歯科用CTがだいぶ普及してきました。これがなくては診断がつかない事も多く、私たちもたいへん助かっています。
しかしこのCT、あたかも万能のように思っている方も多いと思いますが、実は欠点もたくさんあり、それについて触れられているサイトはほとんどありません。
最大の欠点、それは「アーチファクト」と呼ばれる、画像上の金属周辺で発生する読み取り不能エリアが出る事です。金属を多用する歯科口腔外科では大きなな弱点となります。
しかしそれでも使われているのは、アーチファクトの影響がない部分を使っているからです。歯科用CTはまずインプラント治療の診断で注目を浴びて普及してきました。実はその用途では金属はあったとしても離れた所にあるので、あまり問題がおきません。つまりCTをインプラントにしか使わない先生には、アーチファクトは工夫次第で無視する事ができるのです。
ところが私たちのように歯周病や根管治療にも使おうとすると、そうは行きません。歯周病の診断をしようとしても、金属冠や金属の芯があれば影響がモロにでてしまいます。これでは肝心な歯の周りの診断ができない、そのためわざわざ金属を全て撤去してから撮影を行う事もあるそうです。これはあまりにたいへんです。
さらに根管治療でも再治療ともなると「根管充塡材」と呼ばれる詰め物もアーチファクトを引き起こし判断不能に陥ります。この憎きアーチファクトを無くす事はできないか?そこで開発されたのがGIDORA(ギドラ)というソフトです。
【株式会社アイキャット】
この患者さんには金属修復物が多数使われており、かなり激しいアーチファクトが出てしまいますが、GIDORAを使うと下のようになります。
ごらんのようにその効果は一目瞭然、歯の周りの骨の位置が確認できるようになりました。
GIDORAは現在KaVo(GENDEX)社のCTで、LANDmarkerというインプラントシミュレーション用ソフト内でしか動きません。インプラント用なのでそれ以外の用途には不便な造りなのですが、この夏のバージョンアップではOsiriXのような操作性になるそうです。
それから残念ながらまだDICOM出力には対応しておらず(*)、撮影依頼をされてきた方にお渡しするのは上の写真のように部分切り出しの静止画のみになります。つまりまだまだ開発段階なんですね。しかしこれだけアーチファクトが取れてくれると、診断価値は格段に上がります。
まるで怪獣のような名前のソフトですが、開発者によれば円谷プロには了解を得ているとの事です。
さてこのソフトでこれからどのような診断ができるか、楽しみというか、怖いというか、、、しかし本当に価値あるデーターを提供して行こうと思います。
*:2012年秋にDICOM出力に対応いたしました。
*:2012年秋にDICOM出力に対応いたしました。