2013年12月31日火曜日

平成25年大晦日


今年も残す所あと数分、師走とはよく行ったもので、12月は本当に慌ただしくてあまり好きではないのですが、しかし12月31日というのはとても落ち着いた一日で大好きです。

一年何があったかなぁと、そんな時にはこのブログやfacebookを見てみると面白いですね。

今年は診療以外にも原稿の量が多く、けっこうたいへんでした。特に久しぶりの英文の原著論文は応えましたね(笑)

そのせいもあり、ブログの更新がおろそかになったのは反省です。来年はもっと発信力を強くして行こうと思います。

皆様、良いお正月をお過ごしください。

「若しゃん会(宮崎)」に行ってきた


12月1日に「若しゃん会」という宮崎の若手の先生が運営する勉強会に招かれて、初めてかの地に行ってきました(もう一ヶ月経っちゃいますが…)。

内容は顕微鏡治療の話で、巨匠こと三橋先生との初コラボ。実は私は顕微鏡関係で数時間の話をするのは初めて、しかも学会以外で顕微鏡の話をするのも初めてなんですね。レーザーやインプラント関係ではいろいろ話をする機会はあったのですが、自分自身初ネタに近い事。しかも初コラボはやっているこちらも勉強になります。

講演は日曜日なので、前ノリして金曜の夜から宮崎入りしたのですが、その夜から現地の先生にはたいへんお世話になり、たいへん美味しいものをいただいたり、土曜昼は観光に連れて行っていただいたりと、ものすごくお世話になってしまいました。




宮崎と言えば、一時期知事さんが先頭に立って郷土をしっかり売り込んでいた事で有名ししたが、地鶏以外にも素晴らしい料理がたくさんあり、感動です!



到着した金曜夜は非常に寒かったのですが、さすがに土曜は暖かく気持ちよい観光ができました。

肝心な講演ですが、九州一円から多くの先生が集まり、ちょっとビックリ。実は以前顕微鏡関係の講演があったときは3人しか集まらなかったそうです。

しかし企画や広報をきちんとやれば人は集まるし、東京以外で顕微鏡の普及は難しいと言う人の考えはやはりおかしいなと感じました。

さて来年はこのノリで顕微鏡未開の地と言われる沖縄でできないかという野心的(?)な話もチラホラ。良い治療の普及のために、まだいろいろやれる事があるようです。

来年は4月に博多で顕微鏡歯科学会があるのですが、その打ち合わせもできてたいへん有意義な時間を過ごす事ができました。宮崎のみなさん、とくに土田先生と岡先生、ものすごくありがとうございました!

2013年12月15日日曜日

メディアリテラシー

ここ数年で何倍にも増えたような気がするのは私だけでしょうか?マスコミやネットのせいだとは思うのですが、とにかく自分に都合の良い解釈を押し付ける人が増えています。

過去にもこのような事がありましたが、、、

【Blog:歯界良好】

いわゆるヤラセも同じで、人の意見を訊きにくるのではなく、最初から答えを用意しており、それに都合の良い事を言ってくれる人を捜しているわけです。これでは取材と言えません。

実は先週とあるサイト掲載の診査で「マスコミの取材をどう思っているか」と訊かれ、以下のように答えました。

「みんな答えを最初から用意しており、記事になるのに都合の良い事を言ってくれる専門家を探している。答えが合っているのなら良いが、そのような事は少ない。」

それを聞いてその方から「ハィ、全くその通りです。これで診査は合格です」と言われました。面白い会社だなと思いましたが、どうも皆そう思っているようです。しかし改善される事はないでしょう。

同じような事が患者さんにも起きています。例えば神経はもう無いのに「神経を残す治療をしてください」とか、適応を大きく外れているのにも関わらず「コンポジットレジンだけで治療してください」とか。

マスコミやネットで見た断片的な情報を元に自分で勝手に診断して治療方針を決めて来る、都合の良い事を言ってくれる所を探しているわけです。

なぜ人はこうもマスコミやネットに弱いのでしょう?最も知識があり現状を把握している専門家の意見を聴こうとせず人の言った事に振り回される、今に始まった事ではありませんが、発信者にエンターテイメント性を強く求めると物事は歪曲します。しかし愚直に発信するだけでは、誰も見向きもしてくれないでしょう。

最近メディアリテラシーという言葉を良く耳にします。情報を評価し見極める能力の事です。このような言葉が生まれる事が、そもそも皆が目利きできなくなっている証拠ではないでしょうか。もちろん私も含めてです。

今日情報は自由に入り、その判断も自由です。しかし自由とはそもそも責任の上に成り立っているものではないかと思います。無責任な発信や無責任な解釈、これらの解消にはひたすら時間をかけるか、現実を見せてあげるしかないと思います。

診療においては私たちはできるだけそのような事を心がけています。一方的な思い込みは非常に危険で、自分だけでなく他人にも迷惑をかける事になります。メディアも患者さんもどうか時間や心に余裕を持ってお越しいただき、私たちを目利きしていただきたいものです。

ウェアラブルこそ医療現場に

年末になり、いろんな所で来年以後の展望が聴かれるようになりました。

みんな好き勝手な事を言って、いや失礼、それなりに仕事で真剣なのでしょうが、なんかそういう仕事をしている人を時々羨ましくなったりします。

さてそんな中、野村総合研究所が先月末に出した「2018年度までのIT主要市場の規模とトレンドを展望」という資料を見せてもらいました。そこには「ウェアラブル端末は2018年には475万台」とあります。すごい数です。

しかし私の周囲は「あんなカッコ悪いものがそんなに普及するはずがない!」と異口同音に唱えます。確かにその通りで、グーグルグラスなんてあのまま外に出たらどんなに奇麗な女性でもヘンな奴な人にしか見えないし、サムスンのギャラクシーギアもあれに向かって電話はしたくありません。ウルトラ警備隊になってしまいます。

