2011年5月25日水曜日

ジルコニア製インプラント [Z-Systems]の展望


ジルコニアという材料が急速に歯科界に普及していますが、それは歯冠部材料の話。しかしこれはオールジルコニアのインプラント。チタン製ではありません。真っ白です!



Experts in metal-free implantology   Z-systems

4年前、ケルンのIDSではじめてその存在を知ったとき、これはいったいどうなるんだろうと思ったものでした。そして自分がそれを導入する事になるとは思いもしませんでした。


インプラントに使われる材料は、もちろんチタン。なぜ生体がチタンを異物と認識しないのかはまったく謎ですが、では100%安全なのかと言えばこれも解りません。学術的な報告はありませんが、しかし「脱落したインプラントの中には、もしかしたら拒絶反応によるものがあるかもしれない」というのが慎重な方達の意見です。

また東洋医学的な事を重視する方達は、チタンと言えども安全性を疑問視する方が少なからずおられます。しかしだからと言って義歯やブリッジが良いわけではありません、良いところもあれば問題もいっぱいです。私たちは知識技術を屈指して高度な妥協点を見つけなくてはなりません。そしてその選択肢の中にジルコニアインプラントが入ってきました。

現状チタン製インプラントはまったく問題がないとされています。私も通常それで何も問題ないと思います。では通常ではない場合とは?

根拠はありませんが、私は重症な金属アレルギー疾患や自己免疫疾患の方の治療はインプラントに限らずちょっと注意すべきだ、できるだけ金属を用いない治療をしたいと考えています。ただこれを考えるには波動とかO-Ring Test とかの未開な診断法に頼るしかありません。



チタンを上回る生体適合性を持った材料はないか、白羽の矢が立ったのがこのジルコニア。厳密に言えば極微量の酸化アルミニウムや酸化イットリウムが入っているようですが、いわゆる生体親和性はかなり高いようで、歯肉の治癒形態がかなり良好との報告があります。そうでなくても過敏な方の治療選択肢になる材料のようです。

ただしこのジルコニア製インプラント、アメリカFDAの認可はとれていますが、もちろん日本では未認可、それでもという患者さんとの同意の上で慎重に行わなくてはなりません。

また現状ワンピース形状にしかできないため、施術にはそうとう神経を使います。安静期間も長くとらなくてはならず、上顎では交合圧や舌圧から半年間保護しなくてはなりません。通常のインプラントとは別次元の配慮が必要になります。


Z-systems はいくつかあるジルコニアインプラントの中では最も実用的な製品です。今後は二回法用のラインナップの開発等、がんばってほしいものです。