ノロウィルスの猛威、皆様も報道でいろいろご存知と思いますが、これは本当にすごいです。
【J CAST ニュース】
細菌やウィルスは非常に短期間でその性質を変えて行きます。今流行しているのは新型で人間にはまだ免疫がない、しかも感染力や毒性も強くなっているのでかなりやっかいです。
ウィルスは細菌と違い抗生物質が効きません。私はいつも思うのですが、日本人はどこか「病気になっても医者や薬が治してくれる」と思っている所があり、自分は辛いかもしれないが何もしなくてもよいような感じです。薬はないに等しいので、いかに自衛するかが重要です。
「モノから行動の時代へ」というのは私たちの診療の基本スタンスで、患者さんには治療と同時に自己防衛を考えていただき、実際に行動していただくお手伝いをしています。ただしこれは押しつけでは効果がありませんので、身近で解りやすい話題からお話をはじめ共感を得やすいよう心掛けます。ノロウィルスはその良い(?)材料です。
ノロウィルスは消毒薬が効きにくく、なかなかやっかいです。とにかく口にウィルスが入らないよう、手を良く洗う事が最も大切です。私は仕事で手袋をしていますし、そうでなくても着用前に手を洗います。医療関係者は学校でこの「手洗い」をかなり徹底的に教わりますが、それだけ大切と言う事です。ウィルスは目に見えませんが、それを想定しているわけです。
もちろん皆様にそれと同じ事をしろとは言いませんし、私自身普通の生活でそこまで徹底的に手を洗っているわけではありません。しかし頻繁には手を洗います。
ウィルスは意外な所から口に入ります。たとえばミカンを食べる時はどうでしょう?
ゴハンの前にお母さんは子供達に「手を洗いなさい」と言うでしょう。それは大切なのですが、ゴハンはお箸で食べますから一応安全です。問題は手で掴んで食べるものです。
ミカンはその筆頭で、食べる前にきちんと手を洗う人を見た事がありません。それからサンドイッチ、これも素手て掴みます。カフェでサンドイッチを注文すると必ずお手拭きが着いてきます。これをちゃんと使っている人がどれほどおられるでしょう?
SARSや新型インフルエンザ・O-157の時もそうでしたが、新種の感染が現れると必ずそれに便乗し「当社の薬を使いましょう」という宣伝が増えてきます。それはそれでけっこうなのですが、最も大切なのはモノに頼るのではなく面倒くさがらずに行動する事に他なりません。見えないものを見る力、そしてそれに基づいて行動する事が今最も必要なのではないでしょうか。