だけど私はこの数字はあながち間違ってはいないのではと思っており、非常に有望な市場があると考えています。それが医療の現場です。

外科手術現場の新しい視野

ウェアラブルではありませんが例えばこのサイト、既に外科手術室にはiPadが入っており、大きな成果を挙げているとあります。さらにグーグルグラスなら手術中に患者さんの血圧やレントゲンを表示させたりできます。病棟回診中にギャラクシーギアがあれば院内での連絡は相当徹底されるでしょう。

その他、建設現場や研究室・厨房など、ウェアラブル端末が入り込む市場は非常に大きいと思います。ジャーナリズムはどうも個人消費や私生活にしか焦点をあてていないようですが、それはずいぶん狭い話だと思います。

野村総研がそこまで読んで予想したかどうかはわかりませんが、医療の現場は改善の余地が山のようにあり、遅れている分野だと思います。私のように個人経営の診療室ではなかなか導入が難しいのですが、ウェアラブル端末はいずれ視野に入ってくるでしょう。

13インチクラスのiPadが開発されているとの噂があります。そんなデカくして使う奴がいるはずないと言うジャーナリストが多いのですが、あれは病院でこそ必要な大きさだと思います。実は今私たちもカルテシステムをFilemakerに移行しようと実験中なのですが、現行iPad Airでもまだ小さいと感じています。

しかし来年はその新しいカルテシステムをなんとか稼働させ、皆様に解りやすく敏速な説明ができるようがんばります。

ところで、上記の横浜市立大学の先生、私と同じ名前ですね。珍しい!

治療なんて、もうこれを最後にしよう



歯の治療はどうしてこうも再発を繰り返すのか、治しても治しても悪くなる、苦労して治しても意味がないのではないか。お金をかけてもどうせ無駄、そう思う方は少なくありません。

たしかに一度治療した歯は、むし歯の再発を繰り返しやすい、事実私たちの診療室でも再治療や再々治療の割合は非常に高くなっています。

理由はいろいろありますが、その中に「原因を考えずにただ穴埋めなどの修理工事をしただけだから」というのがあります。

物事には必ず原因があります。なのに原因の解決もせず、そのまま修理を進めてしまっては再発はすぐおきます。

ところがその原因を知るのはなかなか難しい、しかも歯の場合それに気がつく事もまずありません。どうしたら知る事ができるのでしょう。

今、私たちは全ての患者さんに顕微鏡とビデオ眼鏡を応用した、お口の中の実況生中継を行っています。これが「ライブ」と呼ばれているものです。



同時に事前に印刷しておいたお口の中のカラー写真とレントゲンに、ライブでお話している内容を、すなわちお口の中の状況をペンで記入します。これらをまとめて一冊の資料「お口の診断書」を造るのです。

このライブでご自身のお口の中をご覧になった方で、驚かない方はおられません。


「磨いているのに、ぜんぜんプラーク(歯垢)が落ちていない」

「冠を被せてもらったが、これほどにも隙間があいているものなのか!」

「歯ぎしりで自分の歯を壊しているなんて気がつかなかった」

などなど。

磨けていない状態で治療が進められてしまっては、結果は悪くて当然です。しかしそれが普通に行われている事なのです。

たとえ歯科医師がそれを知っていてもお伝えしないのは、伝える方法もないし、口で言っても理解してもらえない、さらには健康保険はそもそもそのようにできていないなど、現状ではとても改善するように思えません。


一般的に、治療は治療・予防は予防と分けて考える方が多いと思います。保険診療もそのような考えでできています。しかし私達はそれではうまく行かない現実を見ています。

たとえば虫歯を削って型取りをする治療があります。型取りは正確に行わなくてはなりませんが、しばしば不完全になります。

特に歯茎に近い部分の型取りは、歯肉付近についたプラークや歯肉からの出血の影響をまともに受けてしまいます。

さらに深い虫歯にもなると虫歯は歯肉に埋もれます。このとき歯肉に炎症がちょっとでもあると、触った瞬間に出血してしまいます。これでは型取りはうまく行かず、接着剤も乗りません。皆様が期待する良いものはできないのです。

ではどうするか、実はそんな事を気にせずに進めて行くのが普通の治療で、その結果が「再発」なのです。

私たちはいつも顕微鏡を使っています。ですからそのような不備を未然に知る事ができます。そしてビデオ眼鏡を通し、リアルタイムでお伝えする事ができるのです。「これではうまく行かないですね」と。 

✥✥

私達の治療は、まず患者さんが治療に参加してもらえるようになっていただく事から始まります。ライブで改善点をお伝えした後、歯ブラシの方法を細かくお伝えするのです。これではじめてきちんとした治療がはじめられます。

ですから「歯磨きの話はいいから、早く治してください」という要望にはお答えできません。原因が解決していない状態では治療を進める事はできないのです。

また「歯肉は他の医院で治療するのでやらなくてよいです」というのも困ります。私たちが考える歯磨きの方法や歯肉改善のレベルは、ほとんどの場合他の歯科医院さんの考えとはずいぶん違うからです。

最近大きな問題になっているインプラントトラブルも、実は歯が磨けていない患者さんにいきなり適用したために生じたものが多いのです。

原因を除去してから治療を始める、こんな当たり前の事が、歯の治療ではなかなか難しかったのです。しかし今はそれができる時代になり、それが実現すれば治療は軽快になるのです。

歯ブラシをきれいに届かせる力を身につけるには、ある程度の時間が必要です。また人それぞれに習熟の時間が違います。ですから治療が終わるまでの期間は人それぞれ違うし、コストも変わります。

吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニックのスタッフは、全員有資格者である「歯科衛生士」、そして「秘書検定」合格者です。それだけ歯ブラシの重要性をお伝えすることに時間をかけているという事です。

「治療は医者がしてくれるもの、自分は何もしなくても口を開けていれば治してもらえる」というわけではありません。良い治療のためには、患者さんが積極的に治療に参加してもらう必要があるという事なのです。


私たちはみなさんにそんな方になってもらいたくて、毎日いろんなお話をしているのです。


2013年12月6日金曜日

1月11日(土)はオープンセミナーへ


次回のオープンセミナーのお知らせです。

よくある話ですが、ある歯医者さんに行ったら「歯を抜いてインプラントにしましょう」と言われ、他の歯医者さんに行ったら「まだ使えますよ」と言われ残してもらえた、けどその歯は結局一年でダメになって抜く事に。

この時に二つの考え方があります。一つは「なんだ、どうせダメになるならサッサと抜けば良かった」、もう一つは「一年使う事ができたんだから、ありがたい話だ」。あなたはどちらでしょう?

