9月17日に引き続いて、インプラントセミナーの2回目です。この日は全員に手術着と手袋を着用していただき、実際の使用感を確認していただきながら実習を進めました。
このセミナーのテーマは、普段の歯科診療室をインプラントの時だけ手術室仕様に変える具体的な手法をお伝えし体感していただくものです。手術着を着ていつもとは違う手術用の手袋をしただけで、普段できる事ができなくなってしまいます。
特に手袋は普段着用しているものとは滑りが違い、器具の扱いが難しくなってしまいます。ですからここで体験していってもらおうというものです。
この実習は縫合(傷口を縫う事)の実習を毎回行う事も特徴になっています。残念ながらどこの歯科大学でも、学生に縫合の具体的な手技実習は行っていないようです。試験もありません。ですからぶっつけ本番にならないように予め練習していただくのです。
私は縫合とはとても重要な事だと思っています。大学に始めてインプラント手術の見学に行った時、私が最も自分との違いを感じたのがこの縫合です。
だいたいどこのインプラントセミナーに行っても、インプラントを入れる所までの話しで終わってしまい、縫合もその後の話しもほとんどありません。これはとてもおかしな話しだと思うのです。
外科に入りたての先生は、毎日縫合の練習をしているといいます。いったい開業歯科医の中で、どれだけの方がきちんとした縫合の知識を持ってインプラント外科をやっているのか疑問です。
歯科医向けの雑誌にはインプラントの症例が華々しく掲載されるのですが、その影には必ず繊細で確実な縫合のテクニックが隠されています。しかしそれが表に出ず、うわべだけ綴った記事が紹介されるのは、ある意味仕方がない事かもしれません。
しかしなかなか真意が伝わらないもどかしさが、このセミナーの原動力となっています。逆に言えば、それができていないまま行われているインプラントも多いだろうと言う事で、週刊朝日にいろいろ言われてしまうのもある面無理からぬ事だと思うのです。
次回は最終回、またあらたなネタを加えてがんばろうと思います。
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さて実はこの日はインプラント手術が1件あり、見学の先生がお見えになりました。文京区千駄木のゆりの木歯科医院の竹末寿子先生です。
先生はインプラント手術は行わないません。しかしインプラントの知識は不可欠ということで、勉強のためいらっしゃいました。それはそうでしょう、いまや初診時に既にインプラントが入っている方がいっぱいいらっしゃる時代です。
また、自分がインプラント治療をしないからといって、患者さんに入歯やブリッジを勧める事はあってはなりません。ですからどんな歯科医師であろうとも、インプラントとは実際どんなものであるのかを知らなくてはなりません。
先生にはもちろんこの後のセミナーにもご参加いただきました。見学があるという事はそれなりに緊張するのですが、自分も大学でさんざん手術を見せてもらった事もあり、自分が周りに発信や恩返しのような事もしなくてはならないのだなと思います。
最近は少しずつ依頼で出張手術も行う身にもなりました。一般診療同様に、さらに邁進しなくてはなりませんね。だけど、引越の荷物も片づけないと・・・です。