2009年11月14日土曜日

世界糖尿病デー

今日、11月14日は世界糖尿病デーだそうです。こんな日があるなんて、今朝新聞を見るまでは(読むでない・・・)知りませんでした。


しかし、これは本にも書いた事なのですが、とにかく糖尿病という名前は悪すぎます。癌といわれれば「ガ〜ン」というくらいですから、誰が聞いてもショックです。高血圧と言われれば、頭の血管が切れそうな事は誰でもイメージできます。

では糖尿病は?糖尿病と言われ、命に危機を感じる人がどれほどいるでしょう?名前が可愛すぎて、まじめに取り合ってもらえない事も、この病気が蔓延する原因だと私は思っています。


糖尿病については、インシュリンがどうだとか、血糖値がどうとかいろいろ難しい説明がよくされますが、そんな事はまずどうでもよいのです[*1]。要するに体中のタンパク質が砂糖漬けになり[*2]、まともに動かなくなってしまう、つまり老化したのと同じような状態になってしまう恐ろしい病気です。

タンパク質と一言でいいましたが、これは本当に体全部です。その中で病状が顕著に現れるのが細い血管が集まる場所、目・腎臓・神経[*3]ですが、その他にも本当にたくさんあります。そして歯周病もその一つです。

口の悪い("歯周病の"という意味ではない)内科の先生はこう言います、糖尿病は病気のデパートだと。それほどあちこちからいろんな病気を引っ張ってきます。このデパートがすばらしいのは単なる販売力だけでなく、カリスマバイヤーが居る事です。

このバイヤーは相手の良い所を引き出し、お互い持ちつ持たれつの友好関係を築く天才です。これはどういう事かというと、糖尿病は歯周病の売り上げをアップさせますが、歯周病も糖尿病デパートに役員を送り込み、糖尿病の勢力拡大に加担しているのです。

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「白血球」って知ってますよね、あなたが知らない所で体に侵入したばい菌を食べて片付けてくれる正義の味方です。しかしこの白血球もタンパク質です。ということは白血球も砂糖漬けになって動けないという事です。これでは感染症である歯周病はさらに治らなくなってしまいます。またそれ以前に毛細血管も詰まってしまい、栄養も免疫も届きません。

一方歯周病が拡大してゆく過程で、余計なエキスがいっぱい作り出されます。こまった事に、そのなかには糖尿病そのものを悪化させてしまうものがあるのです。つまり糖尿病と歯周病は持ちつ持たれつ、持ち株会社のようなもので、これはもう社名を「糖尿病歯周病ホールディングス」とでもしていただきたいものなのです。

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私達のところにも糖尿病の加療中の方が何人かおられます。また見事克服し、見た目も引き締まりビシッとした方もおられます。

よくなった方に共通している事は、歯周病の治療とその後のメンテナンスをきっちり行った事。歯周病をたたく事で糖尿病も良くなる傾向にあるのです。それと病気の勉強をちゃんとした事、糖尿病というなんとなくカワイイ名前に惑わされる事なく、良い意味で危機感を持った事ではないでしょうか。

じゃあ糖尿病に代わる良い名前はないものかと考えてみましたが、なるほど良いものが浮かびません。実際には糖尿病が怖いというよりは糖尿病デパートの商品、すなわち合併症(これも解りにくい名前で好きではないのですが)です。あまりに売り物が多すぎて一言で言い表すのが難しいのです。しかしだからと言って「糖尿」という部分的な症状で全体を呼んでてほしくないなと思います。

今糖尿病には、良い意味で癌に匹敵する衝撃的な新しい名前が必要だと思います。そうすれば患者の1割しか通院加療していないなんて事にならないと思うのです。

ちなみに英語では"Diabetes"といいますが、これはどのように心に響くものなんでしょうね?で、新しい名称を募集中です。もちろん賞品はありませんが。

けど専門家はもっと病気を庶民感覚で解りやすく伝えてほしいものです。理解こそ妙薬なりです。

*1 本当はどうでもよくないのですが、糖尿病の話はあまりに理屈が多過ぎて、一般の方には実態が解りにくくなっているのであえてこう書きました。専門家のみなさん、ごめんなさい。

*2 これを「糖化」といいます。その他細胞が水浸しになって機能しない状態にもなります。

*3 目は網膜がやられ見えなくなり、腎臓は詰まり透析が必要になり、神経は遮断され手足の感覚がなくなります。これらを糖尿病の三大症状といいます。


追記:14日夜の東京タワーやレインボーブリッジは、この日のために青色にライトアップされたのだそうです。見た方おられますか?こういうイベントって、大切なんでしょうか?もっと先にやるべき事があるようにも思うのですが?