誰でも歯は抜きたくないもの、使えるものなら無理してでも使いたいと思う事でしょう。しかし無理をすると思わぬ落とし穴が待っています。しかし可能性があるならば、それにかけてみたいもの。どちらが良いのか、実は私たちも判断に苦慮するものです。

そして同じような事が「神経をとる・とらない」という時にも言えるのです。最近は顕微鏡や自由診療の普及で選択肢が非常に増えてきたのですが、人間の体は機械のように結果を約束できない事に変わりありません。

次回のオープンセミナーではこのような「人生の岐路」のような重大な決断の仕方(?)について、実例を交えてお話しようと思います。

オープンセミナーは吉田と関わりのある方に少しでもトクをしていただきたいという一心で無料で行っているものです。ぜひお友達お誘い合わせのうえいらっしゃってくださいね。



Open Seminar vol,53

「神経をとる・とらない」や「歯を抜く・抜かない」はどう決まる?
気になる歯の運命分かれ道!?

日 時:平成26年1月11日(土) 17:45〜19:00

場 所:吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニック
    (東京都中央区銀座3-11-16 銀座Saliceビルディング2F)

    入場無料  録画・録音・撮影はご遠慮ください

オープンセミナーとは

私達は皆様に知っていただきたい事がたくさんあります。それはあなた自身の未来に関わって行く大切な事だからです。

たとえば治療を少しでもスムースに進めるために、効果を長持ちさせるために、いろいろなお話をしなくてはなりません。しかし限られた診療時間内ではなかなかお伝えする事はできません。

そこでこのオープンセミナーでは1時間ほどのまとまった時間を用意し、どうしても知っておいてほしい大切なお話をしています。フロントにある大画面テレビに映る貴重な画像があなたを釘付けにします。

オープンセミナーは吉田が平成7年より続けている健康創造事業の一つです。お友達お誘いあわせのうえ、ぜひ一度遊びにきてください。



2013年11月25日月曜日

VideoCast Vol.17・白い材料で治したい、けどちょっと注意しましょう!


VideoCast の17本目をアップしました。

白い材料で歯を治す機会が増えていますが、従来通り金属を使って治すケースとの違いが解らないまま行われるケースが多く、このビデオにもあるように残念な結果になる事がままあります。

金属は境目が変色しても目立つ事はありませんが、白い材料は適合や接着剤の不備があるとこのようになってしまいます。

また金属は絶対に割れる事はありませんが、白い材料は作成をきちんとやっていていも割れるトラブルがおきやすいので注意が必要です。

作成に慎重になるだけでなく、患者さんは歯ぎしり(TCH) に普段から注意し、最低でも半年に一度の噛み合わせの調整が必要です。

患者さんも気軽に「治してもらう」考えるのではなく、なぜムシ歯になってしまったのか、なぜ再発してしまったのかをきちんと考え、二度と同じ事を繰り返さないようチェックやメンテナンスを受け続ける事がとても重要です。私たちがいつも言っている「医療は受けるものではなく、参加するもの」とは、こういう事なのです。

型採りをする以前にきちんと歯が磨けていていないと、正確なものができません。このあたりは今まであまり重視されていなかった事ですので、特に気をつけていただきたい所です。

これから白い材料で治療したいと考えている方の参考になれば嬉しいです。

2013年11月21日木曜日

今日は認定医審議会


おはようございます。本日は学会業務のため診療をお休みしています。学会認定医の審査会というのがあり、その審議官として出席してきます。

現在ほとんどの学会が何らかの認定制度を持っていますが、その基準は非常に曖昧で、名ばかりの認定医もあります。しかし日本顕微鏡歯科学会というところのそれは、治療中の動画を提出させるという厳しくも信頼できる制度で運用されています。

審議する側はたいへんなのですが、それが日本の歯科医療のレベルや信用度を上げるために必要な事と思ってやっています。さあ、今年は何名の認定医が誕生するでしょう?

審議会は午後から、私はいつものスターバックスで、月末のプレゼンやVideoCastの新作の編集をしています。

2013年11月20日水曜日

オープンセミナー テーマ募集!

次回のオープンセミナーは来年1月11日(土)に行います。
で、テーマは………未定です!(笑)

別にネタ切れというわけではないのですが、
あまりに話したい事が多く毎回どれにするか悩んでいるのです。


いつも思っている事なのですが
「みんないったいどんな話が聞きたいのだろう?」
という事です。


よくやるのが時事問題に絡めた話で、
インプラントトラブルや健康雑誌の裏話、


解りやすいところでは、ホワイトニングなどの審美、
インプラントにするときは何に気をつければいいか、
根菅治療って?コンポジットレジンて?自由診療って?


