2011年8月17日水曜日

ジルコニアトラブルを考える・1

「新しい技術は大いなる誤解と共に普及する」とは私の持論、インプラントもレーザーもみんなそうでした。で、今一番問題になっているのが「ジルコニア」という材料を多用した歯の治療。はっきり言って理想論、技術がついていっていません。

「オールセラミックス」とか「メタルレス」ともてはやされ、ジルコニアは急速に歯科医療に浸透してきました。奇麗で丈夫でアレルギーの心配もありません。歯の代用に使う人工物の中で最も自然に近い材料として、徐々に主流となって行く材料ではないかと思います。貴金属は供給が不安定で、いつまでもというワケには行きません。しかし…


例えばこれ、装着してから何日も経っていなにのに、すぐに外れたのだそうです。そのたびに着けなおすのですが、原因が除去されていませんので当然また外れてきます。

ジルコニアはそこそこの重さがありますので、「重いから外れやすい」という説明だったそうです。え〜?


次はこちら、カワイソウに歯肉が真っ赤に腫れています。部分的に潰瘍にもなっています。

歯肉の中を探ってみると、セメントの取り残しがたくさんありました。それらを一生懸命除去すると、今度は中で歯とジルコニアがぜんぜん合っていなく大きな段差があることが触って解ります。これは歯肉圧排をしないで、とても簡単な型取りで造られたものと思われます。


どこまで良くなるかはわかりませんが、できるだけきれいに歯ブラシをかけてもらうようにして、やっと上の写真のように歯肉が改善しました。しかし歯肉の中を探ると簡単に出血し、炎症は小さくなったとは言えまだかなり残っている事が解ります。

本当は全部撤去して新しく造り直したいのですが、ジルコニアとはまたどんでもなく固い材料で、金属のように外す事ができません。特殊な切削器具を買って来て外す事になります。それにお金がかなりかかっているはずですので、できればこのまま使いたいというのが本音です。

このようなケースは一つや二つではありません。なぜこんな事が増えて来たのでしょうか?