちんと要望を出してきてたのか。

識者に訊けば、チャンスは80年代初頭にあったという。しかし医科に比べ歯科はまったく消極的で、徹底的にアピールし予算をとり続けてきた医科とは対照的だったらしい。歯科はあまりに内向きすぎた。しかしその医科も今は非常に厳しい状況にある。歯科はあの時やっていたとしても結果は変わらなかったのか、そうとも思えない。

さて以上の二例によれば、日本の歯科界は自己満足的で内向的だと言われてもしかたがない。外に発信する力が無ければ、歯科界に必要な資金が運び込まれる事はないと考えるが、いかがだろう。

今歯科医師がとるべき行動は、外向きのベクトルではないか。そんな思いで新たなビジネスモデルを自分なりに構築してきた。それは顕微鏡が明らかにした現実を、患者や社会にも共有して行こうとするものでもある。そして本日供覧いただく症例は、その過程の一部である。目を奪われるような美しいものはないが、私の一挙手一投足を記録した、やり直しや隠し事のないリアルな日常である。

もちろんその路はいまだ険しく問題点も多い。しかし一つ手にできたことがあるとすれば、それは私が手がけるほとんどの治療はその意味や有効性を患者さんにご理解いただき、それに相応しい対価をいただけるようになったという事だろうか。 

さて、歯科界は行動するのか・死を選ぶのか、もはや決して大げさな話ではないのかもしれない。私がとった行動が吉か凶かはまだわからないが、皆様には一つの方法論として今日の話を参考にしていただき、いつの日かこの話を聴けて良かったと思い出していただけるよう、私も努力を惜しまない。

Act or Die !? in Tokyo をやりました


ちょっと遅くなってしまいました。既報のとおり、8月8日(金)に「Act or Die !? in Tokyo. 顕微鏡が明らかにした現実に応える」と題した講演会を行いました。

当日は予定を上回る54名の方にご参加いただき、その後の懇親会も含めて盛会となりました。皆様たいへんありがとうございました。(懇親会の出席率が異常に高い!)



本会は4月20日に行った日本臨床口腔外科医会での講演会を元ネタに構成するという企画でしたが、結局内容は大幅な変更…と言うよりほとんど造り直しをしました。

実は事前に参加者名簿を見せてもらったところ、顕微鏡のヘビーユザーがかなり多い事がわかり、ちょっとこのままではマズイかなという気がしていました。

それに対象者は口腔外科医ではなく一般開業医かその勤務医。またよくよく考えれば、元々5時間半あったプレゼンを2時間に削れるはずもありません。

という事で意を決してすべて造り直し!ついでにハイビジョンサイズにして、それ用のプロジェクターまで買ってしまいました。写真を見てお解りのように、それが功を奏しちょっと今までの講演会とは違う雰囲気です。

どういう事かと言うと、まずハイビジョンサイズですから、当然横長の16:9。しかも今回は特別に120インチという大きなスクリーンを用意してもらいました。これは横幅が2660mmもあるのに、投影高は1500mmしかありません。これを天井高3mの部屋に設置したので、後ろの席の方も無理なく画面の下まで観る事ができるようになったと言う訳です。

実は定員以上の参加希望があったため部屋の変更をしたのですが、その部屋は天井高が2.5m。会場下見の時にそこで試写すると画面下が見えない事が解り、さらに部屋の変更をし運良く天井高3mの部屋を借りられたのです。天井高は大切で、わずか50cmの差は大きいのです!


また会場側の配慮で部屋の蛍光灯を外してもらい、非常に良いライティングが可能となりました。こういう施設って、なかなかないのです。

さて肝心な講演内容ですが、臨床口腔外科医会の時から症例を替え、少しアドバンスな部分も加えてみました。半導体レーザーを併用した極端な歯肉縁下の形成〜印象(型取り)や、バーチカルアプローチのサイナスリフトで粘膜を穿孔してしまった場合のリカバリーなどはかなり注目してみていただけたと聞いています。

しかし今回の講演は、単なる症例提示ではありません。皆さんにどうしても考えていただきたい事があり、それとともにお話したものです。次にその事について書いてみましょう。