で、迷ったすえ、初めての試みとして
次回のテーマを「募集!」いたします。

こんな話を聴いてみたいという事を
以下のメールアドレスにご返信ください。

mail@y-dc.org

採用されたかたには
当診療室でのPMTC(クリーニング 1回¥5,250相当)を
サービスしちゃいます。
どしどしご応募ください!
なお締切は一週間後の11月27日です。


自分の健康は自分で守る時代、
医療は受けるものではなく参加するものです。
このオープンセミナーを通じて
皆さんの健康づくりにお役にたてればと思っています。

2013年11月17日日曜日

日本歯科東洋医学会に行ってきた


11月16,17日は大阪歯科大学で開催された、日本歯科東洋医学会に参加してきました。歯科に東洋医学というと不思議に思われる方が多いと思いますが、歯科も医学の一分野ですので無関係であるはずがありません。

今でこそ私も多くの学会に籍を置いていますが、歯科東洋医学会はたぶん一番最初に入会した学会ではなかったかと思います。私がそもそもレーザーを使い始めたのも、痛みの治療のために東洋医学で言うところの経絡・経穴という概念を学びたいことが発端になっています。(詳しくは2009年3月15日の歯界良好をご覧ください)

で、この学会に参加したのは実に10年ぶり、旧知の先生が実行委員長を努めるという事もあり行ってきました。

4年前に銀座に移転するにあたり新診療室の概要を10項目挙げていましたが、そのうちの一つが「波動、東洋医学療法の再開」でした。しかしこれは未だ実現に至っておりません。

今回学会に参加して、やはりやっている人はみんな凄いと感じます。今吉田歯科診療室では手術後の痛みのコントロールに鍼を多用していますが、それ以外はまったく行っていません。しかしこれを機に、漢方薬の処方を中心に再開しようと思います。

特に今問題になっているインプラント周囲炎への対応は重要で、メンテナンスを標榜する唯一のクリニックである私たちが率先して取り組まなくてはならない課題であると考えています。

漢方は鎮痛剤や抗生剤などのいわゆる西洋薬とは全く違い、患者さんの体質や現在の状況をある程度読まないと効きません。また一般に副作用がないと思われていますがそんな事はなく、やはり処方は慎重になります。早くそのあたりに目処をつけ、自由診療ならではの漢方治療を実現させたいと考えています。

この学会にはアスリートが多く、フルマラソンを完走する仲間が何人もいます。先の大阪国際マラソンにも誘われてはいたのですが、私の今の膝の状態では15kmが限界なのが解っているので、残念ながらパス。なんとか治癒させて、いつか走ってみたいと思います。

また新たな目標ができてしまった貴重な二日間でした。

2013年11月6日水曜日

Open Seminar vol.52 をやりました


先週の土曜日に、第52回のオープンセミナーを行いました。2ヶ月に1度の開催はなんとか続いています。

今回は非常に広範囲の話を用意し、自分としてもどうまとめようかと迷ったのですが、意外にもすんなり進んでしまいました。

来場者数も15名と、横にお座りの方はちょっと見づらかったかもしれませんが、ちょうど良い人数ではなかったかと思いました。

さて次回のオープンセミナーは、お正月明けてすぐの1月11日(土)です。テーマは思案中なのですが、何の話が聞きたいか公募しようかなと思っています。詳しくはまたこの場でお知らせいたします。

KJさんが遊びに来たヨ


写真右から2番目の女性を覚えている方はいらっしゃいますか?7年程前までいっしょに働いていた歯科衛生士のTUさん、今は結婚してKJさんとなり沖縄に住んでいます。立派なお母さんです!

この日は彼女の診療をちょっとしてみんなでお昼を食べ、午後は手術の第一助手をしてもらいました。最後は器具の消毒滅菌までしていってもらいました。

「フラッシュバックのようで面白かった」とは彼女の弁。とにかく昔の仲間が来てくれるのはとても嬉しいものです。KJさん、また来てね!

2013年10月21日月曜日

Special Interview 3・顕微鏡は歯科治療をどのように変えたのでしょう?


3本目がアップされました。顕微鏡導入についてやその限界についてお話しています。ピンマイクがルーペと当たって、雑音がたくさん入ってしまいました、ご勘弁を………

吉田格 Special Interview

2013年10月18日金曜日

歯科衛生士のONさん、産休へ


4年近くに渡り一緒に働いてきた歯科衛生士のONさんが産休へ、本日で一区切りとなりました。

私は今まで10数人のスタッフ(全員歯科衛生士)を雇用してきましたが、おなかが大きくなるまで働いたのは彼女が始めてです。ちょっと辛そうな時もありましたが、本当に頑張ったなと思います。

いつも思うのですが、女性は妊娠すると顔つきが本当に変わりますよね。希望と不安が交錯すると言っても、そりゃあ希望の方が大きいからだと思うのですが。

なお後任歯科衛生士の人選がなかなか進まず、しばらくは私と衛生士2人体制で臨みます。よろしくお願いします。

2013年10月16日水曜日

Special Interview 2・具体的に治療はどのように進めて行くのでしょうか?


予告の通り、Special Interview の二本目です。患者さんと情報を共有化するために私たちが用いている「ビデオメガネ」と「お口の診断書」についても触れています。

吉田格 Special Interview






WDさん、GUNGUNNに登場 +


キティラーとしても有名な当診療室の主任歯科衛生士のWDさんですが、実はこんな女性なのであります。


歯科衛生士という職業は、その必要性を理解しない医院や、経営的に採用できない医院が多いのが実情です。さらに患者さんにも必要性や存在理由を理解してもらえておりません。

そこでこのサイトはコチラのページにもあるように、現状を打開すべくクレセルの伊藤さんらが頑張って造ったものです。パチパチパチ!

歯科衛生士の仕事の重要性は以前YouTubeに挙げたVideoCastでお伝えした通りです。彼女達の働きがぜひ理解されて行って欲しいものです。



さてそのWDさんですが、仕事が跳ねるとどうなるか?今発売のSAPIO 11月号に出ております。探してみましょう! (^^)


2013年10月10日木曜日

Special Interview 1・患者さんと初めてお会いする時ってどんな事を考えるんですか?



Special Interview 1~4 を公開します


実はこの度、インタビュービデオをアップする事になりました。

インタビューは何回か受けた事はありますが、それを文章に落とし込むとどうしてもその時の主旨とは違った方向に変換されてしまいます。(まぁそれはそれで良いコンンテンツなのですが)

それならばという事で、この度インタビューをそのままアップしようという事になりました。なんとも恥ずかしい企画ですが、自分の考えをできるだけ素直にウェブで伝えるには、これが一番良いのかもしれません。

一発撮りのビデオならではの緊張感から来る強いメッセージをダイレクトに感じていただけるんじゃないかと思います。

収録にはだいたいの筋書きを考えて、ネタをめくってもらいながら臨み、ほぼ一発撮りの未編集でできあがりました。切ったり貼ったりはいっさいありません。

吉田格のメッセージ全4編をお楽しみ(?)ください。


吉田格 Special Interview








見える歯科治療へのご招待 Vol.5 in ミューザ川崎


顕微鏡歯科ネットワークジャパンがお送りする無料セミナー、見える歯科治療へのご招待 Vol.5 のご案内です。

今回は始めて東京を離れ、演者の澤村先生岡野先生の地元でもある川崎で行われます。

内容は今までのセミナーに準じますが構成はまったく新しくなり、演者の先生の実体験を活かした楽しい構成となっています。今回も事前登録者には30分の無料相談券がついてきます。

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見える歯科治療へのご招待 Vol.5

場所:ミューザー川崎 会議室2
   (神奈川県川崎市幸区大宮町1310 JR川崎駅 西口から直結 徒歩3分 )
開場:14:00
講演:14:30~16:00 
入場無料


歯の治療に新しい光をもたらす「顕微鏡歯科治療」をご紹介する 無料のセミナー開催のお知らせです。

お口の中は狭く暗く、小さなムシ歯や歯石は肉眼での治療では見 落とされがち。でもこれを早期発見して治療できれば重症化を未 然に防ぐことができます。

それを可能にするのが顕微鏡歯科治療。手術用に開発された顕微 鏡を用いて口の中を明るく拡大して詳細に観察しながら行なう最 新の歯科治療です。

初期治療から重症化したムシ歯、歯周病まで、歯科治療の質を飛 躍的に向上させることができます。治療を録画することも可能な ので治療後に詳しい説明を受けることもできます。

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顕微鏡歯科治療を駆使し日常臨をこなしながら全国への普及を目 指す現役歯科医師が集う『顕微鏡歯科ネットワークジャパン』 の メンバー3名が 「見える・解る・安心」治療についてお話いたし ます。従来の歯科治療との違いを感じていただける90分です。

新しい歯科治療の流れに興味のある方、従来の歯科治療に疑問を お持ちの方々のご参加をお待ちしております。

公式HP (http://microdentist.net) からご参加の事前登録をしてい ただくことで、登録歯科医で使用できる『30分無料診察相談券』 を セミナー受付でお渡しします。これまで見えていなかった口の中 の 問題をご自身の目で明らかにできるよい機会です。

お問い合わせは info@microdentist.net


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当日は私も応援で駆けつけます。まだ一度も来た事がない方、必見ですよ!

なお Vol.6 は12月15日(日)表先生の地元でもある浦安市民プラザでの開催が決まっています。

2013年9月30日月曜日

一生トクする歯の知識10選 11月2日(土)はオープンセミナーへ


次回のオープンセミナーのお知らせです。とにかくトクする最新の話題から厳選した10編を一挙に公開します。今のところ以下のような話題を考えています。
  1. 永久歯はなぜ永久ではないのか?
  2. 自分で自分を壊してる、ハギシリとカミシメに気付く
  3. お口の健康診断書 徹底活用術
  4. 楽をしようと思ったら矯正を
  5. 歯科用CTで解った意外な現実
  6. ノーリスク・ハイリターン、歯ブラシ投資信託!?
  7. あなたももう高齢者?歯肉退縮、根面カリエスとは?
  8. 現実的な「運動・栄養・休養」とは
  9. マスコミに騙されない
  10. 歯はまだまだ残せる!わかりきっている事を大切に
もちろん内容は直前まで変更があると思いますが、今回は非常に広い範囲の話をしますので、もうすべての方にお聞きいただきたい内容です。

オープンセミナーは吉田と関わりのある方に少しでもトクをしていただきたいという一心で無料で行っているものです。ぜひお友達お誘い合わせのうえいらっしゃってくださいね。

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オープンセミナー Vol,52
テーマ:一生トクする歯の知識10選
日 時:平成25年11月2日(土)17:45~19:00
場 所:吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニック

お願い:会場での飲食・録音・録画はご遠慮ください

オープンセミナー特設サイトはコチラ


2013年9月26日木曜日

隣接ビル解体工事に伴うお願い


ドトールコーヒなどが入居していた隣接ビルですが、老朽化に伴い解体工事に入っています。

これは都市で暮らす者として仕方が無い事なのですが、ある程度の騒音が出ます。業者さんと協力して、できるだけ施術中は作業を控えていただくようお願いをしていますが、残念ながらお互いの都合を完全に融通しあう事は困難です。

皆様におかれまして施術中に不快な音でご迷惑をおかけする事があるかもしれませんが、治療内容にはいっさい影響はございませんので、どうか安心していらっしゃってください。


なお、解体業者からこのような文章をいただき配布しております。皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

デンタルショーでのハローキティ 2013



最近なぜか去年アップした「デンタルショーでのハローキティ」のアクセス数が上がっており、毎日コンスタントに数件のアクセスがあります。うーん、誰が見ているんだろう?そう、そんな方に今年の東京デンタルショーでの1枚をお届けいたします。相変わらずデンツプライ三金は力が入っております (^^)


季節限定!ハローウィン歯ブラシ


ちょっと更新が滞っていてすみません。さて、昨年に引き続き今年もハローウィン柄の歯ブラシが入荷しています。お菓子をもらって食べても、これを使えば魔法のようにきれいになる!って事はアリマセン。

歯ブラシ自体は形も良く、毛の品質もまずます。一本¥120と、たいへんお得!さてどの柄が一番最初に無くなるでしょうか?


2013年9月11日水曜日

テクノロジー不感症が増えている


新しいiPhoneが発表になりましたね。

早くもウェブ上には iPhone5s & 5c の論評が飛び交っています。しかし前回の iPhone5 の時と同様に「感動がない」「失望した」「アップルにはもうイノベーションは起こせない」など、マイナスの意見を流す人が多い。今回は「色だけ増やせばよいというものではない」とも…

こういう人達って、悲しいなって思うんです。誰かに何かをしてもらわないと満足できないのでしょうか。写真や断片的なスペック情報だけでは難しいかもしれませんが、メーカーの努力の片鱗をみる事はできないのかと思うんです。

たとえば5sに搭載のM7チップ。新たに動きを感知する専用のプロセッサーを搭載、すでにNIKEが驚くようなアプリを造っているそうです。私がそういうのが好きなせいなのかもしれませんが、それを聞いただけでワクワクしてしまいます。

経営戦略的にも99$とか、iWorkが無料とか、裏で繰り広げられる命がけの企業戦争の恩恵を受けている事を幸せだと思うのです。ありがたく搾取されているという言い方でも良いと思います。

革新的な技術やサービスが毎年恒例行事のようにポンポン出てくるはずはありません。テレビのワイドショーが視聴率を維持するために、毎日事件が起きているように演出するようなわけには行かないのです。サプライズに慣れてしまった人こそ、イノベーションが起こせない人なのではと思ってしまいます。

医療の現場でも、自分は何もしないが病気は治してしてほしいという依存型の患者さんや、もっと新しいワクワクするような医院を造りましょうよと騒ぐ勘違いコンサルさんなど、このようなテクノロジー不感症に似た人達によく出会います。

産業やマスメディアは「何かをしてもらう事」に慣れてしまった人達を増やしてしまったように思います。私たちはそのような事がないよう、物事をきちんと見据えた治療を行って行きたいと思います。


2013年9月4日水曜日

「歯医者の裏側」は本当に見えているか?


ネタ的にちょっと古いのですが、歯科界で話題(?)になった2冊の雑誌と、その後について。


歪曲した日本の歯科事情を定期的に取り上げるのは、マスコミネタ的に価値があると言うものでしょう。内容は当たらずしも遠からず、といったものが多く、それらについて特段コメントしようというものではありません。(もちろん後に書くように的外れのものもありますが…)

しかし残念ながら、これらはまったく本質を見ていない。裏側を見たつもりで「もうダマされない」と言っているようですが、その程度の論評はジャーナリズムとしていかがなものでしょう。

その点では再三取り上げてきた昨年のNHKクローズアップ現代や、その元ネタともなっている国民生活センターの報道発表資料も、基本的には変わりません。

では「本質」とは何か?

それは「歯科医師は最低限やらなくてはならない治療すらやらせてもらえない」という制度があることです。そして国民はその程度の医療行為で十分と勘違いしている、そこが書かれないということは、記者自身が「その程度の治療」で満足しているからではないでしょうか。世界を見ていないのです。

**

日本の歯科医師なら例外なく健康保健制度の異常を具体的に指摘できます。どうすればあのような低価格で医療が可能なのか。そのような試算は経済誌の得意分野だと思うのですが、なぜやらないのか?

どの歯科医師も、実は歯をしっかり治したい。保存とか補綴と言うのですが、とにかくコレをしっかり行いたいと思っています。

本当はインプラントなんてやりたくない、けど歯をがんばって残そうとする治療は医学的には可能でも制度的に不可能(もちろん程度によりますが…)。だからサッサと歯を抜いてインプラントに置き換える、その方がよっぽど早くて収入になり感謝される、インプラントに走る歯科医師が多い背景にはこんな事情があるのです。

しかも患者さんは自分自身の事なのに、原因除去(歯をきちんと磨く事や定期検診)になかなか協力してくれません。これではどんな素晴らしい治療も長続きしません。

インプラントは半年ごとの通院(定期検診)が必要だと書いてありますが、ではブリッジや義歯ならそこまでしなくても良いのか?ぜんぜんそんな事はないのに、解っていない。

さらに「虫歯治療の患者に歯周病治療をくっつけるのは過剰診療だ」との記載がありますが、これもまったく的外れ。歯周病治療ができていない状況で虫歯治療を行えばどうなるのか?

私たちはそのような勘違いから発症してしまった患者さんの治療に毎日苦労しているわけです。余計な事をして金儲けをしているという記載こそ、記者が患者としても勘違いしていると言わざるを得ない。歯周病検査は「ついで」に行われるものではありません。

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様々な勘違いが横行している日本の歯科事情、しかしそれでも日本は世界で最も安心して病気になれる国であると思うのです。そしてそれに安住してしまった結果が今の医療崩壊に繋がっている、マスコミは率先してそれを報道する立場であってほしい。

しかしそれができないということは、やはり記者自身も「健康にはなりたいが、何かを犠牲にしてまで健康になろうとは思わない」と、現状にしがみつきたいからではないでしょうか。なぜそんな事が言えるのか?理由はこれです。



これは冒頭の写真の一冊と同じ出版社から発刊される「記事体広告本」の掲載募集要項です。お金を払ってくれたらタイトル通り「頼れる歯医者さん」にしてあげますよ!、と誘うものです。この広告料を見て皆様はどう思うでしょう?

この本が言う信頼とは実はお金で買ってもらうものであって、取材の結果ではないわけです。 (JAROに訊いてみようかな?)

このような企画を同一出版社が行う事からも、世の中を良くしようという思いはないことが解ります。

歯科への不信を煽り、経営難の不安に陥った歯科医師から高額な広告宣伝費を搾取しようとする、ただ引っ掻き回して自社に収入があればそれで良いというマッチポンプの典型と誰もが思うわけです。

記事体広告本は、オリジナルと思われる読売はすでに問題点を認め廃止、朝日新聞出版も今年の出版をしませんでした。この出版社にも早く気がついてもらいたいものです。

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話を元に戻しましょう。本質とはなんだったのか、それは「制度」そのものがおかしい、なのにそれで十分と勘違いしている患者さん、諦めている歯科医師。

これほど病人が多いにもかかわらず、歯科医師過剰とは、みんな「その程度」で当然と思っているからなのだと思うわけです。(参照:歯科医師は本当に過剰なのか? Blog:歯界良好 2009-8-2)

さて件の雑誌の記者さん達、あなたの歯は本当に大丈夫なのですか?自分自身の未来をどう読んでいるのですか?実はダマされているのはあなた自身なのではないのでしょうか?


2013年8月25日日曜日

症例動画の高画質版をリリース


すでに顕微鏡歯科ネットワークジャパンのホームページにアップされている症例動画ですが、サーバーの関係でどうしても画質が落ちてしまうのが悩みです。またiPhone.iPadでは再生できません。

そこで別のサーバーに高画質版を挙げてみました。だいぶ見え方が違うと思うのですがいかがでしょう?


サイズは 960×540 と 640×360 の2種類。接続スピードに合わせ、お選びいただき、ボタンを押すと再生が始まります。ぜひ高画質版をご覧になってみてください!


2013年8月21日水曜日

口腔インプラント学 授業の資料

以下は先日、歯科衛生士学校でインプラントの授業を行ったときに学生に配った資料です。

で、自分で言うのも何ですが、90分の授業内容としてはそこそこまとまっているのではないかと。そこで、このまましまっておくのももったいないので、公開する事にしました。


授業ではこの他にも写真や手術ビデオも使いましたが、この文章だけでもかなりの内容があり、一般の方がお読みになっても、けっこうな知識がつくと思います。

少し専門用語が入ったりと難しいところもあるかもしれませんが、インプラントを検討中の方はもちろん、すでにお使いになられている方にぜひお読みいただきたい内容です。

なお本文を他でご使用になられたい方は、必ずinfo@y-dc.orgまでご一報くださいますようお願いいたします。


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口腔インプラント学


吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニック
吉田 格


1・はじめに
今日の歯科臨床で、もはやインプラントの知識はなくてはならないものになっています。皆さんが卒業して勤務する歯科医院でも、インプラント治療を行なっている所が多いと思います。またインプラントが嫌いで、絶対にやらないという先生もいらっしゃいます。それはそれでその先生の方針ですので、素直に従ってください。
しかしどのような考えの先生の所であっても、すでにインプラントが入っている患者さんが初診でいらっしゃいます。その時に適切な判断や指導ができることは、歯科衛生士にも求められます。
インプラントは、内科・口腔外科・歯周・保存・補綴・矯正・衛生など、小児歯科以外のほぼ全ての分野が統合されたうえで成り立った高度な分野です。さらには社会学・倫理学的な事も考慮しなくてはなりません。どういう事かというと、今インプラント治療が社会問題となっているからです。
去年1月18日、NHKのクローズアップ現代という番組で「「トラブル急増 インプラント  ~自由診療の陰で~」というタイトルの放送があり、たいへん大きな反響がありました。「インプラントは危険だ」と勘違いした患者さんが急増し、多くの歯科医院で治療のキャンセルが相次ぎ、今も収まっていません。
日本人は、専門家である私たちの言う事よりも、テレビの言う事を強く信じる傾向があります。特に医療関係は誤った情報が氾濫しやすいので、皆さんにはそのような事がないよう今からしっかり勉強し、正しい目を持てるように自分を磨いて行ってください。
インプラントは義歯やブリッジと共に、欠損補綴の選択肢の一つです。患者さんにとってどの方法が最も適切なのか親身になって考え、また欠損に至った原因の除去と補綴物の維持管理の大切さを伝えられる歯科衛生士になってください。

2・インプラントとは
辞書で「インプラント」と引くと、以下のように記載されています。
【implant】欠損あるいは外傷を受けた部位に埋め込むために,人工的に作製した器官組織の代替物。また,それを埋め込むこと。人工関節・義歯・腱・血管など。
つまりインプラントは歯に限ったものではありません。たとえば、事故で骨折した時に骨を固定するステンレス製のプレートやネジもインプラントです。
しかし世界で最も行われているインプラントは、咬合の再建のために使われる口腔インプラントで、単にインプラントと言えばそれを指す場合がほとんどです。

3・口腔インプラントの特殊性
骨折治療用のインプラントであるステンレス製のネジは、完全に体の中に埋まっており、外からは見えません。つまり外界から遮断され、汚れることはありません。
しかし口腔インプラントは、「半分埋まって、半分出ている」という中途半端な状態です。しかも歯と同様にプラークが付着しますので、常に感染の脅威にさらされます。
インプラントが歯肉を貫通する部分、つまり歯周ポケットに相当する部分は、後で説明するように歯に比べて免疫力が弱いので、充分なプラークコントロールが必要になります。従って歯周病が原因で歯が欠損した方はかなり注意が必要で、残っている他の歯が磨けないような患者さんに適用してはいけません。

4・オッセオインテグレーションとは
口腔インプラントは100%チタン製のネジだと思ってかまいません。チタンはステンレスなどと違いたいへん生体親和性が高く、生体はチタンを異物と認識しません。
チタンを骨に埋入すると、骨はチタンに寄り添ってきて完全に取り囲んでしまい、外せなくなります。この現象を発見したのがにスウェーデンの整形外科医であるブローネマルク教授であり、この現象を「オッセオインテグレーション」と名付けました。
口腔インプラントは強大な咬合圧に耐えなくてはなりませんので、オッセオインテグレーションがなければ成立しません。

5・口腔インプラント vs 天然歯
口腔インプラントは天然歯を模倣した人工物ですので、もちろん違いはたくさんあります。最も大きな違いは「歯根膜がない」という事です。
天然歯と歯槽骨の間には歯根膜がありますが、これは両者を結びつける強力な靭帯です。歯根膜があるので歯は僅かに動揺し、強大な咬合圧を緩和するクッションとして働きます。
インプラントにはこのクッションがありませんので、いっさい動く事はありません。そのためインプラント上のクラウンが破損する事が良くあります。それから矯正力をかけても移動しません。
また歯根膜がないという事は、骨とインプラントの境目に血流がないので、感染に弱いという事になります。
天然歯の場合は歯肉側と歯根膜側からの2方向の血流があり、免疫が働きます。しかしインプランには歯肉側からしか血流がありませんので、必然的に感染には弱くなります。
また天然歯はセメント質を介して歯肉と結合していますから、細菌が直接骨に接触する事はありません。しかしインプラントは骨とは結合しても歯肉とは結合しませんので、ポケット底に到達した細菌は容易に骨に悪影響を及ぼします。
しかし健常者であればその程度はほぼ無視してよく、快適に使用して行く事ができます。一方、歯周病患者や喫煙者・糖尿病患者・歯ぎしり(TCH)が強い場合は将来的に大きな問題となります。
この事は歯科衛生士として十分認識しておく必要があります。

6・利点と欠点
先にも書いたように、インプラントは義歯・ブリッジと並ぶ欠損補綴の一手段です。三者の特徴を整理すると、以下のようになります。
A・ブリッジ
たとえば6番1本の中間歯欠損の場合、ブリッジでは両隣在歯(7番と5番)を支台歯形成し咬合負担をします。すなわち二本の歯で三本分の咬合圧を負担する事になり、単純計算で一本当たり1.5倍の負担が歯にかかります。
これは健全な歯周組織の歯であれば大きな問題は出にくいかもしれませんが、歯周病で負担能力が落ちていると、動揺が増えるかもしれません。また無髄歯では歯根破折の可能性が高まります。
残存支台歯の位置や状態しだいでブリッジは不可能になり、例えば8,7,6番連続欠損などの遊離端欠損には適用できません。
また支台歯形成をするので歯質の大量削除を余儀なくされ、二次カリエスのリスクが発生します。10年程度でやり直す事が多く、一生再治療を繰り返す原因ともなります。
しかし補綴完了までのスピードは速く、良く用いられる方法です。 

B・義歯
遊離端欠損などブリッジが不可能なケースで多用されます。咬合圧は鉤歯と粘膜での分担負担となり、作製を厳密に行い調整を継続的にに行わないと、鉤歯の破損や動揺・歯槽骨の高度吸収を招くので注意が必要です。
鉤やバーなどの付随装置のため審美的に劣り、リンガルバーなどの異物感は避けられません。咬合圧の粘膜負担が大きいほど粘膜の痛みが出やすく、痛くて使わないで放置する方も多いのが現状です。
しかしインプラントと同程度のコストをかけきちんと設計された義歯は、一般に言われるほど不便なものではありません。

C・インプラント
欠損した歯をそのまま置き換えるような形で補綴するので、ブリッジや義歯と違い、残存歯にまったく負担をかけません。
しかし手術が必要で、骨量が不足している場合は骨移植などちょっと複雑な手術の併用が必要で、気軽に行えるものではありません。
また健康保険は使えず、すべて自由診療になります。

7・診断
インプラントは手術を伴いますが、補綴することが目的ですから、まず歯を入れたい位置がどこかを石膏模型上で診断します。そしてその直下に骨があるどうかを調べます。そのために最近ではCTを必ず撮影します。
また、その患者さんがなぜ歯を失ったかを診断する必要があります。原因が歯周病であった場合は、それがある程度解決していなくては、インプラントも同じ原因で周囲の骨が欠損してゆきます。ですから自己管理ができない患者さんには、インプラント治療は短期間で失敗する可能性が高いので、行ってはいけません。
また喫煙者や糖尿病患者は、歯肉の血流が著しく阻害され免疫力が落ちているので、慎重適用となります。患者さんがたとえインプラントを希望されても、義歯やブリッジに変更させなくてはならない場合もあります。

8・外科
口腔インプラントはインプラント体(フィスチャーとも言う)を顎骨内に埋入するための外科手術が必要です。骨の幅や深さが充分な場合は容易ですが、骨量が不足している場合は骨移植などが併用されます。
外科手術は通常の歯科臨床とは異なり、滅菌・非滅菌の区別が厳密になります。 一般の歯科医院で行う場合は、診療室を手術室に近い仕様に変更します。
具体的には手術着と滅菌手袋の着用・顔面ドレープの装用・より厳密な器具滅菌などです。
今回の授業では実際の手術の現場をビデオでお見せします。手術の介助がどのようなものかを良く見てください。

9・メンテナンスとインプラント周囲炎
歯科衛生士の大きな役割は、メンテナンスをきちんとやりインプラントを長期的に安定して使っていってもらう環境を造る事です。
患者さんはインプラントを埋入し、補綴が終わっただけで安心し、メンテナンスに理解を示さない方が多いものです。補綴後にメンテナンスの話を始めても遅いので、術前からメンテナンスの重要性を徹底してお話して行く必要があります。
インプラントのメンテナンスと言っても、特別な事は何もありません。通常のメンテナンスを徹底すればよいだけです。
しかしメンテナンスがうまく行かなかった場合の落胆度は非常に大きいので、通常のメンテナンスのさらに上を行く必要があります。
メンテナンス失敗のうち、最も避けたいのがインプラント周囲炎です。インプラントは感染に弱いので、異常は早期に発見して対策をする必要があります。
インプラント周囲炎は進行しても歯のように動揺しません、動揺したときはインプラントの先端まで完全にオッセオインテグレーションがなくなったときで、引っ張ればそのまま外れてきます。
一度インプラント周囲炎が成立すると感染源の除去は非常に困難です。患者さんがそうならないよう、事前にきちんと診断しなくてはならないのはそのためです。